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ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。
ASTD2005事前レポート
ASTDコンファレンスが2005年も開催されます
組織と個人が対立的ではなく、お互いに貢献し合えるような関係性を再構築していくことが世界的に模索されている状況において、組織が成果を高めるために行う様々な取り組みも、大きく様変わりしようとしています。
そのような背景の中、2005年もASTDコンファレンスが6月5日〜9日(プレコンファレンス・ワークショップ:6月3日〜4日)の期間、米国フロリダ州オーランドにて開催されます。このコンファレンスは、職場における学習・訓練・開発・パフォーマンスに関する世界第一の会員制組織であるASTDが、毎年開催しているものです。そこには、世界中から先駆的企業や教育機関・行政体のリーダーたちが集い、現在直面している諸問題にどのように取り組んでいるかをお互いから学び合います。ASTDコンファレンスは、世界における人材開発の最新動向に触れながら、企業の枠を越えて、これからの人材開発や組織のあり方について多くの人との情報交換や課題の探求をしていく最高の場であるといえます。
本レポートでは、ASTD2005コンファレンスの開催に先立ち、今年のコンファレンスではどのようなことがテーマになるのか、どのような人が講演を行うのかといった見所をご紹介していきたいと思います。
1.ASTD2005の主要テーマ
ASTD2005は以下の9テーマを中心に展開されます。
- Career Planning and Talent Management (キャリアプランニングとタレントマネジメント)
- E-Learning(Eラーニング)
- Leadership and Management Development(リーダーシップとマネジメント開発)
- Learning as a Business Strategy(ビジネス戦略としてのラーニング)
- Measurement, Evaluation, and ROI(測定、評価、ROI)
- Facilitating Organizational Change(組織変革をファシリテートする)
- Performance Improvement(パフォーマンス改善)
- Personal and Professional Effectiveness(個人的および職業的効果性)
- Designing and Delivering Learning(ラーニングをデザインし、デリバリーする)
これを昨年のテーマと比較すると次のようになります。

昨年と比較して変化した点として、次のようなことが挙げられます。
- 1番のキャリアを扱うカテゴリーにおいて、”Talent Management”(タレントマネジメント)という言葉が出てきている
- 6番の評価測定を扱うカテゴリーにおいて、ROIという言葉が付け加えられている
- 7番の組織変革を扱うカテゴリーにおいて”Facilitating Organizational Change”(組織変革をファシリテートする)というように、「ファシリテート」という言葉が使われている
- 9番のトレーニングを扱うカテゴリーにおいて、トレーニングという言葉から”Designing and Delivering Learning”(ラーニングを設計し、デリバリーする)に変更されている
テーマを見た限りでは、大きな潮流の変化はうかがえませんが、ASTDでは、起きているトレンドに対して、カテゴリーの切り方を変えてくる傾向もみられますので、これらのカテゴリーの切り口が変更されたセッションの中では、今年はどのような変化が起きようとしているのか、特に注目したいものです。
各コンカレントセッションを見てみると、昨年に引き続き、ラーニング・オーガニゼーションを取り扱ったセッションが多くあることがわかります。具体的には、「SU306: Leading Enterprise-Wide Change: Superior Results Through Strategic Thinking」や、「SU311: Prisoners of Our Thoughts: Viktor Frankl’s Principles at Work」のように、思考や認知のあり方に働きかけることを通して、個人や組織の変革を図っていくことをテーマとしたセッションが多く見受けられます。特に思考のあり方を探求するセッションはその他にも、「SU307: Rewire Your Head: New Thinking for Navigating the 21st Century」や、シックスハットで有名なエドワード・デ・ボノ博士が講演する「SU401: The Human Brain is Not Designed To Think. What Can We Do About It?」などがあり、注目してみたいものです。
組織としては、今年はNASAが複数のセッションをもっています。具体的には、「SU411: Space-Age Knowledge Transfer: Storytelling Through ASK Magazine」や「TU204: Building Knowledge Communities at NASA: The APPL Knowledge Sharing Initiative」などラーニング・オーガニゼーション関連をテーマとしており、こちらも興味深いといえます。
また、リーダーシップや組織変革を扱ったセッションにおいては、Value(価値観)やEthic(倫理)、Faith(信条)などのキーワードが多く見受けられ、リーダーシップのあり方が「Do」から「Be」へ移行し、バリューや信条に働きかけていくことの重要性について、あらためてうかがえると考えられます。具体的には、以下のようなセッションに注目してみたいと思います。
「SU404: Assessing and Aligning an Ethical Climate: Lived vs. Espoused Values」
「M111: Value-Based Generation Shifts」
「M312: Faith at Work」
「M206: Your Leadership Legacy: The Difference You Make in People’s Lives」
2.ASTD2005の基調講演スピーカーの紹介
今回の基調講演のスピーカーは、ニューヨークを舞台とした2つの取り組みが紹介されます。従来のような企業事例ではなく、社会やコミュニティをどのようにしていくのかを扱っています。加えて、元ナショナル・ジオグラフィックのカメラマンを紹介するなど、ASTDの関心が企業の枠を超えてきていることがうかがえます。また、社会や組織の変革のツールをアートや教育、行政の中から学ぶという方向性もあるかもしれません。
基調講演1:Rudy Giuliani(ルディ・ジュリアーニ)
元ニューヨーク市長であるルディ・ジュリアーニ氏は、在職期間中、ニューヨーク市の生活の質の向上、犯罪の防止、産業の発展、教育の質の向上などに大きく貢献し、今では、ニューヨークは他の都市から手本として見習いたい都市としての地位を確立しています。特に、氏のリーダーシップの下、ニューヨーク市の犯罪発生率は57%低下し、ニューヨークは全米で最も安全な都市へと変化したことは有名です。
基調講演の中では、そうした変革の過程において、ルディ・ジュリアーニ氏が、いかにその強固なリーダーシップ、勇気、そして深い人間性によって、世界中から尊敬の念を集めるようになったかを垣間見ることができるでしょう。
基調講演2:Bob Knowling(ボブ・ノウリング)
高いスキルを有したチェンジ・エージェントとして、ボブ・ノウリング氏は、これまでAmeritech社やUSWest社で活躍してきました。現在は、ニューヨーク・シティ・リーダーシップ・アカデミーのCEOとして同組織を率いています。同アカデミーでは、ニューヨーク市における学校の先生や生徒、そしてコミュニティの両親たちを触発し、導くことのできる校長先生たちのチームを形成することを目的にしています。その中で彼は、コーポレート・アメリカやUSミリタリーの技術を活用しながら、学校の校長先生をチェンジ・エージェントへと変革させることに従事しています。
より詳しくは、以下に示したニューヨーク・シティ・リーダーシップ・アカデミーのホームページを参照のこと。
http://www.nycleadershipacademy.org/00_00_home.html
基調講演3:Steve Uzzell(スティーブ・ウゼル)
スティーブ・ウゼル氏は、広告と企業における著名な写真家です。元ナショナル・ジオグラフィック氏のスタッフであったスティーブ・ウゼル氏は、可能性と創造性に秘めた衝撃的な写真を使うことによって、どんな冒険的事業をもアドベンチャーにしてしまうような刺激を我々に与えてくれます。スティーブはプロジェクトを行うときの基本を、「チャンスというのはよく準備された心に宿る」ということにおいています。私たちの目は、私たちが理解しようと準備したもののみを見ることができるのです。彼は1年の半分を、世界を旅することに使い、”Open Roads Open Minds: An Exploration of Creative Problem Solving”(開かれた道、開かれた心:創造的な問題解決の探検)というプレゼンテーションを行っています。
以上、Steve Uzzell氏のHPより、抜粋。より詳しくは、以下に示した同氏のホームページを参照のこと。
3.ASTD2005レジェンド・シリーズ・スピーカーの紹介
ASTD2005では、レジェンド・シリーズとして、ラーニングとパフォーマンス分野の経験豊富で影響力をもつメンバーによる示唆に富むプレゼンテーションが行われます。今年は、以下の4名の講演が予定されています。
エドワード・デ・ボノ:クリエイティブ思考における世界的名声をもつエキスパート
エドワード・デ・ボノ氏は一般的に「クリエイティブ思考」の世界的な主導的権威として知られています。彼の基盤となる著書『思考のメカニズム』は1969年に出版されています。その中で、彼は不均衡に形成された頭脳の神経ネットワークが、どのように認識のベースとなっているかを示してくれました。このネットワークからエドワード・デ・ボノ氏は「ラテラル思考」の概念とツールを開発しました。彼の仕事でたいへん特異なことは、学問的な文章に隠されたままにしておくよりも、むしろそれを5才以上の人なら誰にとっても実際的で利用できるようにしたという点です。「ラテラル思考」という言葉はボノ氏によって紹介され、今では一般的な用語となっています。
デ・ボノ氏は1933年にマルタ島で生まれました。彼は第二次世界大戦中に現在のマルタ大学の前進であるマルタのセント・エドワード大学に通い、そこで医学の資格を取得しています。その後、彼はローズ奨学金受領者としてオックスフォード大学のクライストチャーチ校へと進み、心理学と生理学の名誉学位を取得し、さらに医学博士号も取得しています。またケンブリッジ大学の博士号やマルタ大学の医学博士号ももっています。彼はオックスフォードやロンドン、ケンブリッジ、そしてハーバードの大学で役職をもっています。
人気のある著書の中には“Six Thinking Hats”, “Lateral Thinking”, “Creativity Step-by-Step”, “Serious Creativity”, “Using the Power of Lateral Thinking to Create New Ideas” があります。
ジャック・フィッズオンズ:人的資本の戦略と分析の父
ジャック博士として世界的に知られている彼は、人的資本の戦略と分析の父として認められています。世界的に認識された人的資源管理の権威であるフィッズオンズ氏は人的資本のベンチマーキングやパフォーマンス測定の分野を切り開いてきました。彼の数ある業績の中の1つに、サービスと品質そして生産性を結ぶコネクションの画期的研究があります。「フォーチュン100社」中の9割が彼のベンチマークシステムを応用してきました。彼は人的資本管理に関する本を5冊執筆しています。彼の最新作である“The ROI of Human Capital” の中で、フィッズオンズ氏は、社員パフォーマンスの経済的価値を測定する特典を紹介しています。
また、フィッズオンズ氏は米国の主要なテクノロジー、金融サービス会社において人事関係の上級役職を務めてきました。1977年に彼はHR測定基準と分析の分野のリーダーとして認識されているサラトガ・インスティチュートを設立し、「知的測定がパフォーマンス改善の根本となる」という前提的命題に献身してきました。
エリオット・メイジー:テクノロジー、ラーニング、そしてピープルの未来主義者
エリオット・メイジー氏はテクノロジーやビジネス、ラーニング、そして職場生産性のクリティカルな話題に関する未来主義者、分析者、研究者、そしてユーモア派として国際的に認識されています。彼は、ニューヨーク州サラトガスプリングスにあるメイジーセンターの長を務めており、このシンクタンクではいかに組織がテクノロジーを吸収し、労働戦力内の連続的ラーニングや知識を創造できるかに専念しています。
メイジー氏のプロフェッショナル的フォーカスは、組織が重要な選択をする際にその英知と資源を活用することを可能にするために、テクノロジーの世界を教化することに置かれてきました。また彼は組織中の知識やラーニング、そして協働の展開を加速させるためのモデルを開発してきました。メイジー氏は専門用語「Eラーニング」を最初に使用した分析者として知られ、企業の効果性や利益性を支援する手段として、ラーニングや協働のテクノロジーの健全な展開を擁護してきました。
ジムおよびにデーナゲインズ・ロビンソン:ヒューマンパフォーマンス改善のリーダー
ジム・ロビンソン氏は以前の職務における現場管理者やトレーニング監督者としての経験をもつ「変革のパートナー」の会長です。数年の間、彼はディベロップメント・ディメンションズ・インターナショナル社の副社長を務めており、その最も成功した監督トレーニングプログラムの開発者でもあります。デーナゲインズ・ロビンソン女史は1981年に「変革のパートナー」を創設しました。外部コンサルタントになる以前に女史は9年間に渡って内部人的資源管理者を務めました。
デーナとジムは、揃って人的パフォーマンス改善におけるリーダーとして認められています。彼らは数冊の本を一緒に書いており、その中に”Training for Impact” と“Performance Consulting” があります。“Performance Consulting” は、出版された際に人的資源管理協会の「ブック・オブ・ザ・イヤー」賞を受賞しました。
そのほかに、彼らはASTDから出版された”Moving from Training to Performance” を共同編集したり、“Zap the GAPS! Target Higher Performance and Achieve It!” をケン・ブランチャードと共著しました。彼らの最新作には“Strategic Business Partner: Aligning People Strategies with Business Goals” があります。
また、デーナとジム・ロビンソンは、ASTDから「職場ラーニングとパフォーマンスにおける顕著な貢献」賞を受賞しています。この賞はパフォーマンス改善における画期的な業績とトレーニング及びに人的資源産業における彼らの持続的インパクトを賞賛するものです。また彼らはISAによる「思考リーダーシップ」賞も受賞しています。
(以上、ASTD2005公式ホームページより)
参照:ASTDについて
ASTDは、1944年に設立された非営利団体で、世界中の企業や政府等の組織における職場学習と、従業員と経営者の機能性の向上を支援することをミッションとした、訓練・開発・パフォーマンスに関する、世界第一の会員制組織です。米国ヴァージニア州アレクサンドリアに本部を置き、現在100以上の国々に70,000人余りの会員(会員には20,000を越える企業や組織の代表が含まれる)をもっています。
ASTDは国際的な企業と産業の訓練資源に対して比類ないアクセスをもち、この団体の事業は、世界の最高水準にあると認められています。ASTDは、トレーナーやトレーニング・マネジャーたちに専門的な開発材料やサービスを提供し、職場における学習促進を援助し、世界中の政府・企業等、各種組織に属する従業員や役員たちのコンピタンス・パフォーマンス・充足感を高める手助けをすることを使命としています。