ASTD国際会議

ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。

ASTD2006事前レポート

ASTD2006 Conference & Exposition 事前レポート(見所の紹介)

2006年もASTDコンファレンスが、5月7日〜10日にテキサス州ダラスにて開催されます。このコンファレンスは、職場における学習・訓練・開発・パフォーマンスに関する世界最大の会員制組織であるASTDが毎年開催しているものです。

そこでは、世界中から集った先駆的企業や教育機関・行政体のリーダーたちが、現在直面している諸問題にどのように取り組んでいるかを企業の枠を越えて学び合い、また、世界における人材開発の最新動向に触れながら、これからの人材開発や組織のあり方について多くの人との情報交換や課題の探求をしていく最高の場であるといえます。

本レポートでは、ASTD2006公式ホームページに掲載されている内容をもとに、今年のコンファレンスではどのようなことがテーマになるのか、そして、どのような人が講演を行うのかといった見所をコンファレンスに先立ってご紹介していきたいと思います。


ASTD2006の主要テーマ

  1. ASTD2006は、昨年と同様に以下の9テーマを中心に展開されます。
  2. Career Planning and Talent Management
    (キャリアプランニングとタレントマネジメント)
  3. E-Learning(Eラーニング)
  4. Leadership and Management Development(リーダーシップとマネジメント開発)
  5. Learning as a Business Strategy(ビジネス戦略としてのラーニング)
  6. Measurement, Evaluation, and ROI(測定、評価、ROI)
  7. Facilitating Organizational Change(組織変革をファシリテートする)
  8. Performance Improvement(パフォーマンス改善)
  9. Personal and Professional Effectiveness(個人的および職業的効果性)
  10. Designing and Delivering Learning(ラーニングをデザインし、デリバリーする)

リーダーシップの動向

各コンカレント・セッションの概要を見ると、まず例年高い注目を集めているリーダーシップの分野では、今年は大規模な調査の結果や最近のトレンドから、未来のグローバルリーダー像を探ることに焦点を当てたセッションが増えていることがわかります。

「SU414: Leading Into the Future:A Global Study of Leadership 2005-2015」では、AMA(American Management Association)がワールドワイドで行った1600の調査と40のインタビューの結果をもとに、テクノロジーの変化やグローバルトレンドが進む環境における未来のリーダーシップ像と、リーダーシップ開発のあり方に関する仮説を提示します。

「M115:Leadership in Tomorrow’s Global Organization:15 Questions Keeping You Up at Night」では、DDI(Development Dimensions International)が、42カ国4500人以上のリーダーを対象に行った調査、「Leadership Forecast 2005-2006 Best Practices for Tomorrow’s Global Leaders」の結果を紹介します。

また、例年リーダーシップに関するセッションを複数行っているCCL(The Center for Creative Leadership)は、「SU314:A New Map of Leadership ? Global Trends Impacting Leaders and Leadership Development」というタイトルのもと、リーダーやリーダーシップ開発に影響を与えているグローバルなトレンドを紹介しています。

その他にも、例年リテンションをはじめとした、個人と組織の結びつきをテーマにセッションを行っているBeverly Kaye氏が、レジェンド・シリーズの中で「The Leader’s Role in Growing Other Leaders」というタイトルのもと、リーダーの役割について焦点を当てていたり、Innovations International社CEOのWilliam Guilloy氏が、「The Future Perfect Organization:Leadership for the 21st Century」というセッションで、21世紀のリーダー像を提示しています。今年もリーダーシップの動向には注目して見ていきたいところです。

ストーリー

昨年のコンファレンスでは、「コンテクストを共有すること」が大きなテーマとして取り上げられ、様々なセッションが行われていましたが、その中でもコンテクストを共有する有効な手段として、「ストーリー」の重要性が高まっているといえます。今年のコンファレンスで、ストーリーをテーマに扱うセッションには、次のようなものがあります。

まず、フィーチャード・スピーカーとして招聘されたフランクリン・コヴィー社のシニア・コンサルタントMette Norgaard氏は、「M101、TU101:Stories@Work: Nothing Changes Until The Story Changes」というタイトルでセッションを行います。概要の中で同氏は、まずリーダーは、組織にどのようなストーリーが流れているかを知る必要があると述べています。

また、「TU307:The Story Theater Method:Using Emotional Triggers to Enhance Learning」のセッションをもつStory Theater International社のプレジデントDoug Stevenson氏は、聞いている人が積極的に参加したくなるようなストーリーの伝え方をテーマにあげています。

以上のように、ストーリーを扱うセッションも、今年の一つの潮流といえるかもしれません。

Innogizer(イノジャイザー)

Innogizer(イノジャイザー)は、”Innovation”と”Energizer”の造語として、昨年のコンファレンスから新たなカテゴリーとして登場しました。その中では、音楽やドラマを使って、参加者に活力や新たな発想を与えるセッションが行われていましたが、今年はその内容がさらに充実してきています。組織にイノベーションを起こすためにアートや音楽を使うことの重要性が認知されはじめたといえるかもしれません。

具体的には、次のようなタイトルのセッションが行われます。
「SU404:Secrets of a Theater Director: Inspiring Award-Winning Performance」
「SU405:Leadership and All that Jazz?Improvisation and Ensemble Principles for Teams」
「M306:Direct Leadership: Put Your Leaders to Work, But First Teach Them The Trade」
「M307:Three Deep Breaths: Skills for Peak Performance and Vitality」
「TU306:The Power of Interactive, Experiential Game Technology to Accelerate Learning」
「TU307:The Story Theater Method:Using Emotional Triggers to Enhance Learning」
「W304:Relating Dance to Communication: Lessons from the Argentine Tango」
「W305:Rhythm Circles」

充実するキーノート・スピーカー、レジェンド・シリーズ、フィーチャード・スピーカー

ここ数年のコンファレンスの傾向として、ロールモデルとしてのリーダー、あるいは実践から学ぼうという動きがあり、すばらしい業績を残したリーダーたちがキーノート・スピーカーとして招聘されています。

今年最も注目されるのは、GEの元CEOジャック・ウェルチ氏といえるでしょう。2001年にGEのCEOを退任したウェルチ氏が、ASTDの参加者にどのようなメッセージを伝えるのか楽しみです。また、クロージング・キーノート・スピーカーを務めるClara Adams-Ender氏は、小作農の娘として生まれ、陸軍看護師の奨学金により大学を卒業しました。その後、世界各国から集まった22000人の看護師をまとめる陸軍看護師団の看護師長として、またバージニア州フォートベルボワール基地においては看護師として、陸軍史上初の司令官になりました。彼女の生き様から語られるリーダーシップにも注目が集まります。

また、レジェンド・シリーズにおいては、AI(Appreciative Inquiry)の創始者であるDavid Cooperrider氏が講演を行います。AIは、最近日本でも注目を集め始めており、同氏の講演にも期待が高まるところです。


ASTD2006の基調講演スピーカーの紹介

ジャック・ウェルチ(Jack Welch)

ゼネラル・エレクトリック(General Electric)元代表取締役兼CEO

マサチューセッツ州サレムで生まれたウェルチ氏は、マサチューセッツ大学において理学士号を取得した後、イリノイ大学で化学工学の修士号と博士号を取得しました。

1960 年のゼネラル・エレクトリック社への入社から、1981年に同社8代目会長兼CEOになるまでの約20年の間に、ウェルチ氏は、ゼネラル・エレクトリック社を官僚主義的な巨大企業から、ダイナミックで尊敬される最強の企業へと変革していきました。その結果、GEのマーケットバリューは130億ドルから 5000億ドルへと拡大化し、そのマネジメント・イノベーションへの取り組みも評価され、その時代の最も影響力のあるCEOに選ばれました。

GE を引退した2001年にウェルチ氏が著した伝記、『JACK: Straight From The Gut (ジャック:腹を割って)』は、ニューヨークタイムズが評する伝記分野でのベストセラー第一位に輝きました。また、執筆だけではなく、彼は時間をかけて世界中の組織のあらゆるレベルの人々に講演し、幅広いトピックに関する質問に答えています。これらの講演会は、彼と彼の妻スージー・ウェルチ氏による著書「Winning(勝利)」(2005年4月出版)の発想のもととなりました。

現在ウェルチ氏は、フォーチュン500社のCEOのアドバイザーを務め、ジャック・ウェルチ有限責任会社(Jack Welch, LLC)の代表をし、世界中のビジネスマンや学生に講演を行っています。

スディーブン・レビット(Steven Levitt)、ステファン・ダブナー(Stephen Dubner)

ベストセラーである「Freakonomics」の著者

銃とプールは、どっちが危険なのでしょう? 学校の先生と、相撲レスラーに共通することはいったい何でしょう?なぜ麻薬密売人は、親と同居し続けるのでしょうか?親たちは一体どれだけ気にしているのでしょう?
「ロウ対ウエード事件」(人工中絶を合憲としたアメリカの有名な訴訟判決)が、どれだけ犯罪の発生に重大な影響を与えたのでしょう?

こうした質問は、経済学者達が尋ねる典型的な質問のように聞こえないかもしれません。
スティーブン・D・レビット(Steven D. Levitt)は、不正や犯罪、スポーツ、育児など、普段の生活における不可思議なことを検証する若き著名な経済学者であり、典型的な質問を行う経済学者達とは違います。

著書で新しい研究分野として扱われる「Freakonomics」の領域では、生死に関わる問題から、明らかに風変わりな問題まで扱われます。そのような今まで問われてこなかったようなシンプルな疑問から探し出される大量のデータは、一般通念を覆す内容になっています。

力のこもったストーリーテリングや鋭い洞察力を通して、レビット(Steven D. Levitt)と共著者であるステファン・J・ダブナー(Stephen J. Dubner)は、「経済学の根源とは、人々が他の人と同じものを望んだり、必要とする際に、それらを得る方法についての研究であること」を示します。

彼らは、著書『Freakonomics』の中で、ギャングの内密の仕事や、不動産管理人についての真実、選挙資金についての神話や、不正をしている教師の秘密を漏らす印、クー・クラックス・クランの秘密など、すべてのことの隠された側面を探し出すことを始めました。

こうした話は、不明瞭化や複雑さ、完全という偽りを装っているものの、現在の世界において、知ることができないとか、見通しが立たないというわけではありません。ただ正しい質問がありさえすれば、より一層興味をそそるものとなるような共通する信条をもっているのです。そのようにレビット(Steven D. Levitt)は、非常に賢明で、注意深い思考を通し、混乱した状況から物事を見通す新しいものの見方を示します。

もし、道徳が我々世界にあって欲しい姿を表していると仮定すると、前例に囚われない根拠を確立する「Freakonomics」では、経済学を「実際には世界がどのように動いているか」を示すものとして表しています。この本の読者は、1000回のカクテルパーティーを過ごせるほど、多くの不可思議なことや物語を知るでしょう。しかしそれ以上に、私たちの現代社会へのものの見方自体を変えることになるでしょう。

クララ・アダムズ・エンダー(Clara Adams-Ender)

退役の陸軍准将

クララ・アダムズ・エンダー氏が立身出世するということには、何の疑問もありませんでした。なぜなら、彼女の両親はそうなるように、彼女を育てていたからです。ただ、どれくらいまで行くかについては、彼らの想像を超えていました。

アダムズ・エンダー氏は、ノース・カロライナ州ラリーの近くで小作農民をしていた両親の下、10人の子供のうちの1人として生まれました。努力を惜しまなかった同氏は、陸軍看護師の奨学金により大学を卒業し、世界22000人の看護士をまとめる陸軍看護師団では看護師長として、またバージニア州フォートベルボワール基地においては看護士として、陸軍史上初の司令官になりました。

それと並行して、アダムズ・エンダー氏は、自身の貧困や人種、性別問題を乗り越え、現在は人への気遣いに関する哲学を扱うコンサルティング会社を経営しています。

この基調講演では、困難を乗り越え、時には回避し、耐え抜きながら、必ず個人的、またはプロフェッショナルなゴールを達成するための戦略について話します。

アダムズ・エンダー氏は、彼女の伝記である『My Rise to the Stars: How a Sharecropper's Daughter Became an Army General(スターへと昇る:小作農民の娘がどのようにして陸軍司令官になったか)」を著したばかりです。次の著書では、「リーダーシップと人々が日々を乗り越えるためにするポジティブなこと」に関して書く予定となっています。

彼女は、「私は人々をスターにする手助けをしようとしているのです。すべての人が将軍になれるわけではないけれども、誰でも、自分を大切に思い、人々に対して品格と敬意をもって接していれば、スターになれるのです。」というメッセージを発信します。


ASTD2006レジェンド・シリーズ・スピーカーの紹介

デービッド・クーパーライダー(David Cooperrider)

タイトル:チェンジを起こすためのコラボレーション(Collaborating for Change)

デービッド・クーパーライダー(David Cooperrider)は、Appreciative Inquiryの創設者としてスレッシュ・スリバストバ(Suresh Srivastva)と共に、1987年に記事で取り上げられたことで、世の中にその名を広めました。

現在は、ケース・ウェスタン・リザーブ大学のウェザーヘッドスクール、組織的行動学の教授および学科長を務めています。

クーパー・ライダーは、7冊の本と約50の記事を出版しており、最新の著書は、『Collaborating for Change: Appreciative Inquiry(チェンジを起こすためのコラボレーション:アプリシエイティブ・インクワイアリー)』です。また、2004年の「ASTD Distinguished Contribution to Workplace Learning and Performance Award」(ASTDが選ぶ、ワークプレースでの学習とパフォーマンスへの顕著な貢献をしたものへ贈られる賞)によって、彼のその分野へ貢献が、継続的なインパクトをもつ優れたものとして、より明らかになりました。

アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry、以下AI)では、個々のリビングシステムの多くが未開発で内容に富んでおり、またポジティブな価値をインスパイアすると考えています。また、AIでは、組織内でできないことを修繕するように努めるのではなく、「何ができるか」に注目します。

それらのアプローチの真価は、個々のレベルでの貢献を認識することによって起こります。そしてその真価は、信頼や組織的なアライメントへと導くのです。クーパー・ライダー氏の働きは、非常に大きく複雑な規模のシステムの中でポジティブなチェンジを可能にするのです。

ビル・バイアム(Bill Byham)

タイトル: 経験豊かな社員のモチベーションを高める新しいリサーチ

1970年にDDI(Development Dimensions International)を共同創立したビル・バイアム(Bill Byham)がハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した、アセスメント・センターの手法に関する論文は、その類の中で初めて評判高い論文として評価されました。それ以来、彼はその手法論における思想的リーダーであり続けています。

バイアムは、これまでに2冊の本を共同執筆し、そのテーマに関する60を超える論文、本、チャプター、モノグラフを書いています。

彼は、1970年にアセスメント・センターでの実習に関する初のカタログを出版し、1973年にInternational Congress on Assessment Center Methods(アセスメント・センター・メソッドに関する国際会議)を設立しました。また、『The Selection Solution(選択のソリューション)』『Solving the Mystery of Matching People to Jobs and Landing the Job You Want(人々と仕事をマッチングさせることに関するミステリーを解き、あなたが希望する仕事に上陸する)』
『How to Have the Best Job Interview of Your Life(あなたの人生に関するベストなジョブ・インタビューのやり方)』といった書籍や、40を超えるモノグラフや論文を通して、行動ベースのインタビューを提唱してきました。バイアムは、彼のキャリアの中で、EEOの課題、リーダーシップ・トレーニング、エンパワーメント、チームワーク、そしてサクセッション・マネジメントに関する議論を導いてきました。

彼の現在のフォーカスは、思慮深いアセスメントやマネジメントを行うことによって高齢の社員を組織に留まらせることを支援することにあります。彼の最新の本は『70 Is the New 50: Why Some Boomers Are Bucking Retirement and How Companies Can Make the Most of It.( 70歳は新しい50歳です:なぜブーマーの中には隠居から戻ってくる人がいるのか、そして企業はどのようにそれを活用できるのか?)』です。ASTDにおける彼の「伝説」のプレゼンテーションでは、この本で紹介されている大規模なリサーチによる研究が初めて公開されることになるでしょう。

ベヴァリー・ケイ(Beverly Kaye)

タイトル:「キャリアとマネジメントの才能を開発する」

Career Systems Internationalの創設者であるベヴァリー・ケイ(Beverly Kaye)は、最高経営責任者であると同時に、国の仕事場のキャリア問題についてオーソリティーをもつ一人です。

彼女の草分け的なキャリア開発や、才能保持(talent retention)、社内教育プログラムは、幅広く活用されています。シャロン・ジョーダン・エヴァンス(Sharon Jordan-Evans)と共同執筆したべヴァリー氏の著書、『Love 'Em or Lose 'Em: Getting Good People to Stay Good People(彼らを愛するか、失うか〜Good Peopleをとどまらせるようにする〜)』は、30万冊以上を販売、17の言語で印刷され、ウォール・ストリート・ジャーナルとアマゾンでベストセラーとなりました。2004年1月、“the Fast Company Readers' Choice Award”を獲得した彼女の新しい著書である「Love It, Don't Leave It: 26 Ways to Get What You Want at Work (愛して、それを手放すな〜欲しいものを仕事で手に入れる26の方法〜)」は、仕事への満足感を、従業員の手でつくりあげることについて書かれています。
ASTDコンファレンスでは、ケイは、リーダーを育成するリーダーが、組織の成功にとってどれほど重要かについて議論するでしょう。

(以上、ASTD2006公式ホームページより抜粋)

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