


製薬会社E社では、1,2年目の新入社員でも大きな仕事を任されることが多い。そうした新人にとって、全国の営業拠点では、仕事を続けていく上で頼れる人が少ないために、同期のつながりは欠かせないものだった。
このような背景から、同期が集まれる機会がもっと欲しいという若手社員の声があがり、E社ではあらたに3年次研修を実施することが決まった。
人材開発担当のMさんは、ヒューマンバリューの書籍を読み、ヒューマンバリューの取り組みの推進の仕方に関心をもって、コンタクトしてきた。そのMさんの想いとは、3年次研修の機会を活かし「若い貴重な人材を成長させ、仕事・成果を楽しんで追求できるような、自律した人材になってもらうための研修」をつくることであった。。
Mさんも自分が新人のMRだったころ、先輩に教わったことをやっていても、なかなか営業が成果に結びつかずに悩んだ日々があった。そんなある日、先輩から「自分がやりたいと思ったことを全部やっているのか?」と言われた言葉が胸に刺さった。それから自分のスタイルを見つけていき、どんどん成果に結びついていった。
そうした経験から、「お互いが支援し合える環境をつくりたい」、「一歩壁を超えることを若いうちに経験させてあげたい」という想いを強くもっていた。
ヒューマンバリューが、Mさんとプログラムを検討していく中で、生まれてきた「ありたい状態」は下記のようなものだった

ミーティングを重ねていく中で、「自分自身のあり方を見つめ、自分自身が今ここで働いている意味や目的意識を高める」ことをコンセプトとしたヒューマンバリューの「リビングビジョン」というプログラムを適用することになった。
しかし、研修を実施するだけでは、ありたい状態に近づけることが難しい。そこで、ありたい状態を踏まえて、参加者や、実施までのプロセス、フォローの仕方を細かく検討した。
カスタマイズされたプログラムは、2日間の1年次3年次合同研修と1日のフォローセッションによって構成されていた。1年次の社員には、「配属後に触れる'現実'を前向きに解釈する力」をつけてもらう。そして、3年次の社員には「内発的に動機づいた高いモチベーションで『頑張れる状態』」をつくる機会となるように全体をデザインした。
プログラム1日目は、1年次と3年次が参加した。はじめに、自分自身が望む状態を考えてもらった。そして、未来を切り拓くための考え方について情報提供し、ワークを交えて体験する。その後、1年次と3年次がペアになって、過去の最高の体験と最高の状態について話し合った。
2日目は、3年次だけのセッションである。1日目のセッションを受けて、自分自身が切り拓く未来に向けたシナリオ・プランニングを行い、推進プランを作成した。
そして、その2カ月後のフォローセッションでは、 1年次3年次合同で、 2カ月間の取り組みを振り返り、ポジティブなフィードバックを得ることで、さらなる推進に向けたエネルギーを生み出すようにした。
研修の実施だけでは、職場に帰ったときに周囲の影響で元に戻ってしまいがちである。そこで、若手に対する組織的な支援を生み出すために、上司であるマネジャーの巻き込みを行った。
研修の当日を迎えるまでに、マネジャーたちに研修の趣旨を周知し、支援を依頼した。フォローセッションでは、マネジャーたちからのポジティブなフィードバックが参加者に渡され、参加者のエネルギーを高めることができた。また、そのことを通してマネジャーたちが一人ひとりの社員に関心を寄せて見るようになり、マネジャーの指導力を高めることができた。
「自分たちでも振り返る機会をつくっていきたい。」
「1年次と交流し、ピュアな気持ちを思い出した。」
「自分のやり方で製品を売っていきたい。」
「先輩の話を聞く機会があり、勉強になることが多かった。」
「一人で働いているんじゃないんだと感じられた。」
「明日になって変わって、明後日になっても変わる。変わりながら前に進むのだと思う。」