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トレーニングの効果測定

HVDリポートVol1. No.6より抜粋

ASTD'98のセッションの中では、「トレーニングのROI(投資収益率)をどのように計測するか」「トレーニングの効果をどのように測定するか」といったテーマが数多く見られました。これには、米国のHRD担当者が置かれている2つの状況がその原因にあると思われます。
1つはトレーニングによってパフォーマンスが向上していることを証明しないと、CEOがトレーニング予算を認めてくれなくなっているということです。
もう1つは、トレーニングのアウトソーシングによって担当部門が縮小され、トレーニング担当者がどんどん解雇されるという状況に遭遇していることです。今後は、日本でも同様の傾向が高くなっていくと思われます。
トレーニングの効果測定の方法には、大きく分けて次の6つの測定方法があります。

  1. アフターアンケート
  2. 事前事後テスト
  3. ヒアリング
  4. コントロールグループとの比較
  5. 360度アンケートによる比較
  6. ROI分析
1. アフターアンケート
アフターアンケート(受講アンケート)は、従来から行われている一般的な測定方法ですが、この評点でトレーニングを評価するだけでは済まなくなっているというのが一般的な論調です。
2. 事前事後テスト
事前事後テストは、まずトレーニングの前に受講者の知識、技術のレベルをテストによって確認します。そして、受講後に再度テストを行い、どのくらい向上したかを確認する方法です。
3. ヒアリング
ヒアリングは、受講者に対してトレーニングを受けてどのような気づきや態度の変容があったかを直接聞いていく方法です。
4. コントロールグループとの比較
コントロールグループとの比較は、トレーニング終了後に受講者群と非受講者群(コントロールグループ)との業績などの差を計測し、比較するものです。
5. 360度アンケート
360度アンケートは、事前に受講者の周りの人から本人の行動や知識、技術、態度についてのアンケートを収集しておき、トレーニング後、一定期間を経て再度アンケートを採り、その変化を測定するものです。
6. ROI分析
ROI分析は、トレーニングに要した費用に対して、それがどのくらいの業績を生み出したかを測定します。それには比較するためのコントロールグループが必要です。

しかし、ROI分析で問題となるのは、費用(投資)にどこまでを含めるのかということです。
一般的には、トレーニング費用として講義料+テキスト代+交通費、その他、会場費、宿泊食事代程度を含めます。そして、人件費及びトレーニング参加中に稼げたはずの利益は含めないようです。
しかし厳密に言えば、人件費やトレーニングに参加したため仕事ができなかった期間の利益上の損失も含めて分析しなければならないでしょう。また、営業以外の分野では、業績を数字として測りづらいため、この方式はうまくいきません。そのため、今後の方向はトレーニングの内容面をどう評価するかという方向に移っていくと思われます。

トレーニング・プログラムを評価する4つのレベル

ASTDのセッションの中でドナルド・カークパトリック(ウィスコンシン大学名誉教授)は、トレーニング・プログラムの4段階評価モデルを紹介し、効果的なトレーニング・プログラムの必要条件とプログラムを評価する理由、またそれぞれの段階に応じた見本、形式、手順を説明しました。
なぜプログラムの評価をするかという理由としては、次の5点を挙げています。

  1. プログラムを継続するのか、やめるのかを判定するため
  2. 目的に合っているかを判定するため
  3. どのように改善できるかを知るため
  4. プログラムの予算を正当化するため
  5. このプログラムが必要であることを証明するため

カークパトリックはプログラムの評価を次の4つのレベルで考えています。

レベル1 反応(reaction)
プログラムについて参加者はどのように感じたのかをみます。
レベル2 学習(learning)
参加者は何を学習したのか、知識が増えたのか、スキルが改善されたのか、態度が変わったのかをみます。そのために、事前テストと事後テストを行い、プログラムの中で参加者がどの程度学習したかを測ります。
レベル3 行動・態度(behavior)
トレーニング後、職場に戻ってからの行動がどのように変わったかをみます。360度アンケートによって、周囲の人から参加者の行動がどのように変わったのかを測定したり、本人にインタビューすることによって把握します。
レベル4 結果(results)
最終的にどのような成果(量、質、安全、セールス、コスト、利益、ROI)が出たかをみます。トレーニングが終わって職場に戻った当初はよくても、時間が経つと元に戻ってしまうこともあるので、ある程度期間をおいてから測定するようにします。

カークパトリックは、この中でもレベル3とレベル4の測定は特に難しく、こうすればうまく測定できるという結論が出ているわけではないと述べています。そして、おのおのの職場でその適用の仕方を考えていくことを今後の課題として挙げています。
以上のカークパトリックの考え方は、別段真新しい感じはしませんが、いざ実施するとなるとトレーニング部門にかなりの負荷がかかるでしょう。つまり、先述の4つのレベルからトレーニングプログラムを評価することは当たり前のことかもしれませんが、それを実施するのは非常に難しく、具体的な方法を決めて継続的に取り組まないと実際の効果は出ないと考えられます。

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