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- アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)基本コース開催報告(2006年7月)
アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)基本コース開催報告(2006年7月)
- ワークショップについて
- ワークショップ概要
- ワークショップの目的
- AIワークショップでの目標
- 1日目
- AIとはなにか
- AIプロセスのスタート準備
- チェンジ・アジェンダの設定
- コアチームの結成
- プレリミナリー・インタビュー
- グループ・リーダーシップの役割
- アファーマティブ・トピックの選択
- 2日目
- AIの原理の概要①
- リードイン(導入)と質問の作成、インタビューの実施
- ポジティブ・コアの作成
- 3日目
- インタビュー・ストラテジーの戦略
- ステークホルダー分析
- AI原理の概要②
- プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループ(その1)
- AIを使ったフォーム・オブ・エンゲージメント(取り組み)の紹介~AIサミット~
- プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループ(その2)
- 4日目
- 予期成就の原理
- ポジティブ・イメージ→ポジティブ・アクション
- ドリーム・アクティビティーの準備
- 「ドリーム」から「デザイン」へのつながり~グローバルなAIの取り組みの紹介~
- プロボカティブ・プロポジションの作成
- プロボカティブ・プロポジションの事例紹介
- プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループ(その3)
- インタビュー・ストラテジーの戦略
- 5日目
- 質疑応答
- 次回ワークショップご案内
ワークショップについて
ワークショップ概要
去る2006年7月19日~23日の5日間、AIの提唱者の一人であるダイアナ・ホイットニー氏(ポジティブ・チェンジ社代表取締役)をお招きし、佐島マリーナ(神奈川県横須賀市)にて「アプリシエイティブ・インクワイアリーワークショップ基本コース」を開催した。
今回のワークショップには、募集定員を超えるご応募があり、様々なバックグラウンドをもつ33名の方々にご参加いただいた。
ワークショップの目的
本ワークショップ開催にあたって、アプリシエイティブ・インクワイアリー(以下、AI)でいう「チェンジ・アジェンダ」(検討したいテーマ)をダイアナ氏と相談した結果、「ポジティブ・チェンジ」とした。それは、今回参加されたほとんどの方が、企業内部で組織の変革を推進する方や、コンサルタントとして組織の変革をサポートする方、またコーチとして活動している方々だったこともあり、このワークショップを通して、それぞれの参加者がチェンジ・エージェントとしてもっている課題を探求していただく場になればと思ったためである。
本ワークショップでは、「組織やコミュニティーに変革を起こす、ポジティブで建設的なAIの実用的な知識を身につける」ということを目的として、以下3点の具体的な目標のもと、基本的なAIの4Dサイクル(ディスカバリー、ドリーム、デザイン、デスティニー)を理解するために、参加者自身もワークショップ中に4Dを体験する形で進められた。
AIワークショップでの目標
①AIとポジティブ・チェンジの原理の理解
②AIの取り組みにおける応用の理解
③それを実践することによってAIをデザインし、ファシリテートする能力の獲得
本ワークショップでは、AIの詳細な理論解説と具体的な方法論が紹介された。また、実際にAIを行う準備をワークショップ中に行い、自らがインタビューを行うなど、4Dサイクルを体験的に理解できるような構成になっていた。
また、サイマルインターナショナルのすばらしい同時通訳のおかげで、言語の壁を感じることなくダイアナ氏と受講者の間で深い交流がなされ、受講者間の相互作用も非常に高い場がつくられていた。
こうした雰囲気の中で行われたワークショップを振り返って、参加された受講者からは、過去に受けたワークショップの中でも最高の体験だったといったご好評もいただいた。多くの受講者は、その翌週からAIを実践に取り入れることができるレベルまで習得されたようだった。
次に、ワークショップの進行について、日程に沿って具体的に報告したい。紙幅の都合上、より詳しい内容や言葉の意味についてお知りになりたい方は、ダイアナ氏の著書をご参照いただきたい。
1日目
AIとはなにか
ワークショップの初めに、ダイアナ氏からAIの定義が説明された。その説明では、従来の欠陥や弱みに焦点を当てた伝統的組織改革のアプローチと対比した解説がなされた。
従来の一般的なアプローチでは、まず問題に関するデータを集め、外部のコンサルタントが「問題」に対するインタビューや調査を行い、結果をエグゼクティブに報告するといったことが行われる。そして、問題を明確化する目的で会議が行われ、ブレーンストーミングをし、問題解決の方法を見出し、実施し、測定するという、通常よく行われがちなアプローチである。しかし、こういったプロセスを行った場合、その後トップ層から「なぜ現場のモチベーションが上がらないのか?」という話が出てくることを例に挙げ、モチベーションが上がらないのは、意思決定にトップしか関わっていないからだということを説明した。AIは、そういったことが起きないアプローチであり、組織全体を巻き込むプロセスになっていることを解説し、戦略に沿う正しい問い(インクワイアリー)をすることで、戦略の中で新しい可能性が拓かれるということを説明した。
AIプロセスのスタート準備
チェンジ・アジェンダの設定
ダイアナ氏は、チェンジ・アジェンダとは何かについて、次のように解説をした。それは、「何のために行っているか」ということを説明する、プロジェクトの目標や具体的なフォーカスとなる「ネーミング」「ブランド」のようなものだそうだ。つまりチェンジ・アジェンダは、「どのようなことを学びたいか」によって決められるのである。このチェンジ・アジェンダを決定するのは、経営トップの場合とコアチームの場合がある。
コアチームの結成
チェンジ・アジェンダを決定したり、AIのプロセスをファシリテートするのがコアチームである。このコアチームに、どのようなメンバーを入れたらよいか、AIを実施する総数に対して、どの程度の規模のチームをつくるかなどが具体的に説明された。ダイアナ氏は、その際の注意点として、コアチームをマイクロコズモにする重要性を述べた。つまり、コアチームそのものが組織全体を表す「小さなサンプル」のようであることが必要だということである。
プレリミナリー・インタビュー
次に、コアチームが結成された後にすぐに行う「プレリミナリー・インタビュー」を行った。今回のプレリミナリー・インタビューの内容は、チェンジ・アジェンダに基づく「ポジティブ・チェンジ」に関連するものである。これは、一人40分ずつ、あらかじめダイアナ氏によって用意されたインタビューシートにある質問を相手に投げかけ、相手の話を聞くというワークである。
グループ・リーダーシップの役割
昼食休憩を挟んでのインタビューを終えると、インタビューを行った2人が同一のグループになるように再編成を行い、インタビューの内容をグループでシェアした。そのグループは、実際にAIのプロセスを回す際の「コアチーム」を模擬体験するものである。まず、グループ内でのリーダーシップの役割が説明された。そこでは、「司会」「タイムキーパー」「書記」「プレゼンター」の4つの役割が示され、その後のワーク毎にすべての人がその役割を順番に担うというものであった。
アファーマティブ・トピックの選択
その後、グループでは、インタビューで共有されたストーリーの中から共通のテーマを導き出し、「どういったトピックについて学びたいか」(AIでは「アファーマティブ・トピック」と呼ぶ)ということを話し合った。アファーマティブ・トピックとは、「何を学びたいか」を肯定的に示し、メンバーを刺激し喚起させるテーマである。この設定のあり方が極めて重要な意味をもつことを理解できたのも、本ワークショップの成果だった。AIの重要な考えである「言葉が世界を創る」ということをまさに実感させる内容だった。ダイアナ氏は、「興味をもっているもの」「将来に関する会話を引き起こしているもの」「生きたバリューを反映しているもの」などの要素を入れることの重要性を解説し、様々な企業での事例を紹介した。
2日目
AIの原理の概要①
様々な理論的背景から成り立つAIを構成する原理の説明へ入る前提として、まずAIの基本的考え方が説明された。多くのチェンジプロセスでは「人を変える」ということにフォーカスを当てているが、AIでは「構造の変化」に焦点を当てている。それは、人を変えることはできないが、構造は変えることができ、構造こそが人を変化させていくと考えるからである。そして、人々には能力があり、チャンスが与えられればよりよい世界を創ることができるという前提に立っているのである。
以上の説明がされた後、AIの根底を成す「社会的構成主義」「同時性の原理」「詩的隠喩の原理」が説明された。その際行われた社会的構成主義の理解を深めるためのアクティビティでは、「何を問うか、何に視点を置くか」によって見える対象が異なることを体験的に理解することができた。その後、原理の4つ目である「ポジティブ性の原理」が説明された。
リードイン(導入)と質問の作成、インタビューの実施
ダイアナ氏により質問の重要性や質問の作成にあたる観点が説明され、アファーマティブ・トピックについての「リードイン(導入)」と補助質問の作成方法が解説された。質問には、メタファーを挿入したリードインを入れることが推奨された。その後、グループでそれらの原理を基に、リードインと補助質問を作成する演習を行った。
次に、各グループが作成した質問を使って、グループ間でインタビューを行った。 これは、「AIの実行チームが、チーム内でインタビューの質問を作成するプロセス」を体験するもので、メタファーの入ったリードインと質問を実際に相手に投げかけ、相手が答える内容の広がりを実感することで、単純な質問との違いを感じることができた。
ポジティブ・コアの作成
インタビューから得た内容を受けて、各グループでそれぞれのアファーマティブ・トピックが生み出すポジティブ・コアは何かを話し合った。ポジティブ・コアとはチェンジを行うエネルギーの源といったものである。その後、各グループは、紙やテープ、風船、パイプクリーナーなど用意された様々な画材を使って、ポジティブ・コアを表現するものを作成した。あるグループは天井から吊り下げられた立体的なオブジェを創作するなど、どのグループもクリエイティブでメッセージ性をもったものを作り出した。ポジティブ・コアを理屈としてではなく、実際に目に見える形で、右脳的に表すことによって、それぞれの想いや意味を共有し、イメージとして明らかにすることができることを体験したワークであった。
3日目
インタビュー・ストラテジーの戦略
ステークホルダー分析
コアチーム(本ワークショップでいう「各グループ」)で作成した質問を使って、組織のメンバーに4Dサイクルを実施する際、メンバー以外の対象者に誰を入れるかということについての説明があった。AIでは「ステークホルダー」を呼ぶ際に、それがコアチームの結成時と同じく、「マイクロコズモ」であることを推奨し、いくつかの事例を挙げた。
AIの原理の概要②
ダイアナ氏は、AIの提唱時に挙げられた5つの原理の最後の1つとして、「体現の原理」を説明し、AIを実践していく際に起こる変化の広がりのプロセスについて解説した。
プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループ(その1)
次に、コアチームとして結成されたグループを離れ、自由に新しく4名のチームが構成された。グループ内でワークショップでのハイポイント(ワークショップで学んだ重要なことは何かなど、4Dサイクルの最初の「D:ディスカバリー」にあたる)を共有した後、各々の参加者が実際の実務でAIを使ったプロジェクトを実施する場合のアイデアを共有した。
AIを使ったフォーム・オブ・エンゲージメント(取り組み)の紹介~AIサミット~
ここでは、大小異なる規模で行われるAIを使った取り組み方法が説明された。その際に、前提となる新たな2つの重要な観点が説明された。それは、AIで当初から提唱された原理5つに追加された「全体性の原理」と「選択自由の原理」である。
この2つの観点を念頭において、AIをどのように導入するかについての「フォーム・オブ・エンゲージメント」が説明された。その中でも変革を加速させることのできる「AIサミット」が重点的に紹介された。参加者は導入各社のビデオ映像を通し、サミット3日間の流れをイメージすることができた。また、ダイアナ氏から別途配布された、サミットで全員が手にする「ワークシート」の内容とそのねらいや効果が説明され、「ワークシート」の役割の重要性が喚起された。
プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループ(その2)
ダイアナ氏から配られた、「AIを実施する際のチェックポイント」を基に、ディスカッショングループで話し合いが行われた。そのチェックポイントをレビューしながら、参加者のAIを使ったプロジェクトの構想をより膨らませ、疑問点や異なる視点からのアイデアをシェアした。
4日目
予期成就の原理
4Dの2つ目「ドリーム」の段階において重要な意味をもつ、「予期成就の原理」が紹介された。「プラシーボ効果」や「ピグマリオン効果」を例にとって、人のパフォーマンスが「イメージ」によって影響を受けていることを説明した。ダイアナ氏は、パフォーマンスに影響を与えている要素を「過去」「現在」「未来」に分けて説明し、AIが「未来」に重きを置いていることをわかりやすく解説した。
ポジティブ・イメージ→ポジティブ・アクション
また、ポジティブなイメージがポジティブなアクションを導くという内容について、学習理論を基にゴルフやボーリングを例にとって説明をした。
ドリーム・アクティビティーの準備
参加者たちはグループ内で、アファーマティブ・トピックから作成した質問のインタビュー内容を「ドリーム」に重点を置き共有した。その中から理想的な組織を表しているキーポイントを探し、将来の状態の想像を膨ませた。そして、それを最も表現できる状況や条件を見つけ、スキット(寸劇)を演じることで他のグループに紹介した。スキットの準備・検討時間はわずか30分であった。そのために、スキットの内容は各々が役割を決定された以外、ほとんどをアドリブで演じたものであったが、すばらしいインパクトのある内容になっていたことに驚かされた。
「ドリーム」から「デザイン」へのつながり~グローバルなAIの取り組みの紹介~
4Dの3つ目の「D」である「デザイン」にフェーズが移行する際、未来の理想的な組織を描く事例として、ダイアナ氏よりグローバルな組織におけるAIの取り組みが紹介された。それは「URI」と呼ばれる宗教連合イニシアティブにおいての、AIを使った世界中の様々な宗教の壁を越えた協働の営みであった。参考として観たビデオは、URIメンバー達の実際のコメントで構成されており、どのように4Dが回されたのか、その目的や原理、展望などがわかりやすくまとめられていた。AIがもつ可能性と力を参加者が実感した興味深いビデオであった。
プロボカティブ・プロポジションの作成
プロボカティブ・プロポジションの事例紹介
上記で話し合ったドリームを実現するために、どのような要素が必要かということをグループのメンバーと話し合い、プロボカティブ・プロポジションを作成した。プロボカティブ・プロポジションとは、4Dの最後の「D」である「デスティニー」(実行)に向け、メンバーのアクションや想いを喚起する宣言文である。
そこでダイアナ氏は、それを作る際の注意点として、「現状からストレッチした従来型にチャレンジするものであること」「メンバーが望むものであること」「現在形で書かれていること」などを挙げた。
プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループ(その3)
夜になると、前日と同じように、ディスカッショングループにて「チェックポイント」の項目に沿った話し合いをし、予定している自身のAIプロジェクトへの考えや注意して進めたい点など、より具体化に向けて深めていった。
5日目
質疑応答
最終日である5日目は、プロジェクト・ワークシートのディスカッショングループの時間をもった後、質疑応答が行われた。各グループから質問を2~3つ出し、異なるグループと質問を交換やアイデアを交換し、それらの返答にダイアナ氏が補足する形で行われた。 活発な意見交換が行われ、5日間の理解をより深めることができた。
参加者の声
ワークショップの最後に、ダイアナ氏から参加者たちに一言ずつ感想を発表するように促された。参加者からは、「ポジティブな方向だけを見て進んでいるのだが、不思議と自分の至らないところを反省した」というような自身への気づきや、「AIを実践するのが楽しみ。そしてテクニックだけではなく、実践できそうな勇気をもらった」など、AIをこれから実践していく試みへの確信や想いに関する発言が多くみられた。最後には、参加者からのリクエストで全員での記念写真を撮り、ワークショップが終了した。
次回ワークショップご紹介
| 開催日時: | 2006年12月19日(火)~ 23日(日) [ 計5日間 ] |
|---|---|
| 講 師: | コーポレーション・フォー・ポジティブチェンジ ダイアナ・ホイットニー氏 |
| 会 場: | 財団法人 国際文化会館(東京都港区) |
| 参加費: | 283,500円(消費税込み)※ 参加費には、食事代、教材費を含みます |
| 定 員: | 56名 |
| 主 催: | 株式会社ヒューマンバリュー |