用語集

仕事の三角形をバランスさせる

HVDリポートVol.1 No.4より

仕事の三角形の3つの要素のバランスを取り戻す簡単なやり方は、明確な学習のゴールを設定することです。個人やチームが、学習や経験のゴールと比べて、パフォーマンスのゴールをどのように説明するかを評価した調査によると、「多くの従業員は、学習や経験のゴールを尋ねられてもはっきりした答えが出せず、パフォーマンスのゴールについて語るときほどの確信が見られない」ということが明らかになっています。

学習のゴールとパフォーマンスのゴールの違いがはっきりしないということは、決して珍しいことではありません。コンピテンシー開発の計画に携わる人々ですら、学習のゴールをパフォーマンスで表現するという罠にはまってしまうことが多いのです。例えば、「私はもっと顧客にフォーカスすることを学びたい」「より高い売上ノルマを果たせるように学習したい」「どうすれば昇格できるかを学ぶ努力をしている」という具合にです。学習のゴールとパフォーマンスのゴールを見 分けるための一般的なルールとしては、学習が人間の内側で起きる変化であるのに対し、パフォーマンスは外側で起きるものであると考えてみることです。つまり、人間の内側で起こる学習とはパフォーマンスを生み出すことができるような能力が高まることと考えられ、第三者が確認することはできません。それに対して、パフォーマンスはその人の外側に向けて、能力が存在することを示すものであると考えられるため、第 三者がその存在を確認することができるのです。

また、学習のゴールにフォーカスするための1つの方法として、次にある「QUEST」というアクロニム(頭字語)を使うやり方があります。

  • Q: あなたが自分自身や他の人々の中に育てたいと考える特質(qualities)や特性
  • U: 人や状況やシステムに関する理解(understanding)の深まり
  • E: 専門的な知識や技術(expertise)の開発
  • S: 戦略的(strategic)思考や、システム的(systemic)思考の能力
  • T: 時間(time)を最大限に生かす能力

チームや個人が、どの様な能力を開発するかに関する目標設定をする際に、上記の『QUEST』を使ってみると、パフォーマンスで表現してしまうのではなく学習そのもののゴールを設定することができるでしょう。そして最大の効果を上げるためには、これらの目標は、目先にあるパフォーマンスのゴールをサポートするものであると同時に、将来のパフォーマンスに対するチャレンジに応用できるものでなければなりません。
(この内容は、1997年9月にワシントンで行われた「システム思考会議」におけるティモシー=ゴールウェイ氏と筆者との対談と、"The Systems Thinker"(米国ペガサス社刊)の1997年8月号に掲載された"The Inner Game of Work: Building Capability in the Workplace"(仕事のインナーゲーム:職場における能力構築)という記事の一部の要約が中心になっています。)


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