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HVDリポートVol1 No.2 1998年3月1日発行
これからの人事システムにおける重要な着眼点
HVDリポート第2号では、ここ1~2年、各企業において高い関心をもたれている人的資源管理について取り上げ、今話題になっている問題を整理し、将来取り組むべき方向ついて情報提供いたします。
人事システムの変革期にある日本
わが国では、今日ほど組織内の人的資源管理の変革が取り沙汰されたことはありません。以前は、人事部や組合などの比較的狭い範囲の問題であったのが、現在では戦略的問題として全社的な経営課題となっています。
最近までの人事諸制度において問題となっている主なテーマを挙げると、次のようなものがあります(表1参照)。
[表1]最近の人的資源管理に関する話題
| 人事任用制度 |
複線型人事 |
人的資源の多面的有効活用を目的として、昇進ルートに専門職コースを設定するもの。従来は、「管理職になれない人の受け皿」として利用される傾向が強かった。しかし現在は、知識社会の到来によって専門能力を養成することの必要性が高まり、複線型人事の本来的目的によるしくみづくり・運用方法が模索されている。 |
|---|---|---|
| 社内FA制度 |
プロ野球のフリーエージェント(FA)制度に類似したものを企業に取り入れたもの。簡単に分けると、新規事業の立ち上げ時などに人材を広く社内から募る「社内公募制」と社員が自分の希望の部署に異動できる「FA権行使制」の2タイプがある。 |
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| 早期選抜制度 |
優秀な若手を速成することを目的に、将来的に自社のコアになりうる人材とそれ以外の人材の処遇を早期に分ける制度のこと。 |
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| 人事考課制度 |
360度評価 |
文字通り自分の周りのあらゆる人に評価を行ってもらうこと。具体的にいうと、上司・部下・同僚・関連部署・取引先等複数の人からの評価を受ける。多くの目を通すということで、評価の客観性を高めようとするものである。 |
| 賃金制度 |
成果主義 |
社員の給与は、その本人が出した成果で決めていこうという考え方。年功や資格を重視した従来の人事制度から脱却するため、現在の人事制度の主流となっている方向性である。 |
| 年俸制 |
給与決定の視点を月例給与から年収に映した制度。上記の成果主義と連動して用いられることが多い。成果判定の納得性をいかに出すかが成功の決め手になる。 |
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| ストックオプション |
会社が保有している自社株をあらかじめ決めた値段で、ある一定期間内に役員や従業員が購入できるという権利を付与する報酬制度。 |
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| 人材育成制度 |
選択型研修制度 |
社員の自主性を尊重し、個人のもつ研修ニーズに柔軟に対応する方向で、複数の選択コースの中から、社員が自ら受講する研修を選択してもらう制度。これまでの会社から一方通行だった教育体系を見直す対策の1つと捉えられる。ソニーのカフェテリア方式が有名。 |
| インターシップ制度 |
短期間、学生に企業での仕事の体験をしてもらう制度のこと。就職協定の廃止に伴って浮上してきたものだが、「職業意識の高い人材の育成」を目的とし、産学が連携して活用しようという動きが出てきている。 |
ご承知の通り、多くの企業がそうした変革の取り組みを実際に行っていたり、また自社の望ましい制度の検討を現在模索しつつあります。
人事関係の機関誌では毎号のように、新しい制度の特集が組まれ、成功しつつある企業が紹介されています。そして、大半の企業は、そうした他社の事例を参考にしながら、自社なりのものを検討し、着手しようとしています。
しかしながら、実態をみると実効性を伴って成功している企業はごくわずかであり、多くの企業はせっかく導入したのになかなかうまくいっていない、またはうまくいきそうにない状況に出会っています。
ここでは、その原因と「ではどうしたらよいか」という方向性を論じていきたいと考えます。
なぜ導入した人事諸施策がうまくいかないのか?
「人事制度と能力開発制度をせっかく新しくしたのに、うまく回っていない」という声がよく聞こえてきます。個々の制度をみると、比較的完成度が高いのに、実態としてうまくいっていないということが起きています。
こうしたことをもたらしている原因として、導入のプロセスにおける問題が考えられます。
これまで日本の企業における人的資源管理にまつわる多くの制度は、個々の制度の完成度を個別に高める方向で、暫時バラバラに導入されてきたという経緯があります。部門間の連携も取れず、他の制度との整合性がないだけでなく、経営者のはっきりとした方針も示されず従業員の認識もないまま、新しさを求めて導入してしまう制度が多いようです。そのため、せっかくの制度が根づかず、将来の布石がつぶされていくのです。
相互作用のあり方に目を向ける
書籍等において成功事例として挙げられている制度は、その個別の良し悪し以上に、他の制度との関係性や整合性といった相互の影響関係のあり方に成功の理由がある場合が多いのです。しかし残念ながら、そうしたことをどのように克服して定着させていったのかについてのコツのようなものは、記事ではうかがいづらいようです。
これまでは全体を部分に切り分けて、各部分が最適化すれば、全体も最適化していましたが、現在はそうした状況にはありません。
これから、人的資源管理を望ましいものとし成果に直結させるには、個々の制度の相互依存関係を捉え、相互作用のあり方に目を向けていくことがきわめて重要となります。
人事哲学の確立が急務
では、成功している企業に共通する特徴は何かと探してみると、個々の制度が整合しやすくなるような太い串が通っていることが指摘できます。
その重要な串とは、企業としての理念やビジョン、または人事に関する哲学が、建前でなく、本音として確立していることです。それらがあると、個別の制度を検討する際に、共通した価値判断基準に照らして押し進められるため、結果的に一貫した整合性が取れることになります。
また、成功している企業に共通するもう1つの特徴は、そうした理念・ビジョン・哲学の中に、「相互作用」や「共有化」といったものの大切さが含まれていることが多いことです。つまり、役割を分担して相互作用をなくしてしまうのではなく、相互依存的に進めることが重要な価値として示されているのです。
次に、こうした相互作用を踏まえた人事施策を確立している企業例をいくつか紹介します。
ミスミでは…
チーム制の導入により注目されているミスミでは、「会社に育てられるだけであなたは本当に満足か。自分の意志で育っていくのが、あなたらしい生き方ではないのか。」という人事哲学のもとに、チームリーダー・チームメンバーの公募制、市場価値年俸制、利益配分制など組織の運営方法・利益分配の方法にわたる抜本的な改革を行っています。これは、単に旧来の人事制度の枠組みでの改革だけにとどまらない、経営の施策全体に一貫した人事哲学を通している好例と思われます。(奥中恭樹著「ミスミの人事革命」東洋経済新報社)
サッポロビールでは…
サッポロビールでは、「個の尊重」と「挑戦機会の拡大」を基本コンセプトとした新人事制度に基づいて、社員自身の自発性を尊重した人材開発体系「選択型研修制度」を構築しています。これは、人事制度と人材開発体系の基本コンセプトの完全整合を図っているものとして評価されます。(株式会社アーバンプロデュース発行 月刊「人事マネジメント」1997年12月号)
ベネッセコーポレーションでは…
通信教育最大手のベネッセコーポレーションは、10年以上にわたって「事業計画書」(所属長が立てる事業プラン)に基づく経営を実践しており、そこに新しい人事制度を背景とした年俸制をうまくつなげています。事業計画書は、個人がどんなパフォーマンスを発揮するかを自立的に約束するための一種の契約書であり、そのプランによって出されたパフォーマンスに応じて賃金が決まるという、経営計画と密接に関連づけた人事制度となっています。(高橋俊介著「自由と自己責任のマネジメント」ダイヤモンド社)
人事哲学を基にした人事システム体系
では、人事哲学と制度間の相互作用を踏まえた人事システムとはどのようなものになるのでしょうか。ここでは、3タイプの人事哲学とそれぞれに相互作用関係を踏まえた各制度のポイントを表2に整理してみました。
表2のように、人事哲学と諸制度の間に相互作用を踏まえた一貫性があればよいのですが、一般的に多いのは、人事育成制度を「選択型研修制度」にし、各人の主体性と自発性をもった能力開発を目指すことをうたいながら、任用制度が2週間前発令で全国どこへでも転勤させ、しかも辞退もできないまったくの会社都合による制度になっているといった不整合が各所に見受けられます。このため、結果としてそれぞれの制度が、共にうまく回らなくなってしまうケースが多いのです。
人事システム検討・導入のレバレッジ(てこ)
第1のレバレッジ:人事哲学の確立
人事諸制度がバラバラにならないようにするためには、新しい人的資源管理を検討する際に、まず徹底的に人事哲学を詰める必要があります。それは、人事哲学の枠を超え、企業としての目的意識(何のためにわれわれは存在しているのか)、ビジョン(どこを、何を目指すのか)、行動基準(何を大切とするのか)といったところまでの検討を本気になって経営陣が考え、従業員の納得を得ることです。
そして、その本音の人事哲学をもとに、各制度の相互の影響関係に目を向けることが必要になります。この関係性での不整合が少なければ、たとえ個々の制度の完成度が低くても、全体としてのパフォーマンスは高くなります。また、個々の制度については、従業員の納得性と実現可能性(他の制度との矛盾点、従業員の認識)に着目しながら、数年をかけて手直しをすればよいわけです。
環境や企業の組織の変化が早い今日、検討段階で個別制度ごとの完成度を高めることを重視して、じっくりと机上で議論していることは得策ではありません。その間に制度が陳腐化してしまいます。それよりもむしろ、目的を明確にし関係性を押さえながら、ラフでも制度をスタートさせ、導入しながら2~3年で変容させていくことが望まれます。
第2のレバレッジ:アカンタビリティとコンピテンシーに基づく人事システム
パフォーマンス(成果・性能)の追求が組織のミッション(使命)である以上、どういった人事哲学を用いるかにかかわらず、組織の構成員にパフォーマンスを出してもらえるようにすることが重要なのは言うまでもありません。
このとき、人事システムを成功させるには、各人の成果責任の明確化が不可欠になります。これまでのわが国の人事システムでは、職務記述書などによって職務内容を示していましたが、成果責任については示されていませんでした。また、今日の企業においてすべての従業員の職務を記述することは不可能ですし、職務記述書に示される職務内容もすぐに変わってしまうので役には立ちません。そこで最近は、「何をするか」ではなく「どういった成果が求められているか」を取り上げるようになりました。そこで出てきた言葉が「アカンタビリティ」と「コンピテンシー」です。
アカンタビリティとは、成果責任のことです。「どういった成果を出すことが自分の責任を果たしたことになるのか」ということを明確化し、目標化することであり、「期待役割」と呼ばれることもあります。
コンピテンシーとは、発揮能力のことです。「アカンタビリティを果たす上で貢献する具体的行動」を明確化し、それらの行動を発揮すれば、アカンタビリティが実現できるようにするもので、「成果行動」「期待能力」と呼ばれることもあります(表3参照)。
人事諸制度と業績をリンクさせるには、人事システムにアカンタビリティとコンピテンシーといった考え方を取り入れることが必要になります。
アカンタビリティが明確に設定されると、期末における業績考課は、このアカンタビリティの達成度で測ることとなります。もちろん、人事哲学のあり方によって、アカンタビリティの達成度に応じてどれだけ給与へ反映させるかのウェイトは変わります。
パフォーマンスを高めるために、アカンタビリティを明確化できたとしても、その達成に向けてどのように行動したらよいのかの判断尺度が必要です。また、アカンタビリティの達成のために自分がどういった能力を高めたらよいかの目安も必要となります。
このとき、コンピテンシーが必要になるのです。これまでわが国では、能力に関しては、職能要件表といったものが用いられてきました。しかし、職能要件表は「職務を遂行する上で必要な能力」という観点から作られているため、成果とリンクしていなかったり、静態的な記述で具体化されていなかったり、更新されておらずに陳腐化しているものが大半でした。したがって、昇進昇格の判断尺度や部下のどういった能力を高めたらよいかの目安として活用できるものではありませんでした。
コンピテンシーは発揮能力ですから、具体的行動で表されます。また、その水準も明らかにしていきます。さらに、ビジネスサイクルが早い今日の状況を受けて毎年更新されるものです。そして、最大のポイントはその職務に就いている人々によって内容を更新することです。
このコンピテンシーを用いて、従業員の能力開発課題を明確化し、現状の能力を棚卸し、その能力を高め、行動として獲得することで、より高い成果の達成を目指すわけです。
このプロセスを図に示すと、図1のようになります。
図1:「アカンタビリティ」と「コンピテンシー」を用いた人事システムの運用プロセス

こうした運用プロセスの人事システムにしていくことが、第2のレバレッジとなります。
第3のレバレッジ:人事部門と人材開発部門との連携
上述のようなプロセスにすると、コンピテンシーの更新は、現場の人、しかも高いパフォーマンスを生み出している人々が、実際に行っている行動を聞き出して検討することが不可欠になります。そうした人々でないと、パフォーマンスに直結する具体的な発揮行動を知らないからです。
この検討は、これまでの人事部門と人材開発部門の枠組みを越えて、現場で高いパフォーマンスをあげているメンバーからのヒアリングに基づいて、彼らと協働作業を行うのが効果的です。そうすることによって、能力開発の方向性も、一般的に言われている「スキル研修」などを行うこと以上に、コンピテンシーに基づいて「どういった能力をどのレベルまで開発するか」を考えるようになります。なぜなら、そのほうがパフォーマンスに直接貢献できるからです。
このように考えると、人的資源管理をミッションとしてきた人事部門と社員の能力開発をミッションとしてきた能力開発部門は、ミッションは異なるかも知れませんが、それを実現するためのプロセスは重なり合うものとなります。そこで、お互いの強い連携が、成功させるために非常に重要な要素になります。それはお互いに人事哲学を検討し、共有し合うことから始めたいものです。
担当者の期待役割と期待能力
こうした人事システムを取り巻く今日の状況を踏まえると、人的資源管理と人材開発に携わる方自身の期待役割(アカンタビリティ)と期待能力(コンピテンシー)も、ずいぶんと異なるものになります。
役割としては、これまで以上に他部門との垣根を超えて働きかけ、相互作用を通して価値あるものを生み出していくといった役割が重要になります。社内のパフォーマンス・コンサルタントとして、積極的に働きかける部隊となり、トップダウン・ボトムアップの際の触媒としての役割を果たすとともに、組織の中に変化を引き起こすチェンジ・エージェントとしての役割も果たす必要があります。
期待能力としては、自分の考えや思っていること、そして情報を積極的にさらけ出して、相互作用を高めるといったバルネラビリティ(vulnerability)が求められます。また公式な組織を超えた実質的な協働組織、すなわちバーチャル・オーガニゼーションを形成できるようなチームビルディングの能力も求められるでしょう。
人的資源管理と人材開発に携わる方々のこうした役割認識と能力開発がなされないまま、各諸制度の個別最適化を押し進めると、結果としてうまく回らなかったり、個々の制度が障害になってしまうことさえ考えられます。
コラム:ティモシー=ゴールウェイの「インナー=ゲーム」(1)
コーチングは、本リポート第1号で述べたラーニング・オーガニゼーションとともに、これからの企業において、その重要性がますます高まっていくであろうとされている概念です。ここでは、幅広い領域において、ユニークな学習心理学を展開し、コーチングの理論と手法を開発しているティモシー=ゴールウェイ氏の考え方等について、何回かにわたってご紹介しようと思います。
ゴールウェイ氏は、15歳でテニスの全米ハードコート選手権に優勝し、ハーバード大学に入学後はテニス部主将としても活躍。その後、プロテニスコーチとなり、独自のコーチング理論をうち立てました。ゴールウェイ氏は、テニスのコーチングを通じて確立したコーチング理論と手法を発展させ、「インナー=ゲーム」シリーズ(このうち、日本では「インナーゲーム」「インナーテニス」「インナーゴルフ」「インナースキー」の4冊が日刊スポーツ出版社から出版)を著しました。その著作は、4大大会シングルスの優勝12回を誇るキング夫人がバイブルとしているほどで、世界的ベストセラーとなったことでも知られています。
同氏は現在、テニス・ゴルフ・スキーなどのスポーツばかりでなく、オーケストラ演奏のコーチングや職場における学習・業績を高める仕事にも従事しています。その実績としては、長年にわたってIBM、AT&T、コカ・コーラ等で大きな成果を上げるなど、米国のコーチング界における一人の旗頭となっています。
なお、今回のコラムは、1997年9月にワシントンで行われた「システム思考会議」におけるゴールウェイ氏と筆者との対談と、"The Systems Thinker"(米国ペガサス社刊)の1997年8月号に掲載された"The Inner Game of Work: Building Capability in the Workplace"(仕事のインナーゲーム:職場における能力構築)という記事の一部の要約が中心になっています。
「インナーゲーム」とは
あらゆるゲームには、アウターゲーム(外なるゲーム)とインナーゲーム(内なるゲーム)の2つの側面があるといわれています。アウターゲームとは、われわれの外側で繰り広げられるゲームのことであり、「外なる目標」を達成するために外的な障害を克服するものです。ゲームの勝敗を競うことなどは、アウターゲームの顕著なものとして捉えることができます。
一方、インナーゲームにおいては、内面的な目標を達成することや、内面的な障害を克服することに焦点が当てられます。恐怖心や緊張感、自らの苦手意識などを克服することなどが、これにあたるでしょう。インナーゲームとは、これまで比較的軽視されていた内面的な目標の達成や内面的な障害を克服するスキルに注目し強化することによって、アウターゲームに成功をもたらそうとする学習とコーチングへの1つの取り組み方をいいます。
また、ゴールウェイ氏は「インナーゲーム」シリーズの読者が、スポーツにおける学習を通じて、人生というゲームに成功するヒントをつかむことを望んでいるとも語っていました。
学習能力の開発
子供にとっては、何をしても何を見ても、当然それが学習となります。しかし、われわれ大人は、これまでに受けた教育制度の中で自然な学習意欲や各自に内在する学習能力を著しく損なう態度や習慣が身についてしまい、それが大人にとっての学習を阻害しているのです。
したがって、有能なコーチになるには、まず学習の特質を理解する必要があります。そして、コーチが学習に関する理解を深めるために、自ら積極的に学習プロセスに携わり、学習者がどのようなバルネラビリティーや学習の妨げを体験するかを、身をもって知っていなければなりません。
インナーゲームのアプローチは、我々が学習したり成果を上げたりする能力を妨げる個人的・文化的習慣を捨て去るためのものです。インナーゲームのゴールは単純であり、自分自身や自分のチームが、本来備えている能力をよりよく活用できるようにすることにあります。その取り組みは、次のような単純な公式によって表すことができます:
パフォーマンス(成果・性能)=潜在能力-障害
「潜在能力」には、学習能力ばかりでなく、われわれに備わっている――顕現されているものも隠れているものも合わせた――すべての能力が含まれています。「障害」とは、われわれ自身の能力の発達や、能力の発揮を妨げる様々な要因のことです。
パフォーマンスと学習を高めるには、潜在能力を顕現させるか、障害を取り除く――またはその両者を組み合わせる――ことが必要です。前者が時間のかかるプロセスであるのに比べ、後者は、短期間で広い範囲にわたる結果が得られるものです。
しかし、そのような障害を取り除く際の指導法が誤っていれば、効果が上がらないばかりでなく、逆効果になることすらあります。
次号では、そのような意味合いから、障害を取り除くことを中心に話を進めたいと思います。(次号に続く)
HVDリポート
1998年3月1日発行
発行人 高間 邦男
発行所 株式会社ヒューマンバリュー