市民参加の取り組み

事例1:松戸市のケース  「総合計画策定へのホール・システム・アプローチの適用」

取り組みの全体像

背景~みんなの想いが込められた計画を創りたい~

千葉県松戸市では平成23年度から施行される後期基本計画の策定に向けて、市民・職員参加による計画づくりを行ってきています。市民や職員が、松戸の未来について共に話し合う場を様々な形で用意し、そこで得られた多くの声を計画に反映させています。

この取り組み背景には、「みんなの想いが込められた計画を創りたい」という松戸市の強い想いがありました。多くの自治体で行われている計画策定では、市民ニーズや自治体毎の行政課題を反映させるために、市民ニーズ調査が行われたり、担当課とのヒアリングや協議のうえで計画が策定されていきます。
しかし、多くの自治体から聞こえてくる実態としては、計画策定に携わるのは一部の職員となっており、それ以外の職員は、上から降りてくる計画にやらされ感を持ったり、なかなか自分ごととして捉えられなかったりといった受身的な状況にあるようです。また市民の側も、一部の市政に関心の高い人以外は、まちづくりに関心を持てないというのが多くの自治体における課題となっています。結果として、せっかく作った計画書もあまり人に読んでもらえなかったり、効果的に実行に移されないといったことになってしまいがちです。

そこで、松戸市では、松戸の将来を描く後期基本計画の策定プロセスに、できるだけ多くの職員や市民に参画してもらうことを通して、一人ひとりの想いを反映した将来ビジョンや計画作りを実現していくことにしました。この取り組みには、松戸市の将来像をみんなで描いていくという想いを込めて、「イマジンまつど~私たちの明るい未来をつくる~」という名称がつけられました。

イマジンまつどにおける話し合いの場とプロセスのデザイン

市民・職員参加による計画づくりを進めるためには、多くのステークホルダー(利害関係者)による話し合いが不可欠となります。そして、利害の異なる人々が生成的な話し合いを行うためには、安全に話し合える環境や話し合いの手順など、適切な場とプロセスを準備する必要があります。そうした場とプロセスづくりの知識的・運営的なサポートとして、ヒューマンバリューへプロジェクト推進支援の打診をいただきました。

イマジンまつどを推進するにあたっては、松戸市の総合計画策定を中心となって進める事務局チームとヒューマンバリューのメンバーで全体像をデザインしました。どんな人々にどのように参加してもらうのがいいのか、どのようなプロセスで行うのか、話し合いのアウトプットは何にするのか、既存の計画策定の動きとどのように整合性を取るのかといったことを念入りに検討した結果、下記のような話し合いの場とプロセスを設けることにしました。

1.あなたの想いを聴くインタビュー(職員編)
2.職員みんなの対話会
3.あなたの想いを聴くインタビュー(市民編)
4.松戸市の未来を考える市民フォーラム
5.まつど未来づくり会議

1~5を含めた総合計画策定の全体のプロセスは図1のようになります。

図1後期基本計画策定プロセス(後期基本計画策定会議 作業部会資料より抜粋)

プロセスデザインのポイント

上記のプロセスをデザインする際のポイントとして、以下の3点を重視することにしました。

(1)職員参加からスタート
イマジンまつどでは、職員一人ひとりが参加するところから始めて、それを庁内全体の取り組みへと広げ、そこから市民参加の取り組みへと発展させていくことを重視しました。これまでに、他市でも様々な形で市民参加の取り組みが行われてきていますが、一般的によく挙げられる課題としては、市民参加の取り組みに職員がほとんど関わらず、職員が置いてきぼりになってしまうということがあります。

今回は市民参加と職員参加の両方を実現していきたいと考えていましたが、それらは決して別々のものではなく、最終的には市民と職員が垣根を越えて、松戸市をどうしていきたいかを話し合うといったことを目指しています。そして、市民と職員が共創するためには、市民に対して形だけの話し合いの場を用意するのではなく、共にまちを創るステークホルダーとしての職員側の想いも高まっている必要があります。

そこで上述した1~5の取り組みを順番に行っていくことで、少しずつ庁内に「イマジンまつど」の考え方に対する理解を体験的に広げ、庁内の対話や参加の能力・技術を高めながら、市民参加の場を用意していくというデザインになりました。

(2)既存の計画策定との整合性の確保
松戸市の後期基本計画は、市民・職員参加の話し合いで行われる1~5に加えて、人口推計、ニーズ調査、意識調査やSWOT分析など既存の計画策定もあわせて行われます。この両者は、同時並行で行われますが、効果的に整合性が取られるよう、互いに確認しあいながら進めていくことを重視しました。それらの関係性を示したのが図2になります。

図2計画策定プロセスの関係性

(3)ホール・システム・アプローチの方法論の適用
1~5の話し合いの場を効果的に実現するために、ホール・システム・アプローチの方法論をそれぞれに適用していくことにしました。表1に、それぞれの取り組みでどの方法論を活用したかを示しています。

表1:ホール・システム・アプローチの方法論の適用
取り組み 方法論

1.あなたの想いを聴くインタビュー(職員編)

AI

2.職員みんなの対話会

OST

3.あなたの想いを聴くインタビュー(市民編)

AI

4.松戸市の未来を考える市民フォーラム

フューチャーサーチ

5.まつど未来づくり会議 Uプロセスの考え方に基づいた

ダイアログ

ここからは、それぞれの取り組みでどのようにホール・システム・アプローチの方法論を活用していったかの詳細を紹介したいと思います。

ページトップへ

賢者TV