ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)
98年の4月にERPのカンファレンスが横浜の「パシフィコ横浜」で開催されました。これは世界のERPの中で70%のシェアをもつSAP社の「R/3」というソフトウェアのユーザー・カンファレンスで、SAP社の北東アジアグループと中国グループが主催したものです。現在、「R/3」はBMWや三菱電機、シャープ等の企業で導入されており、今回のカンファレンスのエキシビションには、75社の企業が出展しました。
ERPとはエンタープライズ・リソース・プランニング(Enterprise Resource Planning)の略で統合パッケージソフトのことを指し、業務の流れを抜本的に改革するシステムとして注目を集めています。
本来のビジネスプロセスは仕入から製造、販売、在庫、請求、入金、会計処理といった流れとして1本化しているのにも関わらず、在庫は在庫管理システム、販売は販売管理システム、会計は会計システムとしてバラバラにファイルがもたれていることが多いようです。そのため、同じデータを何度も入力するといったことが行われていました。こうしたムダを省いてシステムを1本化するのがERPです。
ERPはBPR(Business Process Reengineering=ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の1つと考えることができます。ERPを導入する際には、顧客にどういったサービス、製品をどのような方法で提供するのか、自社の強みを何に設定するのかといったビジネスの目的を定め、それに合わせてビジネスプロセスを再設計します。その際に、ERPには多くのビジネスプロセスがデータベースのように組み込まれているので、ユーザーがカスタマイズする際には、新しい機能を付け加えるというよりも、組み込まれた機能の中から選択するという側面が中心となります。したがって、導入のコストや時間も軽減されます。ちなみに、SAP社の「R/3」には、世界の一流企業が採用している約800ものビジネスプロセスが用意されています。
また、ERPは業務の統合が図れると同時に、データをリアルタイムで更新することができます。加えて複数の拠点、言語、通貨での活用が可能であり、グローバル化にも対応したシステムといえるでしょう。当初の開発費用は若干高くても、導入までの期間の短さと導入後のコスト削減効果を考えると大きな効果が期待できます。
しかし、ERPを導入したものの、思った成果を上げられずに失敗に終わってしまうケースもみられています。先に述べたように、ERPはBPRの1つです。つまり、システムの構築と同時に自社のビジネスの変革を行う必要があるのです。したがって、業務の統合やデータベースの機能に惹かれて導入しても、ビジネスプロセスの変革に手を着けていなければ、結局カスタマイズの量が増えたり、現行のシステムとのインターフェースがうまくいかずに失敗に終わってしまうのです。ERPを導入する際には、現行のビジネスプロセスに合わせるのではなく、あくまでも最適のビジネスプロセスに焦点を当てていくことが必要になります。
参考までに、ERPについての書籍をいくつか挙げておきます。 (1998/8/7)
- 『SAP R/3 ビジネス・モデル・テンプレート―ERP導入のために』 トーマス・カレン、ゲハルド・ケラー、アンドリュ・ラッド著 木村誠監訳 トッパン 1998.6.15.
- ERP・サプライチェーン成功の法則―経営改革の強力な武器』 同期ERP研究所編工業調査会 1998.6.8
- 『ERPとビジネス改革―統合業務パッケージ活用の誤解と指針』手島歩三、根来龍之、杉野周編 日科技連出版社1998.4.11
- 図解 ERPの導入』 松原恭司郎著 日刊工業新聞社 1997.12.25
- 『ERP入門―総合業務パッケージ「ERP」がわかる本』 同期ERP研究所編工業調査会 1997.6.25