静的情報
「現場の巻き込み」「創発」の重要性は、「情報」という観点からもみることができます。現在、情報は、ヒト・モノ・カネに次ぐ、第4の経営資源として認知されています。一橋大学の金子郁容教授は、著書『ボランティア』(岩波書店)の中で、情報を静的情報と動的情報の2つに分けて捉えています。静的情報とは紙に記されたり、コンピュータのハードディスクに納められており、その内容が変化しないものを指します。それはもっていることに価値のある情報であり、その情報に希少性があれば あるほど(他の人がもっていなければいないほど)価値がありました。企業にとっては、競合会社がもっていない情報やノウハウをどれだけもっているかが重要なことだったのです。マネジメントにおいても、上司はメンバーよりも経験を積んでいたり、多くの情報にアクセスする権限を有しているのが普通でした。それによって部下との情報格差が生まれ、上司の優位性が保たれていたのです。
また、静的情報はコピーをしてもその価値が薄れることはありません。つまり、変化の少ない時代には、企業は1つの情報、ノウハウに対して資本を投入し拡大再生産を繰り返すことで多くの価値を生み出すことができたのです。