ASTD国際会議

ヒューマンバリューは、1992年からASTD国際会議へ視察ツアーを実施しています。本ホームページには、1998年からの参加報告レポートを掲載しています。

合併の過程に変革をファシリテートする

アントニオ・ホゼ・ルビオ(パートナー オーバーラップ・コンサルタント社)/リリアナ・レオン・マルドナド(組織的開発責任者 カサ・ペドロ・ドメック・ペルノド・リカルド社)/サンチアゴ・ミゲル・カノ(パートナー オーバーラップ・コンサルタント社)


主要トラック:組織的変革をファシリテートする


ASTDによるセッション紹介文

2006の最初の学期に、メキシコのアライド・ドメク・グループは、Casa Pedro Domecq (CPD)の下で、2社の現地会社、ペルノリカールおよびアライド・ドメクの吸収合併を実行しました。 この吸収合併は、アルコール飲料市場の重大な変化を表わし、セクターの会社のグローバルなシナリオおよび戦略に影響します。 新しい子会社は、それが前の会社の別個の管理文化を集めるので、戦略、プロセスおよび姿勢の新しい構成のチームを完全に統合する必然の組織的な挑戦に直面しました。 その、運用上、値アドイン、このイニシアチブは次のものにリンクされた革新的なアクションの規定に基づきます。 戦略、プロセスおよび姿勢。


概要(参加者の人数など)

参加者数は50〜70名のセッションであった。自身が働く企業や組織も合併の最中にあり、具体的なおさえどころを求めて参加している人が多いようであった。


内容


背景

2005年に、Pernod Ricard Mexico社(メキシコ国内で社員200名)が、Allied Domecq社(メキシコ国内で社員1500名)を合併し、Casa Pedro Domecq社が創設された。文化の全く異なる2社が合併し、1つの会社になるプロセスとポイントが紹介された。


プロセス

合併にあたっては、文化の異なる2社の組織を統合することを目的としたプロジェクトが人事の主導のもとで推進された。
そのプロジェクトでは、まずフォーカス・グループを全ての部門で立ち上げた。そして各社のディレクターにインタビューを行いながら情報収集を図り、5つの観点から分析を行った。その後、CREAというプロジェクトが立ち上げられ、「戦略」「プロセス」「態度・姿勢(アティチュード)」の3つの軸からイニシアチブが立案され、フォーカス・グループの主導のもと実行に移された。


戦略のイニシアチブ

戦略のイニシアチブとしては、以下のようなものが挙げられた。


Merger route sheet

合併を成功させるまでのプロセスをマップ化し、プロセスがうまくいっているかどうかを判断する基準とした。


Strategy and development communication of the group

合併の意味や目指す戦略の理解浸透を図るために、全組織に対して話し合いを行う機会を設けていった。特にGMを中心として、全社員にコミュニケーションを取っていった。


In your shoes

合併により、自分たちが市場でどのようなポジションを確立し、強みを発揮することができるのかを明らかにし、理解した。


Identification of new corporate values

新しい会社のバリューを作るにあたっては、吸収合併をする側にあたるPernod Ricard Mexico社のバリュー4つを残し、それに合併される側にあたるCasa Pedro Domecq社の社員自らが、新しく加えたい3つのバリューを選び、提示することで全員が納得できるバリューを作った。新しいバリューの浸透にあたっては、ポスターを作製したり、Eラーニングを活用したり、研修を行うなど、様々な手段が用いられた。
(なお、合併時にバリューをどのように作り、浸透させるかは、参加者の興味・関心が非常に高く、多くの質問が寄せられていた)


Competitive Position Map

合併がもたらす市場におけるアドバンテージが何であるかを社員と共有した。


Work Breakfast with the General Direction

メキシコ社で働く全てのディレクターが、10〜15人くらいで、フェイス・トゥー・フェイスの朝食会を行い、合併の意義についての理解をさらに深めた。


プロセスのイニシアチブ

プロセスのイニシアチブとしては、以下のようなものが挙げられた。


Direction and management style

新たな組織において、求められるマネジメントスタイルを明らかにし、そのスタイルを各マネジャーに身につけてもらうためのトレーニング・プログラムを実施した。テーマとしては、コミュニケーション、チェンジ・マネジメント、タイム・マネジメント、効果的なミーティング、ハイパフォーマンス・チーム、ネゴシエーションなどが挙げられた。


Process revision

新たな組織になることに対応して、仕事のプロセスの改善が図られた。


Central work process

本社のオペレーションに関する理解を深めるとともに、各自の役割を明らかにした。


Department roles

新たな組織における、各部署の役割を明らかにし、理解を深めた。


Innovation in the daily decision-making process

日々の仕事の中で、変革を起こしていくプロフェッショナルとしての姿勢が浸透するような環境作りを行っていった。


「態度・姿勢(アティチュード)」のイニシアチブ

「態度・姿勢(アティチュード)」のイニシアチブとしては、以下のようなものがあげられた。


Labor climate survey

社員を対象としたクライメイト・サーベイが行われ、戦略の浸透具合などを把握し、統合の進展度合いを明らかにした。


Identification with the product strategy

社員1人ひとりが、新たな製品ラインや戦略についての知識を得た。


Who is who in Casa Pedro Domecq

各社員の役割におけるコミットメントを明らかにした。


Communicate the progress and success of employees and departments

組織のゴールと個人のゴールを結びつけ、帰属意識を高めた。


Board Game

ボード・ゲームを開発し、社員に配布した。社員はそのボード・ゲームを自分の家族と行う。ボード・ゲームの中では、合併の意味を家族に説明することが求められた。


結果

現在もCREAのプロジェクトは進行中であるが、ここまでのプロセスを通じて得た結果が紹介された。まずクライメイト・サーベイにおいては、合併初期のころと比べて、戦略の理解が20%上昇したり、91%以上の社員が自分たちの仕事を楽しんでいたり、といったような結果が出た。また、業績においても、多くのブランドで、前年度比が+に転じている結果が発表されていた。


成功要因

最後に本プロジェクトを進める際の成功要因が紹介された。

  • Understanding of cultural diversity of the companies
  • Involvement of employees on the solution. They made the project
  • Variety of initiatives and creativity on its design
  • Taylor made actions
  • 18 months to develop the project
  • Involvement of CEO and board of directors on follow up


所感

合併時の文化や組織の融合についてのプロセス紹介であったが、一見すると、情報を収集したり、戦略の意義を社員とコミュニケーションしたり、と当たり前のことを行っているように見えるが、その中に、社員をプロジェクトに巻き込んだり、ヒアリングやサーベイを通じて、社員が意見をいえる機会を丁寧に提供したりするなどを通して、一方的に変革を推し進めるのではなく、社員参加型で実行していたことが、成功へつながっていると感じられた。特にボード・ゲームを家族と行い、家族に対して合併の意味を説明するというアプローチは、非常に面白く感じられた。

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