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ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。
W110 噛み合ったリーダーシップを探訪する:組織的能力を開発するための骨組みとツール
クリス・アーンスト(センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ:シニア・アソシエート)、
パトリシア・オコナー(センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ:エンタプライス・アソシエート)
主要トラック:記載無し
ASTDによるセッション紹介文
リーダーシップは個人の臨界質量を選択し開発する以上のことを要求します。リーダーシップ・チャレンジは視野においては広大で、特性においては複雑です。それでこれらに対処するために参加的で集合的な戦力を要求するのです。「噛み合ったリーダーシップ」という言葉は個々のリーダーを超えてリーダーシップのプラクティスを開発しようとする新種か雑種の形態を指しています。この対話型セッションで、カギとなるコンセプトを「応用され生きている」複雑なリーダーシップ・チャレンジとリンクするツールの探求のための舞台を設定する「噛み合ったリーダーシップ」のフレームワークをプラクティショナーに紹介します。
概要(参加者の人数など)
150人ほどの人が参加していた。広い部屋が用意されていたためか、少しまばらな印象を受けた。熱心な人と途中で帰ってしまう人の両方が見受けられた。
このセッションはCCL(センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ)のコンファレンス・ウィズイン・ア・コンファレンスとして、一日中連続して4セッション行われたうちの最初のセッションである。
このセッションの目的は、以下の通りであった。
- 組織能力を高める可能性をもったリーダーシップデベロップメントの、新しく拡大されたフレームワークを学習するため
- コネクテッドリーダーシップの実践ツールを、実際の複雑なチャレンジ(挑戦する課題や事柄)に当てはめて考える 他の人とアイディアを共有することで、リーダーシップキャパシティ(能力)を拡大するための新しいアイデア、ツール、イノベーションを探求する。
内容
近年、様々なバウンダリー(境界線)は拡大し、複雑化している。それに伴い、チャレンジ(挑戦する課題や事柄)も複雑化している。
これらのチャレンジに取り組む際にコネクテッドリーダーシップという概念が重要になってくる。
リーダーに関する定義は多くの場合、個人の性質に関するものであることが多い。コネクテッドリーダーシップは、個人にももちろん注目するが、むしろその周りにも注目した概念である。
リーダーシップの定義
リーダーシップは、3つの基本となるタスクにフォーカスした組織メンバーの集合的な活動のこと。
- 方向性を定めること
- アラインメントを創造すること
- コミットメントを構築すること
方向性を定める
方向性を定めるためのキーとなる質問
- 我々はどこに向かうのか
- 我々は何をするのか
- 我々はなぜそれを行うのか
方向性を定めるためのキーとなる活動
- ビジョン、ミッション、目的、バリューを明確にする
- ゴールや成果、目標を明示する
- 戦略、戦術、手法を案出する
アラインメントを創造する
アラインメントを創造するためのキーとなる質問
- 我々はどのように状況に対する共有理解を作ればよいのか
- 我々のアクションをより調和させるには、どうすればよいのか
アラインメントを創造するためのキーとなる活動
- 我々の考え、活動、価値観の共通した土台を探す
共通責任と、それらの責任を実行するために必要な役割は何かを明らかにする
コミットメントを構築する
コミットメントを構築するためのキーとなる質問
- どうすれば我々は連携した状態でいられるか
- どうすればより良く我々は連携して働けるか
- 何が我々の協働を改善するか
コミットメントを構築するためのキーとなる活動
既存のリーダーシップストラテジーの限界
この3つのタスク(方向性を定め、アラインメントを創造し、コミットメントを構築する)を達成するには多様な組織的戦略がある。現在の状況を考えると、どの戦略がもっとも適しているのだろうか。
最もよく知られているリーダーシップストラテジーは、
「チャレンジを明らかにする→個人的リーダーの専門知識→すでに知られたソリューション→実行」
という戦略であり、これはリーダーの中にある、専門知識や権限に基づいた方法である。
しかし、チャレンジが複雑化するとリーダー個人はどんどん限界を感じるようになる。
理解をするための新たな手法
複雑化したチャレンジに取り組むためのリーダーシップストラテジーは、これまでのニーズアセスメント(課題の事前評価)という手法ではなく、ディスカバリー(発見)である。
○ニーズアセスメント
- ニーズを見極めることは可能であり、客観的に測定できるものであるという仮定がある
- ファシリテーターの専門知識を入れる
- あらかじめ決まっているエキスパートモデルを活用する
- すでに認められたツールやノウハウが存在するような技術的なチャレンジには効果的
○ディスカバリー
- ニーズは、組織メンバーの共有により、測定され、発見されるべきという仮定がある
- クライアントの専門知識を引き出す
- その時に現れた、時期に合った、デベロップメントツールを活用する
- すでに認められたツールやノウハウが存在しないような複雑化したチャレンジには効果的
このプロセスは以下のプロセスで行う。
チャレンジを発見する→集合的知識→共有の意義→操縦する
リーダー間で、知識や権威が増す。
ディスカバリー・エクササイズ
実際にディスカバリーをするための演習プロセスを体験した。
- 自分自身の組織が体験している複雑化したチャレンジは何か?
- 3人グループを組む
- それぞれのメンバーが自分たちの複雑化したチャレンジを2〜3文で説明する
- ビジュアルイメージを見る。その絵と自分の複雑化したチャレンジとの接点が見られますか
- 最初に接点を見い出した人のチャレンジがまずは「クライアント」になる。その他の人は「ディスカバリー・ファシリテーター」になる
- スターモデルを使って、中心にあるチャレンジを探求する
- 「クライアント」が自分の絵を説明する。最初に説明した後に、自分のチャレンジと絵の間の共通点を話す
- ディスカバリー・ファシリテーターに絵が渡され、クライアントは静かに聞く。この段階では、その絵やチャレンジはグループに所有されている。
- ディスカバリーファシリテーターは何が見えるのかを表現し、絵とチャレンジとの間の接点を話す。問題解決したり、判断、アドバイスをしない。
- もとの人に絵が戻される。このダイアログで得た新しい洞察などを加えて要約する。
- そのほかの人の絵とチャレンジについても同じプロセスを行う
所見
コネクテッドリーダーシップという、今後のリーダーシップの新しい概念となり得る1つの大きな方向性を示したセッションであった。
また、そのコネクテッドリーダーシップを実際に組織の中でつくっていくための具体的な方法論もこのセッションの中では一部示されていた。コネクテッドリーダーシップをプラクティスとして入れ込むための方向性が徐々に示されてきたといえる。
ただし、セッションの内容の多くは、一昨年にCCLがコネクテッドリーダーシップを打ち出したときから、それほど大きな進化があったようには感じられなかった。
CCLも、コネクテッドリーダーシップのコンセプトの具体的な展開については、まだ模索している最中ではないかと思われた。
また、言葉1つをとっても、取り組む事柄を「問題・Issue」と呼ばず、「チャレンジ」と呼んだり、「ニーズアセスメント」ではなく「ディスカバリー」という言葉を用いるなど、従来のパラダイムやメンタルモデルから抜け出すことを意図しているように思われた。リーダーシップを、個人へのフォーカスから、組織的能力へフォーカス、問題解決パラダイムから未来創造パラダイムへの転換といったフレームシフトを強く意図しているように思われた。


