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ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。
W405 リーダーシップとは何か? ミッシュラン北米社における改革を推進させる新定義
ミラン・ミゼロフスキー、ミッシュラン北米社 トレーニング/開発 責任者
概要
北米のミシュランが、リーダーシッププログラムの開発とその実施をとおしてパフォーマンスの改善を行った例を解説したセッション。
内容
ミシュランの歴史
ミシュランは設立1890年。設立から現在に至るまで創業者ファミリーの関係が続いている。
60〜90年代に急激に成長し、多くのプラントを立ち上げた
その間、品質・技術の革新が行われた世界で10位のタイヤメーカーからトップの企業になった。
しかし、90年代に入って、技術が一般的になってきた。また、グッドイヤーやブリジストンといた競争相手も出てきた。
そして、90年代初期は財政的な危機に陥り、技術的、財政的に破産状態になってしまった。
そこで組織の見直しが必要となった。グローバルなレベルの見直しが1996年に行われた。この変革はうまくいった。
変化の内容は、機能的な組織だったものを、市場フォーカス・顧客に近い組織に変えていこうというものだった。それによって顧客、従業員と共にビジネスにフォーカスする会社になった。
北米では再組織化が歓迎された。
しかし、そうした中でパラドックスがみられるようになった
パラドックスとは
パラドックスとは、良くなっていけばいくほど悪くなることもあることを示している。
問題はリーダーシップを発揮するとはどういうことかが理解されていなかったこと。現代は、スピードが速くなったが、それにどう対応していけばよいかがわからなくなった。そのためには、新しいものが必要となった。そうした中で、今日のリーダーは何なのか、新しいことをやらなくてはならないがそれは何か、役割は何か、人生のバランスをどう取ればよいのか、自分のコントロールを失いつつある(これはミシュランだけではなく一般的に起こっていること)という問題が認識され始めた。
プレゼンターは、アラバマでマネジャーと話をしていたときに、そのマネジャーは、子供がサッカーをやっているのだが、子供の試合を日曜日に行われるものも含めて一度も見たことがないという話を聞いた。そこで、人生についてのバランスが取れていないということを痛感したという。
アセスメント
ミシュランでは、パフォーマンスコンサルタントのアプローチに基づいて、パフォーマンスアセスメントが行われた。
アセスメントは、問題は何かを見極めて測定することだが、特に次のことが行われた。
- 組織の有効性のワークショップ
- エレクトロニックのサーベイ(どんな困難なことがあるか)
- フォーカスグループ(痛みは何なのか、苦痛は何なのか?)
- 個人面談(リーダーシップに照準を当てているだろうか?という質問をしたところ、機能に焦点を当てている組織だという答えが返ってきた)
以上の点からパフォーマンスの測定と評価を行った。そうした測定を通して信頼を得ることができた。
アセスメントの結果
- 今までは技術的なアプローチをとっていたが、それが壁にぶつかってしまった。機能ばかり考えてリーダーシップに届いていなかった
- マネジャーはアンサーマンとなっていた。マネジャーは何でも答えを知っている(本来はチームとして答えを見つけていくべき)存在であり、「事実をもっていきたら、私が答えをみつけてあげますよ」というものだった。
- リーダーシップは少しづつ発展していくもの
- 多機能チームをつくりあげた
- リーダーシップコーチングが欠けていた 実際にマネジャーは、ひと月に部下と15分しか費やしていなかった。
- カスタマーフォーカスが十分でなかった。
社内のコンサルタントと社外のコンサルタントのパートナーシップ
パフォーマンスベースのアセスメントを行った結果、シニアリーダーがやる気を出してくれないとだめだとわかった。そこで、社内だけでやってはうまくいかないため、外部にパートナーを捜した。外部のコンサルタントには、リサーチの方法、設計、促進役になってもらったり、革新のモデルを提示してもらうのがその役割である。そして、外部のコンサルタントと社内のコンサルタントでミシュランリーダーシップ(MLS:Michlin Leadership Series)を進めていった。
MLSは6つのモジュールからなっており、MLSはマネジャーを対象に実施された。全部で25シリーズが行われる(1回の参加者は10〜15名:最大15名)。
6つのモジュール
- リーダーシップを効果的にする
- リーダーシップコンピテンシーを紹介する
- 360度評価
- 変化をどのようにして主導していくか
- チェンジイニシアティブ
- コミットメントを高める
- Change as a competitive advantage
- マネージングワーク
- Technique for identifying and focusing on high-value work
- Kowing/understanding the workscape
- Establishment of protocols for effectiveness プライオリティの高いものと低いもののバランスをとる。時間、人材、他のリソースをどこに投資をするのか、ビジネスのストラテジーとビジネスのプライオリティと比べて判断できるようにする。何がしたいかではなく、何が重要かによって判断する。
- チームのプランニングとビルディング
- Growing the workforce
- Assesing and developing competencies
- Creating team focus and independence 個人的なレベルにフォーカスを与えている。
- 信頼性を高める
- コーチング
- 承認
- 建設的な対立
- ポジティブなインスピレーション
- 意思決定をして実行する
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- GEのワークアウトに倣ったもので、人を個人でもチームレベルでも意思決定をできるようにする。そこでは、話すだけではなく意思決定を行い、実行できるようにするのが目的。このモジュールはチーム外の人も入れて行う(5つ目まではチームの中で行う)
以上のようなモジュールをもとに、MLSは以下のように展開した。
展開
6つのモジュールを3,4週間ごとに実施
たくさんのことをセッションとセッションの間にしなければならなかったので、そのくらいの期間が必要だった。
経験的アプローチ
チームが抱えている問題を解決できるように進め、すべてのセッションが成功するようにした。
トップダウンの展開をした
自分の環境が変わっているということがわかるようになった。
※Q:シニアマネジャーのコミットメントをどのように上げたのか?
A:ニーズの評価によって信頼性が得られた。アセスメントでは、人を参画させて評価をしていった。その結果、他のグループも関心をもつようになった。そして、フォーカスグループをやってくださいという声が上がってきた。皆が、いろいろなコミット、関心を抱くようになった。
マネジャーを巻き込みながら実施していった。具体的には、マネジャーを巻き込み実践してもらい、それをリポートにする。そして、それを下の人間が実施する。周りにやっている人がいるので、モデルを提示してもそれは違うという話にならなくなった。
完全なチームによる展開
1つのチームを作って、そこから誰も欠けることがなく進めた。
そこで問題が発生したらすぐに対応できる。
瞬時に結果を出す。グループの仲間が良く知っているので意思決定ができた。
そうした中で、手順、しきたりをつくっていった。
ファシリテーター
- タッグチームアプローチ このチームを良く知っている2人のファシリテーターがいた。外部のコンサルタント(アチーブグローバル)は。内部の人間が言えないことを言う。問題があったときにはそれを言うべきだが、時には感情的になることもあるので、適切なときに適切な人が言うべき。
- 柔軟性をもったニーズ重視のファシリテーション
有益なツール
共有のリーダーシップモデル、コンピテンシーによってサポートされている
カスタマーフォーカスの360度フィードバック
社内から抵抗もあった(特にシニアからは抵抗が出た)。しかし、徐々に「360度から出たフィードバックをどのように扱うか」を考えるようになった。
モジュール1の後に360度フィードバックを行い、その後モジュールを重ねていき、再びモジュール4の後に360度フィードバックを行っている。
※ 360度は個人の人材育成のために使った。直接賃金にはつながっていない。賃金とパフォーマンスはつながっているが、360度とパフォーマンスはつながっていない。360度を受けるのはシニアマネジャー。
※Q:360度の効果はあるのか?
A:コーチングペアをつくって行動が必ず起こるように、同僚がコーチして実施できるように設計した。組織が進化していることがわかった。
他のイニシアティブとのつながりがあった
効率にリンクしており、他のトレーニングはいらなくなった。
MLSの結果
- リーダーシップは誰にとっても重要なアジェンダだとわかった。北米の会議では、コスト、クオリティ、リーダーシップの3つが重要なアジェンダになった(これまではリーダーシップは入っていなかった)。
- 1億5000万ドルの削減ができた。ビジネスとしてかなり結果が出た。
- 横断的なチームをつくった結果ビジネスプランを共有することができるようになるといった相乗効果が生まれた。ミーティングの40%が削減された(ある部門の例)
- 職務横断的なチームをいろいろな側面から人を集めてチームをつくった(昔は職務が違うと話を聞かないところがあった)。その結果、職務ではなくチームで責任をもつようになった。それが全体に広がっていた。プラントはものをつくるだけではなく、お客さま、営業等にも気をつかうようになった
- 週50時間労働が実現した。組織の中で価値と見られるものは、ものに対して努力を払うだけではなく、どういうアプローチをとるのかが重要になった。(必要によっては50時間以上働くこともある、これまでは70時間働く人もいた─人生のバランスが取れなかった)。週50時間は目に見えるメッセージとして組織に伝わった。
- 他の人たちをコーチするのがリーダーシップの大きな責任になった。コーチング、メンタリング、多様性のイニシアティブが自然に受け入れられるようになった。
- 99年は北米のミシュランでもっとも成功した年となった。
トレーニングの評価
ミシュランでは、すべてのトレーニングについて4段階の評価をしている。結果としては、レベル1、2は悪く、3、4は良いという結果が出た。これは、痛みを伴うエクササイズだったことを示している。トレーニングが痛みを得る価値があるものであることが示された。結果として業績は高まった。これは大きなパラドックスといえる。
次のステップ
- 2000年の第4四半期には、現在のプログラム(シニアマネジャー)は完全に終わってしまう。
- その後は、フロントラインのリーダーや「individual contributers」を対象に実施する。
学んだこと
- 深く広いニーズアセスメントにエネルギーをかける必要がある。
- パートナーシップはうまくいった。正しい外部のパフォーマンスコンサルタントを選ぶ必要がある。
- 強引に何かをやらせてはいけない。出てくるのを待つ必要がある。そのときにエネルギーが出てくるので、強引に押しつけてはいけない。
- トレーニングとオーガニゼーション・デベロップメントとパーソナル・デベロップメントを区別して考える。しかし、関連はさせる。ビジネスの課題は何かを考え、それにリンクさせていく。
所感
単なるトレーニングではなく、リーダーシップに焦点を当てた組織変革(パフォーマンスコンサルティング)のプロセスを丁寧に解説してくれたセッション。人々をいかに巻き込んでいったか、進める際のポイントや注意点、障害の克服、そこから自分たちが学んだことなどをわかりやすく説明してくれた。
パフォーマンスコンサルティングの実例としても参考になる部分が多かった。(参加人数は少なかったが、終了後は拍手が起こった)


