ASTD国際会議

ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。

■S100 パフォーマンス・コンサルティング:現場マネージャーがパフォーマンス・ソリューションを望むようにもっていく

ダナ・ゲインズ・ロビンソン、パートナー・イン・シカゴ社 社長

概要

3年連続のセッション。会場の7割程度がうまっていた。これまでの2年間は、パフォーマンスコンサルタントとは何か、どういった人たちがなるのか、どういった仕事をしているのかなどについて概観している感じであったが、今年はロープレ等を交えながら具体的な方法も紹介していた。

パフォーマンスコンサルタントの必要性

チームビルディングやインセンティブシステムなど1つのソリューションだけでパフォーマンスを改善することはできない。学習をしただけでは、パフォーマンスを向上させることはできない。そこで、プロセスに着目する必要がある。
100%のラーニングソリューション、スキルを獲得しても、実際に実行に移せるのはその中の0〜30%。ヒューマンパフォーマンスを向上させるには学習だけでは駄目である。
それでは、スキルを学んでもどうして実行に移せないのか?参加者の間からは、許可されていないから、組織でサポートされていない(人、もの、かね等の面で)使っても使わなくても結果が変わらない、ニーズが見えないといった答えが返ってきた。
パフォーマンスコンサルタントが必要なわけは、1つのソリューションだけではパフォーマンスを改善することはできないからである。知っていることだけではパフォーマンスを改善することはできない。もしもパフォーマンスを変化させたければ複数のソリューションが必要になる。

パフォーマンスコンサルティングのよい例と悪い例

セッションでは、ダナ・ロビンソンの夫が参加して、夫妻でパフォーマンスコンサルティングの悪い例とよい例のロープレを行った。

悪い例

(パフォーマンスコンサルタントは、ワークショップから帰ってきたので)「今日はこれからいろいろ手伝いたい、ワークショップからいろいろ学んできたのでいろいろお役に立てます。」
担当者からは、「時間がないんです。」という返事が返ってきてしまう。
この会話では、パフォーマンスコンサルタントは、相手を圧倒し、勝手に話し続けている。相手の言葉で話しておらず、それが問題となっている。質問をしなくてはいけないのに答えを提示してしまっていた。パフォーマンスコンサルタントは、マネジャーのマインドセットで話をしなくてはいけない。

よい例

「いろいろ話をしたい、いろいろなやり方があると思いますが、私に質問させてください。私が何ができるかを質問をしながら考えたいと思います。どのようなことを見てトレーニングが必要だと考えたんですか?お客さまの役に立っていないと考えんたんです」
この場合は、パフォーマンスコンサルタントは解決策を提供しておらず、ニーズアセスメントを行った。ここでは、クライアントの言ったことを自分で言い直して、正しく理解しているかを確認した。そして、こんな解決策があるのではないかとリストを提示した。さらにクライアントが何をよいと考えているかを理解しようとした。パフォーマンスコンサルタントの方からマネジャーに答えを与えるのではなく、答えを必要だと考えてもらうようにした。

パフォーマンスコンサルタントの戦略

パフォーマンスコンサルタントの戦略として、短期的な戦略と長期的な戦略を紹介した。
短期的な戦略とは、

リアクティブな方法として、
質問の質を変えていく、正しい質問をする

プロアクティブな方法として、
マネジャーとコンタクトを取ってビジネスのゴールについて話し合う
プロアクティブに行う(働きかける)
問題のある人(マネジャー)を攻める(マネジャーがどのようなものかを見極める)

長期的な戦略としては、
現状に満足していないという考え方を認識してもらう
現状を理解してもらう(満足しているのは、満足していないのは)

短期的な戦略

正しい質問をする

答えを与えるのではなく、正しい質問をすることで、正しい答えを正しく聞くようにする。正しい質問とは、相手のリクエストをソリューションに変えていくような質問のこと。
質問には3つの種類がある。

  1. べき質問:何をするべきか、何を今やっているか(Should)
  2. 現状の質問(Is)
  3. 理由のクエスチョン(Cause)

質問は、パフォーマンスコンサルタントのプロセスにある8つのバケツの中の質問をする。
相手の話をしていると、○○のトレーニングをやりたいといった学習に対するニーズがいきなり出てくることがある。そういった場合でも、どういったパフォーマンスニーズがあるのか、そしてビジネスニーズは何かを質問によって明らかにしていく。質問によってソリューションの言語(○○を解決したい)からビジネスの言語、アウトプットの言語へ変えていく必要がある。学習のニーズがあった場合でも次の階層につながるような質問をして、最終的には、成果に結びつくように質問をしていく。こういったやり方は相手の出方に反応するリアクティブなやり方であるといえる。
逆にプロアクティブなやり方では、最初から質問によってビジネスニーズを明らかにして、そこから学習のニーズまで落としていくようにする。
最初は、どこに相手のニーズがあるのかを明らかにしていく。
業績上のゴールはなにか、ビジネスのメリットは何か、クライアントのビジネスゴールは何かを念頭に入れてパフォーマンスソリューションを提供していく。ことが必要である。直接の従業員が改善されるかだけではなく、ビジネスニーズが何かを考えていく必要がある。
セッションではその後2つのEXERCISEを経て、プロアクティブなやり方の説明に入った。

プロアクティブな対処

プロアクティブの場合はトップから下に下りていく。
例えば、今まで仕事をしてきたマネジャーと今後問題を下記のような質問を使って話し合っていく。

(質問)

  1. ビジネスのニーズは何か?それをどのように測定するのか?
  2. ギャップはあるのか
  3. どんな戦略を今もっているのか、それで達成できるのか
  4. 戦略を実施しているのは誰か?
  5. チャレンジ課題は何か、社内の要因、社外の要因
  6. 最も貢献できる人は誰か、準備は、ニーズは

注意点
重要なことは、「はじめから決めつけない」「偏見を持たない解決をする」「偏った解決をしない」「こうあるべきだという考えをしない」といったこと

問題のあるところ(人)から攻める(プロアクティブな対処)

不満を洗い出す。

長期的な戦略

エグゼクティブブリーフィング

注意してマネジャーを選ぶ、人事、HRで一番うまくやっているところは何をやっているのか、どうやっているのかを明らかにする。
最良の方法がどうしてうまくいくと思うのか、それをうまくいくと認識させる方法を考える。その際には、誰をミーティングに呼ぶかは注意しなくてはならない。

ベンチマーキング

現状の不満の上に構築するのが一番良い。
自分のマネジャーに影響を与えられるところ、自分のクライアントが価値をおいているところ、また雑誌の記事等を活用する。また、マネジャーをASTDのような会議に呼ぶのも1つの方法。
基本的には、第三者から何かを聞くのがよい。
また長期的な戦略は1回ではだめで、繰り返し行う必要がある。

所感

過去2年は、パフォーマンスコンサルタントはどういった人たちなのか、どういう仕事をしているのか、基本的なプロセスを示すだけだったが、今年はかなり具体的なスキル、方法を紹介した。2年前に比べるとプレゼンター自身もかなり経験を積んでいるのか自信をもって、自分たちのやり方を紹介していた。

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