オープン・ラボ

1日目開催レポート:「学習する組織を目指した仕組みや風土づくり」

【1日目】セッション1

タイトル

現場主導の風土・仕組みづくりの実践
~ある電鉄会社の3年間の軌跡~

内容

風土や仕組みづくりを行うにあたっては、トップダウンで無理やり浸透させようとしても、現場ではやらされ感が生まれ、結果としてうまくいかないことが多いようです。本セッションでは、「学習する組織」の構築を目指して、会議体の革新や現場リーダーの実践コミュニティの構築など様々な風土・仕組みづくりの取り組みを現場主導で展開し、大きな成果を上げた事例を紹介します。事例をもとに参加されたみなさまとの対話を行い、風土・仕組みづくりを成功に導くポイントは何かを探究します。

発表者

川口大輔

報告レポート

■サマリー
川口が3年間にわたりお手伝いしたある電鉄会社の事例紹介とダイアログ。

■発表のポイント
安全文化の醸成に向けて組織活性化に取り組んだ現場の幹部、運転士、車掌たちが、自分たちの職場で本音で語り合える風土をいかにして創っていったかのプロセスを紹介。
写真やコンテンツをもとに情報提供を行い、運転手の方が取り組みのストーリーを語る様子を動画で紹介。
実際にその取り組みに最初から関わられた電鉄会社の推進メンバーの方から、想いをその場で語っていただいた。
風土・仕組みづくりのポイントとして、押し付けではなく、推進者自身がビジョンを描き、そのビジョンを実践していくことで、変革の輪を広げていく浸透のプロセスを徹底していくことの重要性を説明。

■ダイアログ
発表後のダイアログでは、ある方が「変革を始める時に障壁はなかったですか?」という質問が投げかけられた。それに対して、推進メンバーの方が「やってみたら障壁がなかった。我々が障壁だった……」と語った。
「自分ができることを一生懸命やることに価値を感じた」「主体的な取り組みに、つい介入してしまうことが難しい」という感想が交わされた。
「この取り組みが、どういうふうにして、誰から始まったのか?」という変革の原点についても話し合われた。

参加者の感想

■「風土を改革していく必要がある」と、どうしてもハード面(制度など)の整備のみに意識が向いてしまったり、施策を実施した時に成果を焦ったり、また失敗を恐れ慎重になり過ぎて何も始められなかったり……。そんなジレンマを心の中に抱きつつ、当日参加した。長期間継続的に取り組まれた事例を聞き、皆と対話することで、「日常の業務の中で忘れがちで大事なこと」を再認識できた。

■一番、印象に残っているのは、「浸透のプロセス」。自組織の施策と照らし合わせて、私たちはやっぱり「右回り」だな、と。「これをやります」と決定事項で降りてくることが多く、"想い"が共有できないまま実施、ということがよくある。せっかくいいものを持っていても、もったいないなと思った。

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【1日目】セッション2

タイトル

エンゲージメント・サーベイ37,000人の回答結果から探る人と組織の新たな関係

内容

ヒューマンバリューが「人と組織がお互いに成長しあえる関係づくり」を目指してエンゲージメント・サーベイを開発してから5年が経ちました。その間、現場においてはサーベイを活用してエンゲージメントの向上に向けた様々な取り組みが推進され、高い成果を上げてきました。サーベイ開始から5年が経った今、その回答者数は37,000人に達しています。この度、ヒューマンバリューでこれまで蓄積された回答データをあらためて解析してみた結果、人と組織の関係性に新たな傾向やパターンがあることが分かりました。
この機会に解析で発見した傾向やこれまでの取り組みを皆様に共有させていただき、その背景を探りながら、改めて今後の組織と人の関係やありかたについて一緒に検討してみたいと思います。

発表者

堀田恵美

報告レポート

■サマリー
6年間の回答者37,000人のデータについて統合・再解析して見えた傾向を堀田が紹介し、ダイアログを行った。

■発表のポイント
まずは「エンゲージメント」とは何かという紹介を兼ねて、2003年のASTDカンファレンスをきっかけに、ヒューマンバリューがエンゲージメントの研究とエンゲージメント・サーベイの開発を行っていったプロセスが紹介された。
その後、エンゲージメントサーベイの蓄積データから読みとれた傾向が紹介された。「エンゲージメントを測る際には、結果指標ではなく動的指標を測定することに意味があるのではないか」「エンゲージメントを高める上では、現時点での満足度を確認するよりも組織の未来に向けた前向きな想いを測定することの方が重要ではないか」などといった仮説がいくつも提示された。
また、エンゲージメントを高める取り組みの例として、ポジティブ・アプローチを活用してサーベイの結果を共有し、多様性を尊重しながら会社の取り組みへの前向きな想いを育んでいく検討会の事例が紹介された。

■ダイアログ
ダイアログでは、再解析のデータを全員で読み込みながら気づいた点や疑問、感じたことなどが話し合われた。
「仕事の指向性とエンゲージメントの関係がおもしろかった。一人ひとりの指向性が育つような体験をしていくことでエンゲージメントが高まるのかな……」「クラスター分析のデータは働きがいの高い会社の調査とも同じ傾向ですね」といった感想が共有された。
「自己受容感」と「自己効力感」の違いが論議されたり、そもそも「組織」という枠組みが人によって異なってきている中で「組織と個人のエンゲージメントではなく、あなたとあなたのいる世界のエンゲージメントかもしれない」という仮説が出されるなど、個人の認知の変化についても議論された。

参加者の感想

■エンゲージメントサーベイは、単なる "働きやすさ" や "満足" といった組織に対する「居心地のよさ」ではなく、仕事や組織を通じた自分自身の存在意義や価値観を把握する(気づくことが)できるという意味で、これからの個人と組織の関係を再構築するうえで、有効なアプローチだと感じた。なかでも、キーになるのは、個人と組織の結節点となる現場の管理職層だと思う。管理職層もまたプレイングマネジャー化して多忙を極め、短視的で、マネジメントスキルが追いついていない感がある。個人の想いもさることながら、そうした管理職層にリーダーシップの能力・スキルを付与し、自信をもってマネジメントができるようになると、組織自体が有機的に動いて、ひいては会社自体も元気を取り戻すのではないかと思った。とても刺激的な内容だった。

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【1日目】セッション3

タイトル

人事制度の運用向上によるマネジメント力向上と組織活性化

内容

「成果主義」「評価制度」という言葉は、どうしても人や仕事の成果に対して、外側から基準を当てはめて、そのギャップを判定する、いわゆるギャップ・アプローチに沿ったものだと捉えられがちです。しかし、あらかじめ定められた基準をあてはめて、いくら正確に測定したとしても評価される本人はやらされ感、受け身になりがちです。これは、基準を適用される社員にとっても、適用する評価者にとっても同じことが言えます。仕事は、自ら主体的に目標を設定し、自ら取り組み、自らふり返る、いわゆるセルフマネジメントが基本であり、評価のされる立場で捉えるのではなく、自ら主体的に関わっていくことが大切になります。また、評価の基準や方法も会社が現場の管理者に対して厳密に適用を求めても、かえって運用を難しくするだけです。現場の評価者が、組織の活性化や人材の活用、業績の向上に向けて、主体的に運用を図っていくことが大切であり、それをサポートするのが人事や制度の役割になります。これはいわば、外側から基準を与えるギャップ・アプローチ的運用ではなく、自ら主体的にありたい姿や基準、運用方法を見つけていくポジティ・アプローチ的運用といえるものです。
本セッションは、評価を評価として切り離すのではなく業務マネジメントと一体として、ポジティブ・アプローチによる人事制度の運用を図り、マネジメント向上や組織の活性化につなげていく方向性を一緒に探っていきたいと思います。

発表者

阿諏訪博一

報告レポート

■サマリー
阿諏訪と高間等、ヒューマンバリューのメンバーが7年間にわたりお手伝いさせていただいたある通信会社における人事制度運用向上から組織活性化につながる取り組みの紹介とダイアログ。

■発表のポイント
成果主義の業績制度導入と合わせて、単に制度を変えるのではなく仕事の仕方やマネジメントの仕方を変えていこうとする取り組みのねらいが紹介され、7年間にわたる様々な取り組みが共有された。
その中で、評価制度の運用向上に向けた仕組みの導入や、評価者研修、社員向けの目標設定の研修、運用をサポートする仕組みなど、様々な取り組みが紹介された。中でも特に、多様な業種の人々で構成されている数十万人規模の組織を一律に変化させるのが難しい状況で、年に一度の評価者研修を通じてマネジメントの質を高め、現場での実践事例を吸い上げて、また現場に展開させるというプロセスについて、動画や実際に使われたコンテンツも交えて紹介された。
また、運用事例を集めている中で観察された傾向として、ギャップ・アプローチでうまくいっている事例はほとんどなく、現場の状況に適応する形で自然とポジティブ・アプローチを実践していることも紹介された。

■ダイアログ
「思想と手順の一貫性が大事だと思う」「 (他社の取り組みと)展開の仕方は違うが原理原則は同じだと思った」「ビデオを作るプロセス、ベスプラを見つけるプロセスの裏にある努力と仕事のボリュームはすごい」といった感想が共有された。
実際にこの取り組みの推進プロセスに関わった方から「事業計画を現場で勝手につくる人には上からの計画とショートするのではないかと思ったけれど、それ以上のものが出ます」といった実感が語られた。
また、「(当時のマネジメント研修用 VTR に)女性が一人も出ていない」という感想や「確実に褒める文化に変わってきてる」「教えない研修に変わってきていて、今までで一番評価が高い」といった7年間の変化についての感想も共有された。

参加者の感想

■ベスプラを映像で共有しているシーンがとても印象的だった。管理者の人の想いが推進を促進する1つのキーポイントになっているということが読み取れた。大きな会社だからこそ循環できる知恵のパワーを感じた。

■毎年数千件に及ぶ現場の事例を調査しているという地道さにも感銘を受けたが、その中でギャップ・アプローチでうまくいっている職場はほとんどないという指摘に納得した。また、試行錯誤しながら活性化した現場はほとんど言葉は知らなくてもポジティブ・アプローチで運営されているということにも非常に学びがあった。

■7年間同じフィロソフィーをもって取り組みを続けていられる継続力がすばらしい。担当者が変わっていっても一貫した制度運営を続けられるヒントがたくさんあった。

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【1日目】ワールド・カフェによるダイアログセッション

タイトル

ワールド・カフェによるダイアログセッション

報告レポート

■サマリー
「今日私たちが学んだこと、大事にしていきたいことは?」という問いをもとに、22日の情報共有とダイアログを統合し、想いを醸成する話し合いを「ワールド・カフェ」形式で実施。

■ ポイント
4つのテーブルで話し合いが行われる中で、「1日を通して共通していたのは『ストーリー』?」「右回りではなくて左回りが重要?」「関係性が良くなれば自然に効率化されていくのでは?」というような様々な問いが生まれた。
また、「能面のようだと誰かが辛くてもわからない。みんなが笑顔だと誰かが辛い時にそれを察知して助け合えるのでは」という仮説から、「つながること」や「自律/自立」の大切さも語られた。
また、「問題意識だけではないと思う」「信じることが大切だと思う」「ゲートはどこでも良いと思う」「あきらめない」といった強い想いの言葉も飛び交っていた。
全体共有では、各テーブルで語られたストーリーがあらためて紹介されたり、「揺らぎが大きいとその後の変化も大きい」「想いが最大の資本」「右脳と左脳のバランス、長期と短期のバランス」、というような多くの気づきが共有された。

■チェックアウト
社内からは「楽しかった」「知らない話がいろいろあった」「理解するというよりも大事なことを共有できた」、「名前を聞いていたお客様と初めて会えた。クロスの交流があってよかった」「 まだ1日目なので、2日目や4日目が予想できない……」という言葉が出た。
また、お客様からは「今まではベストな答えを見つけようとしていましたが、なんでもいいや!」「いろんな動きが出ているようでうれしいなと思った」「ゲートはどこでもいいというのがガツンときた 」 「どういう会社か、今日かなりわかった(笑)」「どこでも良いのだと思うと気持ちが楽になった」という感想が語られた。

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