ASTD国際会議

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ASTD2007 Conference & Exposition 事前レポート(見所の紹介)

ASTD2007 International Conference & EXPOが、6月3日~7日にジョージア州アトランタにて開催されます。このコンファレンスは、職場における学習・訓練・開発・パフォーマンスに関する世界最大の会員制組織であるASTDが毎年開催しているものです。

そこでは、世界中から集った先駆的企業や教育機関・行政体のリーダーたちが、現在直面している諸問題にどのように取り組んでいるかを企業の枠を越えて学び合い、また、世界における人材開発の最新動向に触れながら、これからの人材開発や組織のあり方について多くの人との情報交換や課題の探求をしていく最高の場であるといえます。

本レポートでは、ASTD2007公式サイトに掲載されている内容をもとに、今年のコンファレンスではどのようなことがテーマになるのかや、主なスピーカーの紹介など、今年の見所について、コンファレンスに先立ってご紹介していきたいと思います。


ASTD2007の主要テーマ

ASTD2007は昨年と同様に以下の9テーマを中心に展開されます。

  1. Career Planning and Talent Management
    (キャリアプランニングとタレントマネジメント)
  2. Designing and Delivering Learning(ラーニングをデザインし、デリバリーする)
  3. E-Learning(Eラーニング)
  4. Facilitating Organizational Change(組織変革をファシリテートする)
  5. Leadership and Management Development(リーダーシップとマネジメント開発)
  6. Learning as a Business Strategy(ビジネス戦略としてのラーニング)
  7. Measurement, Evaluation, and ROI(測定、評価、ROI)
  8. Performance Improvement(パフォーマンス改善)
  9. Personal and Professional Effectiveness(個人的および職業的効果性)

リアルワークやインフォーマルな場での学習や変革の推進

各コンカレント・セッションの概要を見ると、2007年のASTDの大きな傾向として、クラスルームのトレーニングやワークショップ、イベントの中で行われる「フォーマル」な学習に限らず、リアルワークの中やコミュニティー、ネットワークを通じて行われる「インフォーマル」な学習を推進していくことの重要性を提示したセッションが多く見受けられます。このインフォーマル・ラーニングの重要性については、数年前から「職場で必要な学習の70%以上がインフォーマルな学習から起きる」といったデータが紹介されるなど、特にEラーニングやナレッジ・マネジメントの分野で問題提起がされていました。

本年のASTD2007では、そうしたトレンドに関連したリアルワークやインフォーマルな場における学習デザインのコンセプトや実践例が数多く紹介される模様です。たとえば、コミュニティー・オブ・プラクティス(Communities of Practice:実践コミュニティー、以下CoP)やアクション・ラーニング(Action Learning)といったテーマが、かなりの数のセッションで取り上げられています。また、タレント・マネジメントのカテゴリーにおいては、個人の資質を活かしながら、仕事を通じていかに人材育成を図っていくかといったテーマも多く見受けられます。

次に、具体的にどのようなセッションがあるのかを抜粋してご紹介いたします。

CoP、アクション・ラーニング

まず、CoPに関して「SU208:How to Create New Knowledge via Formal and Informal Learning」では、Shell International Exploration and Production社において、"Ask-Learn-Share"(尋ね、学び、共有する)というアプローチに基づいた同社のグローバルなCoPの展開事例が紹介されます。同社の職場学習において、CoPがどのような機能を果たし、支援したのかについて注目したいところです。また、「SU215:Communities of Practice as Learning and KM Strategy」では、Tomoye Corporation社CEOであるEric Sauve氏が、CoPを活用したナレッジ生成のあり方をUS Armyなどの実例に基づいて解説します。

また、アクション・ラーニングについては、「SU212:Inquiry and Feedback:Using Action Learning for Transformational Change」「TU114:Getting Results from Action Learning」といったセッションで、具体的なプログラム展開のコツが紹介されます。

(インフォーマル)ラーニングを支えるテクノロジー

インフォーマルな学習の場では、その学習形態も様々です。今年は、インフォーマルな場をデザインするうえで、テクノロジーが果たす役割についても議論がなされると思われます。「SU309:E-Learning 2.0」では、Web2.0時代におけるEラーニングの新しいトレンドを紹介しています。同様に、「TU310:Technologies of Cooperation and Collaboration」では、テクノロジーを使った学習に関するシンクタンクであるBrandon-Hall Research社のアナリストが、Eラーニングのトレンドを紹介します。この2つのセッションのタイトルからも推測できるように、Eラーニングも、コンテンツのクオリティーの議論から、協働学習を促進するためのツールとしての議論へと移行しているように考えられます。同様の観点として、その他にも、「M111:Transforming Frontline Performance with Pod casting」「SU409:Hitting a Moving Target:Serving the Mobile Learner」などのセッションで、モバイル・ラーニングのあり方や実践例が紹介されており、学習形態の多様化に合わせたテクノロジーの進化に注目したいところです。

タレント・マネジメント、レコグニション(承認・賞賛)の仕組み

今年は、タレント・マネジメントのセッションが、例年と比較しても充実しているように見受けられます。たとえば、「SU207:Prescriptive Development:Linking Business Outcomes to Succession Planning」では、リーダーシップの権威であるCCLが、長年に渡る調査結果をもとにしたサクセッション・プランニングによるリーダー育成について、セッションを行います。

また、少し観点は異なりますが、個々人の資質に基づいた育成に関して、転職のバイブルとして著名な『ホワット・カラー・イズ・ユア・パラシュート?(What Color Is Your Parachute?)』(邦題:『あなたのパラシュートは何色?』)の著者、Richard N. Bolles氏のレジェンド・シリーズに注目してみたいところです。

また、職場にポジティブな雰囲気と学習する文化を生み出し、高いパフォーマンスにつなげようという動きから、レコグニション(承認・称賛)が促進されるような仕組み・システムの構築をテーマとしたセッションも見受けられます。たとえば「W217:Using Recognition to Foster A High-Performance Culture」では、American Express社が行った、レコグニション(承認・称賛)についての取り組みが紹介されます。また、「W307:Strategies for Implementing A Recognition Program that Works」では、働く一人ひとりが、自分自身が価値のある存在であると気づくことのできるレコグニションの仕組みについて解説がなされます。

ここまで紹介したようなテーマは、特に目新しいわけではなく、これまでも取り上げられてきました。しかし、ここに来て再度注目を集め、取り組みが推進されている背景には、各企業がワークショップやイベントなどのデザインされた場で起きた学習を、職場(リアルワーク)に戻っていかに実行・継続させていくかということに、真剣に取り組み始めたことがあると考えられます。また、そうした流れは、学習のデザインやパフォーマンスの向上の分野に限らず、組織変革の分野でも同様のことが起きていると考えられます。

近年ASTDにおいても、アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry、以下AI)など、高い成果をあげている組織変革の手法や、それに基づく取り組みが紹介されたり、表彰されたりしています。AIに代表されるような組織変革の手法においても、イベントで生まれた変化のエネルギーやモチベーションをその後も継続させることで、さらに成功の確度を高めることへ課題意識が高まっているといえます。

ここまで述べてきたように、ASTD2007では、学習のデザインや組織開発など様々な分野で、職場(リアルワーク)やインフォーマルな場での学習を真の変革を推進することへの模索が行われ、それが1つのトレンドになるものと考えられます。

リーダーシップ・マネジメント開発のトレンド

グローバル・リーダーシップ

リーダーシップ・マネジメント開発は、ASTD2007においても大きなテーマとして扱われ、昨年同様、「グローバル・リーダーシップ」が1つのキーワードとなっているようです。

セッションの概要を見ていると、「Leadership Without Borders(国境を越えたリーダー)」「Leaders Around the World(世界中のリーダー)」「Leaders for Multicultural Environments(多文化環境におけるリーダー)」といった言葉をよく目にします。また、今年の特徴としては、グローバル・リーダーシップを一括りで考えるのではなく、地域・国ごとのリーダーシップ開発の必要性を取り上げる傾向が見られます。具体的には、「Global Focus」というタイトルのついたセッションが、例年以上に充実しており、アジア、ヨーロッパ、南米、アフリカなど地域ごとに人材開発について考えていこうという動きが目立っています。興味深いところでは、「M211: Leadership Lessons from India's Software Companies」においては、成長著しいインドにおける、ソフトウェア会社のリーダーシップ開発を取り扱っており、注目を集めそうです。

トレンド

リーダーシップ・マネジメント開発のトレンドをつかむうえでは、次のセッションに注目するとよいかもしれません。まず、「M313:Gallup Leadership:Data-Driven Discoveries, Strategies, and Revolutions」では、ギャロップ社が、12カ国以上10,000人以上を対象とした独自の調査に基づくリーダーシップについてのセッションを行い、リーダーシップについての既成概念を打ち破ろうとしています。

また、「M113:The Future of Leadership Development from the Masters」では、リーダーシップに関する世界的権威である、Ken Blanchard、Bill Byham、Jack Zenger、Jonathan Glen Hallsの4者が、未来のリーダーシップ開発のあり方についてパネル・ディスカッションを行います。さらに、「M212:The Next Big Thing:Key Management Trends for 2008, 2009, and 2010」では、Ken Blanchard氏の妻で、ワーク・ライフ・バランスなどの権威でもあるMarjorie Blanchard氏が、今後3年間のマネジメントのトレンドについて解説を行います。

ストーリーテリング

近年リーダーシップ開発や人材育成のテーマにおいては、必ずといってよいほどストーリーテリングが登場する傾向にあります。組織を変革し、活力を与えるために、それまで組織に流れているストーリーをもう一度捉えなおし、新たな文脈で語るリストーリーの重要性が高まる中、リーダーに求められる能力として、ストーリーテリングに注目が集まっているものと考えられます。ASTD2007では、以下のようなセッションで、ストーリーやストーリーテリングがテーマとして扱われています。

「M302 The Story Theater Method: Using Emotional Triggers to Enhance Learning」
「W114:Strong Story, Strong Leadership」
「W207:Storytelling Strategies for Learning Transfer」?

その他の注目したいセッション

AI

その他注目したいセッションとしては、「SU318:Appreciative Coaching:A Positive Model for Change」がおもしろいかもしれません。近年ASTDでも脚光を浴びているAIの考え方に基づいたコーチングについて紹介しており、ポジティブ・アプローチによるコーチングの新しい潮流が見受けられるかもしれません。

エンゲージメント

また、例年同様、「エンゲージメント」には、大きな注目が集まっているように見受けられます。たとえば、「SU306:Connect, Lead, Engage:Nokia's People Engagement Strategy」においては、世界のリーディング・カンパニーであるNokia社のエンゲージメント向上に向けての取り組みが紹介されます。「SU412:Engaging Your Workforce in Change Processes by Values」では、バリュー浸透の取り組みを通じたエンゲージメントの向上のあり方について解説がなされます。また、例年同様、エンゲージメントのテーマでクオリティーの高い講演を行っている、Beverly Kaye氏が、今年も「W201:Building and Sustaining an Engagement Culture:Foresight, Highlight, and Insight」というタイトルでセッションを行うなど、期待が高まるところです。

ASTD2007の基調講演スピーカーの紹介

ジム・コリンズ(Jim Collins)

ジム・コリンズは、持続する偉大な企業についての教師であり、探求の徒でもあります。彼は、そうした企業が、どのように成長し、優れた業績をあげ、良い企業から偉大な企業へと変革するのかについて研究してきました。このトピックについての研究に10年以上を費やす中で、ジムは4冊の本を個人、あるいは共同で出版しました。その中には、ビジネス書の古典でもある『ビルド・トゥ・ラスト(Build to Last)』(邦題:ビジョナリー・カンパニー-時代を超える生存の法則)も含まれています。同書は、ビジネス・ウィーク誌のベストセラーリストに6週間以上も掲載され続け、25カ国語で翻訳されています。また、彼の取り組みは、フォーチュン誌、ウォール・ストリート・ジャーナル、ハーバード・ビジネス・レビュー、ファースト・カンパニー誌などでも紹介されています。

ジムの最新作『グッド・トゥー・グレート(Good to Great)』(邦題:ビジョナリー・カンパニー2-飛躍の法則)は、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、そしてビジネス・ウィーク誌のベストセラーリストに長期にわたって掲載されました。同書は、2500万部以上を売上げ、32の言語に翻訳されています。

強い好奇心に駆られたジムは、1992年からスタンフォード・ビジネス・スクールの教授として、研究を行い、教壇に立つことをスタートしました。1995年には、コロラド州ボルダーに、マネジメント研究所を設立しました。現在は、そこで研究を行うとともに、様々な企業や社会分野における幹部教育に携わっています。

ジムは、100以上もの企業における幹部やCEOに対する教師を務めてきました。彼はまた、ジョン・ホプキンス・メディカル・スクールや、米国ガールスカウト、リーダーシップ・ネットワーク・オブ・チャーチ、米国海軍などの社会分野における組織とも仕事をしてきました。2005年には、「Good to Great and the Social Sectors」という研究論文も書いています。

キース・フェラッチ(Keith Ferrazzi)、Ferrazzi Gleenlight社CEO

キース・フェラッチは、マーケティングに関する洞察力とネットワーキングの手腕を併せもつことで、頂点へたどり着くための重要な方式を見つけ出した数少ない人物です。フォーブス誌とインク・マガジンは、世界で最も「コネクトした」人物であるとして、彼を称賛しました。今では、彼はFerrazzi Gleenlight社の創設者及びCEOとして、マーケットのリーダーたちを対象に、売上の向上、及び、個人のキャリア支援のトレーニングや戦略コンサルティングを提供しています。Ferrazzi Gleenlight社は、アメリカの上流企業でキャリアを積んだ同社の経営幹部自身の経験を活かしたり、フェラッチが著書「NEVER EAT ALONE And Other Secrets to Success, One Relationship at a Time」で明らかにしている原理を使ったりしています。

フェラッチは、CNNやCNBCに出演するとともに、フォーブス誌、ウォール・ストリート・ジャーナル、ハーバード・ビジネス・レビューなどの最先端のビジネス雑誌に、数多くの記事を寄稿し、その名は広く知れ渡っています。彼は、品質改善運動の初期のころのリーダーであり、マルコム・ボールドリッジ賞の若き審査員でもありました。彼は、世界経済フォーラムにおいて、「明日のグローバル・リーダー」という称号をもらい、Crain's Businessでは、「40歳以下で、世界で最も優れた40人」、Jayceesでは、「最も著名な若きカリフォルニア人」、そしてRichard Wurmanにおいては、「最も創造的なアメリカ人」に選ばれました。フォーチュン500に入る企業であるStarwood Hotel and Resortにおける最も若いCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)としての期間を含む彼の活躍は、スタンフォード・ビジネス・スクールのケーススタディーにも影響を与えました。

トム・ラス(Tom Rath)

トム・ラスは、ニューヨーク・タイムズ、及びビジネス・ウィーク誌のベストセラー『ハウ・フル・イズ・ユア・バケット(How Full Is Your Bucket?)』(邦題:「心の中の幸福のバケツ」)の共同著者です。この本は、熱狂的な人生とみじめな人生の間にある違いについての10年以上に渡る研究の成果です。初年度に50万部が発行され、今では10の言語で購入が可能です。

ラスは、ギャロップ・オーガニゼーション社で12年間働いてきました。現在は、同社における、世界の職場とリーダーシップに関するコンサルティング部門を率いています。彼はまた、がんの研究と患者のサポートを行う機関であるVHLの経営陣も務めています。

ラスは、ミシガン大学にて心理学の学士号を取得し、ペンシルベニア大学で修士号を取得し、現在では、ジョン・ホプキンス大学にて、単位を取得しています。彼はワシントンDCに住んでいます。

ラスの2冊目の著作、「Vital Friends: The People You Can't Afford to Live Without」は、仕事と生活をよりポジティブで活力に満ちたものにする友情について探求しており、2006年の8月に出版されました。

(以上、ASTD2007公式ホームページより抜粋)

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