コンピテンシー
第2のレバレッジ:アカンタビリティとコンピテンシーに基づく人事システム
パフォーマンス(成果・性能)の追求が組織のミッション(使命)である以上、どういった人事哲学を用いるかにかかわらず、組織の構成員にパフォーマンスを出してもらえるようにすることが重要なのは言うまでもありません。
このとき、人事システムを成功させるには、各人の成果責任の明確化が不可欠になります。これまでのわが国の人事システムでは、職務記述書などによって職務内容を示していましたが、成果責任については示されていませんでした。また、今日の企業においてすべての従業員の職務を記述することは不可能ですし、職務記述書に示される職務内容もすぐに変わってしまうので役には立ちません。そこで最近は、「何をするか」ではなく「どういった成果が求められているか」を取り上げるようになりました。そこで出てきた言葉が「アカンタビリティ」と「コンピテンシー」です。
アカンタビリティとは、成果責任のことです。「どういった成果を出すことが自分の責任を果たしたことになるのか」ということを明確化し、目標化することであり、「期待役割」と呼ばれることもあります。
コンピテンシーとは、発揮能力のことです。「アカンタビリティを果たす上で貢献する具体的行動」を明確化し、それらの行動を発揮すれば、アカンタビリティが実現できるようにするもので、「成果行動」「期待能力」と呼ばれることもあります。
人事諸制度と業績をリンクさせるには、人事システムにアカンタビリティとコンピテンシーといった考え方を取り入れることが必要になります。
アカンタビリティが明確に設定されると、期末における業績考課は、このアカンタビリティの達成度で測ることとなります。もちろん、人事哲学のあり方によって、アカンタビリティの達成度に応じてどれだけ給与へ反映させるかのウェイトは変わります。
パフォーマンスを高めるために、アカンタビリティを明確化できたとしても、その達成に向けてどのように行動したらよいのかの判断尺度が必要です。また、アカンタビリティの達成のために自分がどういった能力を高めたらよいかの目安も必要となります。
このとき、コンピテンシーが必要になるのです。これまでわが国では、能力に関しては、職能要件表といったものが用いられてきました。しかし、職能要件表は「職務を遂行する上で必要な能力」という観点から作られているため、成果とリンクしていなかったり、静態的な記述で具体化されていなかったり、更新されておらずに陳腐化しているものが大半でした。したがって、昇進昇格の判断尺度や部下のどういった能力を高めたらよいかの目安として活用できるものではありませんでした。
コンピテンシーは発揮能力ですから、具体的行動で表されます。また、その水準も明らかにしていきます。さらに、ビジネスサイクルが早い今日の状況を受けて毎年更新されるものです。そして、最大のポイントはその職務に就いている人々によって内容を更新することです。
このコンピテンシーを用いて、従業員の能力開発課題を明確化し、現状の能力を棚卸し、その能力を高め、行動として獲得することで、より高い成果の達成を目指すわけです。
このプロセスを図に示すと次の図のようになります。
「アカンタビリティ」と「コンピテンシー」を用いた人事システムの運用プロセス

こうした運用プロセスの人事システムにしていくことが、第2のレバレッジとなります。