コーチングとは
高い成果を上げた者には報奨金を出し、低い成果しか出さない者には減給などの罰を与える。こうしたパフォーマンスを管理するための常套的な手段は、ある限定的な成果しか生み出しません。つまり、働く人のアカンタビリティーや創造性など、働く人々にとって重要な特性やコアとなるスキルを助成したり開発するという点において、特に役に立つものではありません。また、主体性や協調性に関する初歩的な事柄を教える研修プログラムなどが仮にあったとしても、そ の効果はあまり期待できるものではないでしょう。
では、人々の能力を高めるためには、どのような手段が残されているでしょうか。ティモシー=ゴールウェイ氏は、能力や特性、スキルを助成するプロセスを「コーチング」と呼び、それを提唱しています。
コーチングとは、人に既に備わっている特性や潜在能力を引き出し、増大させる「あり方」・「聴き方」・「尋ね方」・「話し方」のことです。効果的なコーチングが行われると、安全でチャレンジングな環境が創り出され、その中で効果的な学習が起きます。
コーチングにおけるコーチの最大の役割は、人がパフォーマンス偏重の傾向によって突き動かされている状態に待ったをかけ、学習を促す質問をしたり見解を示すことによって、その人を「パフォーマンス・モメンタム」から解放することです。したがって、成功するコーチとは、成長を促す適切な条件を他者に提供することにコミットしている人です。そして、個々人がもつ「可能性」を、どのようにすれば最もよく「育てる」ことができるかを絶えず学び続けている人だと言えます。
(この内容は、1997年9月にワシントンで行われた「システム思考会議」におけるティモシー=ゴールウェイ氏と筆者との対談と、"The Systems Thinker"(米国ペガサス社刊)の1997年8月号に掲載された"The Inner Game of Work: Building Capability in the Workplace"(仕事のインナーゲーム:職場における能力構築)という記事の一部の要約が中心になっています。)
(1998/6/3)


