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組織開発

『組織開発の基本』 「解説・あとがき」を抜粋

本書はASTDベーシック・シリーズとして書かれたものであり、組織開発に最低限必要となる考え方やアプローチがまとめられている。これで基本としては十分だと思うが、訳者が組織開発に携わってきた体験から、組織開発のプラクティショナーとしてさらに理解しておくと大変役に立つというところで、本文では語られていない部分について、ここで紹介してみたい。これが蛇足にならず、読者の理解や実践に向けたヒントを得るための支援になればと思う。

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解説・あとがき

タイトル:『組織開発の基本』
発刊日:2012年7月8日発刊
著者:リサ・へインバーグ
訳者:川口大輔

「組織開発」に対する注目度が、昨今日本においても、人事・人材開発に携わる人々を中心に高まっている。ASTDの日本支部であるASTDグロー.バル・ネットワーク・ジャパンにおいては、2008年から「組織開発委員会」が立ち上がり、本書の中でも紹介されている「OD Network」の日本支部も2010年に発足した。いま、あちらこちらで組織開発の意義や実践のあり方について多くの議論が行われている。実際の企業の中でも、人材開発と並んで組織開発や組織活性化というキーワードがよく扱われるようになり、外資系企業を中心に「Organization Development」や「Organization Effectiveness」といった専門的な役割や部署をもつところも増えはじめていると聞く。こうした背景には、個の育成にフォーカスを置いたスキル開発やリーダーシップ開発にとどまらず、コミュニケーションや信頼感・一体感を高め、組織の強みや集合的な力を引き出し、人々の協働を通してイノベーションやパフォーマンスの向上を生み出していく必要性が高まっていることがあると考えられる。

しかし、組織開発という言葉がどういう意味をもつかについては、日本では共通の認識を得るには至っていないようだ。以前、日本において組織開発という言葉が頻繁に使われていたのは1970年代のことである。当時はセンシティビティ・トレーニング(感受性訓練)やTグループ、ラボラトリー・トレーニングといった手法が有名で、さらにマネジリアル・グリッド、職場開発といった手法も幅広く企業に導入されていた。現在では、組織開発の背景にある思想や理論、そして手法も、当時に比べると様変わりしている。

本書の著者のリサ・ヘインバーグ氏は、インテルやアマゾンなどのグローバル企業において、プラクティショナーやコンサルタントとして、組織開発の仕事に長年携わっており、そうした今日的な組織開発を俯瞰するのに適任な人物であると思う。彼女の著作は組織開発だけではなく、マネジメント開発、コーチング、キャリア開発など、幅広い分野に及んでいる。また、これらの分野の識者として、ASTDにおける主要な立場で活動している。本書は、そうした著者が今日的な組織開発について、経験的・学術的な観点から基本をまとめたものである。これまで日本では曖昧なままになっている組織開発の意味や目的、範囲、取り組み内容を体系的・網羅的に紹介することで、組織開発に携わる人々に、グローバルな基準となる指針や羅針盤を与えてくれると思われる。

訳者は、2012年コロラド州デンバーで開催されたASTD国際会議で、著者と話す機会に恵まれた。その際、著者からは、本書の読者に向けて次のようなメッセージをいただいた。「私はこの本の中で、『組織開発の仕事』を取り扱った第2章を書くことに大きな力を注ぎました。なぜなら、組織開発は狭い手法論や役割に限定して捉えられるべきではなく、幅広い業務で応用ができる柔軟な仕事であるということを知ってもらいたかったからです。人と組織を結ぶ架け橋を築くことのできるこの職務に携われることにぜひ喜びをもって、素晴らしい未来に向けて一歩ずつ進んでください」。この本を下敷きにして、ご自分ができるところから、組織開発への取り組みを、自信をもって始めていただけるのではないかと思う。
本書はASTDベーシック・シリーズとして書かれたものであり、組織開発に最低限必要となる考え方やアプローチがまとめられている。これで基本としては十分だと思うが、訳者が組織開発に携わってきた体験から、組織開発のプラクティショナーとしてさらに理解しておくと大変役に立つというところで、本文では語られていない部分について、ここで紹介してみたい。これが蛇足にならず、読者の理解や実践に向けたヒントを得るための支援になればと思う。

組織開発の背景にある世界観・哲学

本書でも紹介されているように、組織開発には様々な手法やインターベンションがある。しかし、その背景にどんな「世界観・哲学」があるかについては、あまり触れられていない。訳者のプラクティショナーとしての経験から考えると、実際には「何を行うか」「どんな手法を使うか」ということ以上に、組織開発に携わる人々がどんな「世界観・哲学」をもって組織にアプローチするかが大切だと思う。そのことが、組織に何事かの変化を生み出すうえで、大きな違いになることを目の当たりにしてきたからである。そうした「世界観・哲学」には様々なものがあるが、やや乱暴に大別すると、「計画的・機械論的世界観」と「生成的・生命体的世界観」に分けられると考えられる。

「計画的・機械論的世界観」とは、人や組織のメタファー(暗喩)を機械として捉え、特定された目的やパフォーマンス・ゴールに向けて、計画的に各部品の性能を高めたり、調整を行ったりしていくような考え方である。こうした世界観のもとで行われる組織開発のアプローチは、明確なビジョン、ミッション、戦略のもとで、あらかじめゴールと目標が定められ、その実現に向けて、組織の何が課題であるかが分析され、様々な施策やインターベンションが展開されていくといったものである。本書においては、組織開発の目的を「現状のA地点から望ましいB地点へと組織を導くこと」と捉えているが、A地点とB地点を明確にし、確実にBにたどり着けるような計画を立てていくことともいえる。

これは、非常に論理的・合理的で、わかりやすく、経営層を説得しやすいものである。しかし、こうした効率重視の機械論的な世界観に基づく方法では、最近のように複雑性が高まり、変化が断続的に発生し、人々の多様性が高まった状況の中では、期待する成果を生み出しづらくなってきた。一部の優秀なスタッフやコンサルタントのみが機械の設計者・修理者としてゴール設定や分析・診断、施策、計画の立案に取り組むようになると、対象となる組織のメンバーがやらされ感に陥ったり、正解の見えない世界の中では施策が現実に適応できなかったりして、思ったような成果につながらないことが起きるのである。目指すべき方向や取り組むべき課題が外部から与えられ続けるのでは、人々の主体性が高まらず、受け身的な姿勢を助長し、変革も継続しない。多くの組織変革のイニシアチブが行き詰ったり、頓挫する背景には、こうした機械論的な世界観・哲学に傾倒したことも原因の1つであると考えられる。分析する側・される側、コントロールする側・される側という構図は、予定調和的な変革は実現できるかもしれないが、本当の意味でのイノベーションを生み出すことにはつながりづらいといえる。

そうした背景から、近年の組織開発では、「生成的・生命体的世界観」が取り入れられるようになってきている。これは、人や組織のメタファーを生命体として捉え、種から芽や花を育てるように、人や組織の価値、可能性を生成していく考え方である。この世界観のもとで行われる組織開発のアプローチでは、関わる人々の多様性を尊重し、自分たちで問題解決をする力をもっているというビリーフが根底にある。お互いの想いや背景を理解し合い、皆でありたい姿を共有し、その実現に向けて、自分たちが始められる主体的な取り組みを生み出していくのである。中心的に取り組む人たちはいるかもしれないが、分析する側・される側といった区別は存在しない。そこでの組織開発の役割は、A地点とB地点を定義して与えることではなく、A地点やB地点がどこにあるのかを皆が一緒に考え、協働の場やプロセスを構築していくことにある。

こうした世界観・哲学のもとで、組織開発に取り組んでいくと、ありたい姿(B地点)が人々の内側にある想いから生まれてくるので、エネルギーやモチベーションが高まり、変革が継続しやすくなる。最初に生まれたアイデアは小さなものであっても、人々が本気になって取り組むことで、仮説検証や学習が促進され、取り組みがどんどん進化していく。気がつくと、最初に設定していたB地点を越えたC地点やD地点が、現実の姿として生み出されることも多い。このように、誰かがコントロールすることなく、人々の主体的・自律的な取り組みが拡大し進化していくことを、私どもの会社では「自己組織化アプローチ」や「ホールシステム・アプローチ」と呼んでいる。本書で紹介されていたアプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)、オープン・スペース・テクノロジー(OST)、フューチャー・サーチ(FS)といった手法は、すべてこうした世界観・哲学に基づいたアプローチによるものである。
(余談になるが、2010年にハンガリーのブダペストで開催されたOD World Summitでは、発表者のほとんどがAI、OST、FSのプラクティショナーだった。変化が激しく、正解の見えない今日において、こうした手法がグローバルでは当たり前のように活用されていることがうかがえた)

では、機械論的・計画的なアプローチは組織開発に必要がないのかというと、もちろんそうではない。クリエイティブで新規な取り組みを実行しようとする段階では、科学的、客観的な分析・診断を適切に行い、効率性やマネジメント力を高めていくことは不可欠である。
しかしながら、昨今行われている組織開発の取り組みでは、2つの世界観・哲学が混同されているケースを目にする機会も多いように感じる。たとえば、ビジョンの浸透に向けた全社的な対話集会を行うなど、一見すると自己組織化的なアプローチを目指していても、企画推進する側が組織のメンバーに対話の場を無理に押し付けるようとしていたり、あらかじめ持っていきたいゴールに誘導してしまっては、人々の主体性は高まらず、形だけの対話会になってしまうこともある。また、そうした対話の場を価値創出につなげていくためのプロセスデザインを効果的に行うことができないと、単に対話が行われ続けるだけで、取り組みの意味を失い、「あれは何だったのか?」といった疑念を組織的に生んだり、一部の対話好きな人たちだけが集まる場になってしまうことにもつながりかねない。
大切なのは、組織開発のプラクティショナーが、こうした背景にある世界観・哲学を理解し、統合して実践していくことだと思う。

日本における組織開発の実践

著者に直接会って話した印象としては、著者は恐らくこうした2つの世界観をきちんと理解したうえで、組織開発に関する様々な考え方・理論・手法を本書で紹介していると感じられた。本文の中には「アプリシエイティブ・インクワイアリー」「アクション・リサーチ」「アライメント」「トランジション・マネジメント」など、聞き慣れない言葉もいくつかあったかもしれない。では、こうした手法は日本においてどの程度実践されているのだろうか。日本における組織開発の実態については、全体像を明らかにする資料は見当たらず、訳者もその一部しか知らない。そこで参考として、訳者が所属するヒューマンバリューでの経験をもとに、その実例をポイントと共に示してみたい。

広がるAI、OST、FSの活用

本書で紹介されていたアプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)、オープン・スペース・テクノロジー(OST)、フューチャー・サーチ(FS)といった「ホールシステム・アプローチ」に基づいた手法は、1990年代ごろよりグローバルで急速に進化・普及してきた。日本においては失われた10年の間にこうした素晴らしい手法がほとんど導入されず、やや出遅れた感があったが、2004年頃より少しずつ紹介され、日本の人事・人材開発担当者の間でも知られ始めるようになった。ヒューマンバリューでも2005年から2007年の間に、AIの創始者の1人であるダイアナ・ホイットニー氏やOST創始者のハリソン・オーエン氏を複数回に渡って日本に招聘し、カンファレンスやセミナーを開催したり、書籍を翻訳し、出版するなど、その普及に取り組んできた。

その後、こうした手法に基づいた組織開発が日本においても数多く実践され、大きな成果を上げている。私どももクライアントの方々と協働しながら、様々な実践を行う機会に恵まれ、自己組織化アプローチの力強さを実感することができた。たとえば、初期の頃の取り組みにおいては、AIインタビューを活用して全社のビジョンを皆で生み出し、そこからイノベーションの取り組みに発展させた。また、数百名が集う部署の合宿にAI、OSTを活用し、働く人々の関係性やエンゲージメントを大きく高めるという活動もあった。さらには、社員1800名が集まるナショナル・カンファレンスにおいて、全員参加でOSTを行い、全社の変革につなげる試みも行った。また、組織開発の領域から少し外れるかもしれないが、千葉県の松戸市では、自治体の総合計画策定に向けてFSを活用し、利害の異なる多様なステークホルダーが、コモン・グラウンド(共通の基盤)を共有し、共にありたい姿を生み出していくダイナミックなプロセスをサポートした。今やこうした手法は、私どもが取り組む組織開発の中で、欠くことのできない重要なものとなっている。

最近では、活用の仕方も進化し、先進的な企業の中では、人事・人材開発担当者の枠を超えて、自己組織化アプローチの素晴らしさを体験した現場のマネジャーやリーダーが、こうした手法を学び、自部署内や部署間を越えた活性化や、実際のビジネスとの融合に真剣に取り組み、大きな成果を上げている。
こうした手法やその考え方を日本に紹介し始めた当初、「AIやOSTなどは日本の組織に合わないのではないか?」という反応もよく聞かれた(今でも聞くことが多い)。しかし、ここ数年での体験を振り返ると、「うちには合わない」と感じる人が多い組織ほど、実際に取り組んでみると、自己組織化のパワーに人々が感動し、変革のエネルギーが高まっていくことが多かったようにも思う。
また、こうした手法を専門的に学ぶ機会も増えてきている。今では本書以外にも日本語の書籍も多く出版され、ヒューマンバリューでも、手法を体系的・実践的に学ぶプラクティショナー養成コースを定期的に開催している。こうした機会を活かしながら、ぜひ実践につなげてもらえればと思う。

アクション・リサーチの取り組み

本書においては、クルト・レヴィン氏によって大きな発展を遂げた「アクション・リサーチ」が、第3章の中で大きく取り上げられている。日本においても、「アクション・リサーチ」という言葉自体を使っていなかったとしても、多くの組織開発の取り組みは、この考え方に基づいて行われているといえる。問題に対して自動思考のように反応的な施策を打ったり、他社での成功事例をそのまま取り入れようとしたり、成果がまったく実感できない取り組みをやり続けるといった「裸の王様症候群」になってしまうことは、あってはならない。アクション・リサーチの考え方にあるように、リサーチを通して状況を把握し、適切なインターベンションに取り組み、仮説検証を行い、生み出された価値を明らかにして、さらなる変革につなげていくといったプロセスをたどることが、組織開発の王道とも言える。本書でも紹介されていたように、リサーチをどのように行うかについては、
幅広い選択肢がある。担当者の直感や想いに基づく仮説からアクションがスタートすることもあるが、「サーベイ」や「インタビュー」を活用できると、効果が大きく高まる。

グローバル企業で働く組織開発担当者の話を聞くと、組織開発を行う上で、組織診断のサーベイを行っていくことは、当たり前になりつつあるようである。ヒューマンバリューでも、多くの企業にエンゲージメント・サーベイや社員意識調査などを適用しているが、経年的にデータを取り続けていくことで、仮説検証のクオリティーが高まったり、自分たちの進化をデータで実証することができる効果を実感している。またサーベイの結果を一部の人だけではなく、全社的に共有し、皆が主体者となって考える場をデザインすることで、アクション・リサーチを全社的な取り組みへと広げることも可能である。ある企業では、働く人々約8000名を対象としたエンゲージメント・サーベイの実施に加えて、サーベイ結果を基にした各職場での検討会を数年間継続し、現場の主体的なアクションを通じてエンゲージメントを高めることに成功している。

また、近年リサーチを行う上で、「インタビュー」を活用する価値も高まっている。探求が深まるようなインタビューの構造をデザインし、スキルを身につけたインタビュアーが、適切なステークホルダーにインタビューを行うことができると、組織のありたい姿や現状について、インタビューを行う前は見えていなかった様々な仮説が浮かび上がってくることに驚くときも多い。さらに、効果的なインタビューは、組織開発担当者と現場メンバーの関係性を構築したり、インタビューを通して自分の想いを話すことで、人々の活性化につながるなど、副次的な効果も多い。こういったことから、「リサー.チ」と「アクション」を同時に生み出していく方法として活用する企業も増えてきている。
しかし、こうしたアクション・リサーチも、上述した機械論的な世界観のみで行ってしまうと、人々がやらされ感に陥ることも多い。生命体的世界観を意識しながら、皆でアクションを考えていくことに取り組んでいくことが望ましいと思う。

基本を超えて ~第4世代のアクション・ラーニング~

ここまで紹介してきた実例は、本書に記されていた基本の部分に相当するものであったが、最後にその枠を超えた取り組みとして、アクション・ラーニングについて触れてみたいと思う。
アクション・ラーニングについては、組織開発というより、人材開発やリーダーシップ開発の意味合いで捉える人も多いと思う。実際、アクション・ラーニングは、組織の課題に対して、参加者が自ら解決策を考え、実行し、検証し、問題解決を行うことで、個人の効果的な学習につなげていく手法として、日本においても多くの実践が行われている。
アクション・ラーニングは、「ケーススタディなどの疑似体験・アクション」を通じて学ぶ第1世代、「全社的テーマ」「組織横断的テーマ」といった共通課題に参加者が取り組む第2世代、参加者それぞれが自身の課題を持ち寄る第3世代というように進化してきていると言われている。

これらの取り組みは、いずれも直接の参加者だけが学習対象者として位置づけられている。しかし、ヒューマンバリューの実践の中では、さらに参加者のあり方が進化し、直接の参加者だけでなく、その人が所属する組織集団全体が学習対象者となってきている。つまり、参加者は職場や組織の代表として、アクション・ラーニングに参加し、参加者が現場の仲間たちと協働したり、現場に変革の輪を広げながら、組織の変革を実現していくのである。
これを私どもでは第4世代のアクション・ラーニングと呼んでいる。最近私どもで行っているリーダーシップ開発の取り組みの多くは、この第4世代のアクション・ラーニング形式で進められている。会社によっては、そうしたアクション・ラーニングの参加者が、講座の終了後も現場のチェンジ・エージェントとしてお互い同士が非公式に結びついて、全社的な変革やイノベーションを生み出していくケースがある。

リーダーシップ開発の世界的な権威であるCCL(Center for CreativeLeadership)が、数年前のASTDにおいて、Connected Leadershipというコンセプトをもとに、リーダーシップは個人の能力であるというよりも集合的な能力であることを提唱していた。まさに第4世代のアクション・ラーニングの事例は、個人と組織の学習と成長を同時に実現しているといえる。

組織開発によるより良い未来の実現に向けて

ここまで、「解説・あとがき」として、組織開発の背景にある世界観・哲学と、日本における組織開発の実例を紹介してきた。特にお断りしておきたいのは、ここで紹介した実例は、私どもが直接関わったプロジェクトの一部でしかなく、実はその他にも数多くの実践が日本において日々行われているということである。上述したプラクティショナー養成コースだけでも、200名を超えるプラクティショナーが参加しており、それぞれの人々が素晴らしい実践を行っている。そのコミュニティの集いでは、感動するような成果を上げた事例も紹介され、いつも刺激をいただいている。

未来の不透明性がいっそう高まる今日において、人と人とが絆を強くしながら、意志をもって、困難な状況に皆で立ち向かっていくために、組織開発の重要性がますます高まっていくものと思われる。そうした状況において、組織開発に携わる人々の役割はいっそう重要なものとなり、やりがいのある仕事になるのではないだろうか。
私自身もプラクティショナーの1人として、これまで多くのクライアントの皆さまと関わり、人と組織の成長を支援させていただく中で、本当に多くの学びと感動を経験することができた。こうした仕事に携わっていることに心から喜びを感じている。
ぜひこれからも組織開発に取り組む多くのプラクティショナーたちと共に学び合いながら、より良い未来を築いていくことに貢献できれば幸いである。最後に、本書の翻訳および出版をサポートしていただいた皆さまに感謝したい。

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私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。