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ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。
TU408 リーダーシップの風格:人の心に到達し、モチベートし、ひらめきを与える劇的なテクニック
シーン・カバノフ, ベル・ハルパン(エリエル・グループ社、創始者 パートナー)
主要トラック:個人的および職業的効果性
ASTDによるセッション紹介文
偉大な俳優はそれを持っています。偉大な政治家もそれを持っています。キャシーとベルは10年以上に渡ってビジネスリーダーたちにそれを教えてきました。それは「風格」と呼ばれるもので、その人の聴衆の心や頭脳と誠実にコネクトする能力です。このプログラムはドラマや、音楽、そしてストーリーを含んでいます。それはフォーチュン1000社に含まれる会社にシアターを利用してリーダーシップを教えてきた10年の経験を基にしています。あなたが1人の個人をコーチングしているか、何百人かをモチベートしているかに関わらず、あなたは情緒的かつ知的レベルで彼らの心に達する必要があります。いかに偉大な俳優が舞台の風格や力強いコミュニケーションのスキルを開発するかを学び、これらのスキルがどう企業の世界に直接応用できるかを見て下さい。あなたがカンファレンス・テーブルの議長であろうと、カーネギー・ホールの舞台の中心にいようと、あなたのゴールは同じです。それは聴衆とコネクトすることです!人を楽しませ、物知りになることです!風格を持って下さい!成功するリーダーや、マネージャー、そしてトレーナーは信頼を築き、注意を向けさせ、相互関係を開発し、真心とコミュニケーションを持ちます。ひと口に言えば、彼らは「風格」を持っているのです。この90分の対話的ワークショップは風格の基本を参加者に紹介し、職場における誠実な風格を応用する方法を紹介します。対話的で楽しいこのセッションは、参加者のリミットを引き上げ、彼らの誠実なリーダーシップ・スタイルを強化する練習に彼らを巻き込みます。ビジネスや、シアター、そして教育において経験あるこの講演者は、現実のビジネス状況にその練習をあてはめます。
概要(参加者の人数など)
600人収容の会場は、開始時点ではほほ9割の席が埋まっており、開始前からにぎやかな雰囲気に包まれていた。参加者は欧米人が中心。比較的年配の参加者が目立った。
内容
映画Saint Crispin’s Campaignの場面の上映からセッションは始まった。
※この映像では、リーダーが民衆を鼓舞するシーンが映されている。俳優の持つスキルと、リーダーが必要とするスキルには共通項があることを想起させるために、この映像が使われている。
プレゼンス
Ariel グループでは、トップマネジメントを対象としたサービスとして、2日間のセッションで、俳優の持っているスキルを応用したリーダシッププレゼンスを教えている。元々のコンセプトは、コメディアンであった創業者の父から由来し、その流れからリーダシップを伝えることになった。
受け手との関係をつくるという点では、リーダーと俳優には共通項があるというのが背景にある考え方である。実際に、俳優養成のためのワークショップには、多くのビジネスパーソンが参加している。
リーダーシッププレゼンスの定義
Arielグループが定義する"リーダーシッププレゼンス"とは、『目指すべき成果の達成に向けて人々を鼓舞しやる気を高めるために、心と気持ちの奥底から相手と信頼で結ばれることができる能力』。
歌によるパフォーマンス
俳優が持っているスキルの1つとしての感情表現を、歌によるパフォーマンスで紹介。2パターンで同じ歌を歌い(明らかに後者の方が聴衆に訴えかける)、その違いを示した。以下のような要素が、リーダーにとっても応用できる例として例示された。
- ボディランゲージ
- 情熱
- アイコンタクト
- 声のバラエティの多さ
- ボディランゲージと発声との連動
- 落としどころを元にした全体構成
- 役になりきる
- タイミングの使い方
- 感情移入:状況に応じて違う振る舞いをすること。役割をそれぞれの状況で演じる。外見をまねることからはじめて、内面を学ぶようになる。
- 自信ある態度
- 集中とリラックスの使い分け
これらのスキルは、実はリーダーのスキルでもある。
リーダープレゼンスの構成要素
"リーダープレゼンス"は、次の4つの要素から構成される
Present:その瞬間に集中し、柔軟であり、自発的であること
Reaching out:相手と関係を構築し、信頼し、耳を傾けること
Expressive:表情とボディランゲージと発声が一体となっていること
Self-knowing:自信、EQなど
Presentの詳細
その瞬間に集中し、不用意なことに対応できる柔軟性があること
(Completely in the moment and flexible enough to handle the unexpected)
たとえば劇で言うと、ライトから水がしたたり落ちて、観客が劇に集中できないときに、そのしたたりおちた水を俳優が一瞬なめて確認することで、観客の集中を劇に取り戻す行為が、Presentの例。
Reaching out
次の2つの点に注意して相手に耳を傾けることで、相手とより深い関係を築くことができる
- 感情面で相手と繋がることを意識する
- 相手の強みと価値観(Values)が何なのかを意識する
Expressive
感情と声と体が合致する必要がある。
Congruent in message, emotion, voice and body
これができれば、リーダーは部下と感情面で共感を示すことができるようになる。
エクササイズ:状況設定をして、そこにいろいろな感情を交える。モード1と2があるリストを使って、交互に感情を変える。
Reaching out
共感や耳を傾けることや信頼できる関係によって、関係を築く
Build relationships through empathy, listening and authentic connection
Self knowing
これを上げる方法の1つは、自分がどういったことを経て、現在こうなったかを振り返る方法がある。そのエクササイズとして、ストーリーテリングがある。
ストーリーテリングの例:
プレゼンターの女性は、20代前半のときはニューヨークでステージに立っていた。その当時は、どうやって自分をよく見せるかということにばかり集中していた。その結果、観客に対しても、どこか身構えてから接していた。しかし、弟が住んでいるサンフランシスコで大地震が発生したときに、弟の安否を気遣いながら舞台に立ったところ、身構えずにオープンな気持ちになることができた。そのときの演技はすばらしかった。この経験は、自分の観客に対して望む姿勢を大きく変えた。
ストーリーテリングのエクササイズの方法
- 2人1組で行う
- 1人はストーリーを話す側、もう1人はストーリーを聞く側(リスナー)
- ストーリーを話す側:自分のストーリーと、そこから学んだことを2分で話す
- リスナー:
- その話を聞いて、どういう点に心動かされたかを相手に伝える(what moved/touched me was)
- 2.相手の現在の価値観や強みにどう繋がっているかを話す(what I heard as your strengths and vales were)
所見
ストーリーテリングなどを中心に、俳優とリーダーに求められるスキルの共通項に着目し、そのスキルの具体的な練習方法を紹介している点で興味深い。
今回のASTDでは、リーダーシップに関して相手とコンテクスト(背景)を共有し、そこから相手との信頼関係を築いたり、方向性を共有していくという流れがあるように感じられる。その一環として、こうした具体的な感情や気持ちの伝達スキルにも注目が集まっているという関連があるのかもしれない。
本セッションで紹介されているような伝達スキルを習得することは、実際にリーダーがコンテクストとして持っている様々な要素をメンバーと共有する営みをする上で、1つ強力なサポートツールになるのではないかという可能性を感じることができた。



