成果に直結する態度・姿勢
ヒューマンバリューでは、セールスパースンのどのような特性や行動が高い業績に結びつくのか、また営業マネジャーで高い成果を出している人の特性・行動とはどのようなものなのかを探るため、360度形式のアンケートによる現場のデータを企業の方々と一緒に集め、解析してきました。収集した数社のサンプル数の合計は、2500人を越えています。そのデータの全貌をここに紹介するわけにはいかないのですが、主要な解析結果を踏まえ、これからのセールストレーニングのあり方について提案したいと思います。
これまでの営業研修の多くは、知識習得や技術トレーニングに偏重したものでした。これは、企業が当然のように専門知識や商品知識をいかに増やすかを重視していたためです。
ところが解析してみると、知識を増やすことと営業成績との相関はほとんどないということがわかりました。外資系大手生命保険会社の例でみると、専門知識と業績との相関は相関係数で0.06という低い数値を示しています。これについては、その他の訪問販売などでも同じような結果が出ています。ですから、商品知識教育に力を入れたにもかかわらず、短期間で数字の成果が出ないのは、当然の結果といえるのです。
同じように、人の話を聴く力(積極的傾聴)や質問力、説得力といったその他のセールススキルもほとんど相関はありませんでした。また、性格が明るい、趣味が多い、スポーツをやっている、服装のセンスが良いなどの、世間でよくいわれる業績と関係がありそうな項目も相関はみられませんでした。
では、いったいどんな項目が、業績と高い相関関係にあるのでしょうか。弊社の解析の結果、態度・姿勢といった領域が営業における短期的成果ときわめて相関が高いことが明らかになりました。
では、具体的にどんな態度が必要なのかを次にみていきましょう。
- 1.貫徹性
- 弊社の解析の結果、最も業績と高い相関を示した特性が「貫徹性」です。貫徹性は成績と0.39の相関を示しています。(いくつ以上の相関係数が統計上有意とみなされるかは、サンプル数等によって異なります)貫徹性とは英語で言い換えると「コミットメント」であり、100%の努力を傾注しようという力、熱心に取り組み、最後まで投げずに徹底してやる力のことです。
- 2.要点把握力
- その次に高い特性が「要点把握力」です。これは、今の状況を見る力をいいます。顧客が何を望んでいるのか、どのように反応しているのかを瞬時に見抜く力です。要点把握力が低いと、今何をすべきなのかなどの優先順位もつけられません。医薬卸のMSの調査では、顧客のニーズ把握力よりも顧客の状況把握力が成績と高い相関を示しています。
- 3.目的意識
- 3番目は「目的意識」です。相関係数は0.12ですが、サンプルが多いため、この計数でも十分な有意水準にあります。目的意識とは、自分は何のためにやっているのか、目的は何なのか、ビジョンは何かなどを明らかにしつづける特性です。
参考までに予備校の生徒500名の調査結果を挙げると、勉強方法の善し悪しよりも、「何のために勉強したいのか」という達成動機の強さが成績と高い相関を示しました。高い成果を上げるために目的意識が必要とされるのは、ビジネスパースンだけでないといえるでしょう。
専門知識やコミュニケーションスキルは必要ないのか?
では、業績と相関が低いという結果が出た専門知識や質問力・提案力はセールスパースンには必要ないのでしょうか。もちろんそうではありません。それらは、顧客との継続的な関係の中で必要になってきます。しかし、新規の顧客に対するアプローチ段階などでは、専門知識の豊富さよりも、そのセールスパースンの態度や姿勢が物を言うということは、体験的にも理解できるのではないでしょうか。
(1998/4/1)


