コンピテンシーとは
近年欧米では、コンピテンシーと並んでパフォーマンスという言葉がタイトルとして掲げられ、講演会などで頻繁に取り上げられるようになりました。そういった中で、社内外を問わず企業の人材開発を担う人々を「パフォーマンスコンサルタント」と呼ぶケースが増えています。米国では、すでに人材開発に携わっている人の44%が「パフォーマンスコンサルタント」という呼称を使っています。「パフォーマンスコンサルタント」という言葉は、人材開発を担う人の新しい役割を表現した言葉です。こ うした新しい言葉の活用は、人材開発を担う人の役割が「人々を育成開発するために研修をデザインしたり実施したりすること」から「企業のパフォーマンスを改善するためにニーズをアセスメントして様々な手段をデザインし実行する援助をすること」へ変化しつつあることを示しています。企業の中でも、人材開発にかけるお金に対する考え方が、コストから投資に変化してきました。その中で人材開発は、これまでのような「どういった効果が上がるのかわからない」といったものではなく、「企業の 戦略やミッションと密接に結びつき、パフォーマンスに貢献するもの」として位置づけられるようになってきたのです。そうした変化の中で、人材開発を担う人も単に研修を実施するだけではなく、企業におけるパフォーマンスを改善していく人として位置づけられるようになりました。
このようにパフォーマンスが注目されるようになると、どのようなことに焦点を合わせ人材開発を行えばパフォーマンスが上がるのかを明らかにする必要が生じてきます。そういった理由で注目されるようになったのが、「コンピテンシー」です。
現時点でヒューマンバリューの考えている「コンピテンシー」は、単なる能力や特性ではなく、「パフォーマンスを生み出すために求められる態度、技能のことで、実務に即した具体的な行動によってそれらの水準が示されているもの」を指します。それに対して、これまで日本で使われてきた「能力」という言葉は、「もっている能力」に近い意味で使われることが多かったようです。英語で言えば、ケイパビリティ(capability)に相当します。また、日本のこれまでの人事制度の中心となっていた職 能資格制度は、職能ごとに資格、等級を定めて、その資格に対して報酬を支払うというものです。言い換えれば、その人がどういったパフォーマンスを生み出したかではなく、どういった能力をもっているか、保有能力に応じて報酬を決定していく制度といえます。現在は、こういった職能資格制度に変わって成果主義的な人事制度が用いられるケースが増えています。そこで、「能力」に対する考え方もこれまでの「ケイパビリティ」的な捉え方から「コンピテンシー」的 な捉え方に変化してきました。つまり、資質としてどういった能力をもっているかではなく、パフォーマンスに結びつく行動をどれだけとっているか、そういった態度、技能をどれだけもっているかが問われるようになってきたのです。
こういった理由から、現在、多くの企業がコンピテンシーに着目するようになったと考えられます。
(1998/10/16)