ASTD国際会議

ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。

M209 奉仕者的リーダーシップ:いかにサウスウェスト航空とTDIインダストリー社がトップを維持するか

アン・マギークーパー

主要トラック:リーダーシップとマネージメント開発

ASTDによるセッション紹介文

ある大きな航空会社や、機械修理会社、市立短期大学、病院、警察署、そしてテレ・コミュニケーション会社が何をお互いから学ぶことができたか?働く人々が「奉仕者的リーダーシップに依存した」文化の競争的優位を認識するにしたがい、多くの組織が変革しようと躍起になっています。これらのリーダーに満ちた文化の開発を支援するために、我々は奉仕者的リーダーシップ・ラーニング・コミュニティを結成すべく幾つかの組織を招待しました。その目的はコミュニティ・オブ・プラクティスや、最も成熟した奉仕者的リーダーシップ・チームへの続行した支援、そしてベスト・プラクティスや学んだ教訓を共有するためのフォーラムを提供することでした。今日、我々はこの道程を続けたい(または始めたい)と願う9の組織と仕事をしています。我々は2001年度において利益を計上し一時解雇をしなかった唯一の主要航空会社であるサウス・ウエスト航空や、ロバート・グリーンリーフ氏と共に奉仕者的リーダーシップの開拓者となったTDインダストリー社からの洞察を提供します。このセッションはASTDトレーニング証書プログラム参加者の必須になっています。

概要(参加者の人数など)

サウスウェストエアラインとTDインダストリーズ社の具体的な事例をビデオで紹介しながら、組織におけるサーバントリーダーシップの重要性を示したセッションであった。組織全体をそうした文化とストラクチャー、システムにするには、数十年を超える長い取り組みが必要であり、それが強固な組織的な強みを生み出すと共に、働く人々にとっても本当に意味ある価値をもたらすことを提示していた。

200名程度の参加者であるが、皆関心を持ってセッションに参加していた。具体的な方法論が提示されているセッションではないが、あるべき姿、方向性を示唆する内容として聴衆は関心を維持していたのではないかと感じる。


内容

講師のアン・マギークーパーが、まずサーバント・リーダーシップに関する見解を述べた。

サーバントリーダーシップは何を意味するのか?

冒頭で、サウスウェストエアラインのチェアマンであるハーブ・カレハー氏の言葉を引用し、コンセプトのイメージを伝えていた。

伝統的な上司・部下とサーバントリーダーシップの比較

また、伝統的な上司・部下の関係とサーバントリーダーシップを体現した組織では何が違うのかということを12項目にまとめて示していた。

サーバントリーダーシップの文化を養った組織の業績

TDインダストリーズ

驚くべきは、サーバントリーダーシップという言葉はともかく、社員1人ひとりを本当に大切にし、そこに組織の深い存在意味を見出す取り組みを、この会社では1952年から行い、それを今日までも継続している点である。

この会社では工具類の製造等を行っており、社員数1100名で彼らのことをパートナーと呼んでいる。165millionの売上で、2002年のフォーチュン100ベストカンパニー・トゥ・ワークで、第7位に入っている。
ビデオで職場の状況を映していたが、生まれたばかりの赤ちゃんを連れた母親が赤ちゃんの面倒をその場で見ながら仕事をしている。これに対する同僚は、インタビューで「赤ちゃんを産んだら育てる必要があるから、ここ(仕事場)に連れてきているんだ。僕らが支援すればいいことだ」というようなことを平然と発言していた。 また取り組みのフェーズを3期に分けており、それぞれの業績は以下の通りである。

第1期:1952〜
エンプロイー・オーナーシップスタート
Trust in the Leader
本質的なサーバントリーダー(ジャック・ロー氏)

第二期:1972〜
サーバント・リーダーシップの開発始まる
Trust in the Organization
リーダーのたくさんいる組織

第三期:1988−1990
ビジネスの危機:品質向上のスタート
Trust in Themselves

サウスウエストエアライン

サウスウェストエアラインは、アメリカの大手航空会社の中で突出した業績を上げている。2001年度の売上は6位にとどまるが、上位5社が赤字の中、サウスウェストのみが黒字であり、予算を上回る売上を上げたのもサウスウェストのみである。こうした状況をもたらした要因として、サーバントリーダーシップを掲げている。

サウスウェストの経営陣は、まさに社員、人々を大切にしている。その象徴的な事例として、セプテンバー11のことが紹介された。

9.11が発生した時点で、アメリカの航空会社はいつまで続くかわからない不測事態に陥った。経営陣が集まって話をしたときに、今後の経営を心配する中、トップは、「私が心配なのは、会社の経営ではなく、人々です」と宣言し、3日後には社員に報酬を確保するためのファンドを設立し、1人の解雇も出さず、サービスもストップせずに事業を継続した。アメリカの航空各社が多くの解雇を出す中で、異例のアプローチである。従業員もそれに応えるように、自分たちのイニシアティブを明らかにし、皆でこの不測事態へ対処したのであった。

また、ビデオでは、経営陣が社員と一緒に腕相撲大会を楽しんだり、家族たちも一緒に参加する姿が映し出され、こうしたサーバントリーダーシップの文化形成に「プレイ」が重要であるということを示していた。

サーバントリーダーシップは短期間ではなく、長期にわたる取り組み

また講師らが強調していた点として、サーバントリーダーシップの文化を築くのは、長期にわたる取り組みであり、ハイトラストカルチャーを構築するということがあった。

加えて、walk-the-talkも強調され、一貫した姿勢、リーダーが自分の過ちを素直に認めること、頻繁に人々がうまくやっていることを話すことといったことが紹介されていた。

所見

組織全体をエンパワーメントされた状況にシフトさせるリーダーシップは長期的な取り組みであること、さらに本質的な変化が必要となることがあらためて確認されたセッションであったように感じる。

閉塞的な状況の中では、こうした本質的な取り組みなくして、対処療法的なものでは難しいというコンセプトが、ASTDの中でも台頭しつつある感触を受けた。

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