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人事評価制度の革新・見直し

VUCAという言葉に象徴される現在のビジネス環境において、企業のあり方、ビジネスとして価値を生み出す方法、人々の働き方、そしてマネジメントにも変革の必要性が高まっています。一方で、人事評価制度に目を向けると、たとえば従来型のいわゆる成果主義的な人事評価制度を取り入れており、アジャイルにチャレンジしていくことが求められる現在のビジネスやマネジメントの潮流とのズレが生じている企業も多いのではないでしょうか。 ヒューマンバリューでは、組織が大切にしているフィロソフィー、生み出したいカルチャーや実現したい戦略に合わせて、人事評価制度を革新していくことをサポートしています。

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人事評価制度に関わる課題は・・・

現在、企業の人事の方々から下記のような課題意識を聞くことが増えています。

・目指したいビジネスのあり方、働き方と人事評価制度が合っていない
・人事評価制度が評価のための仕組みとなっており、成果や人材育成につながらない
・数年前に人事評価制度の見直しを行ったが、すでにたくさん綻びが生じている
・現在の評価制度に課題があるのはわかるが、どこから手をつけてよいかわからない
・社員の評価についての納得度を高めたい

ヒューマンバリューでは、こうした評価制度に関わる課題に対して、既存の制度の見直しや新規の設計、その後の運用の質を高めることで、ビジネスの革新を図る、組織変革を行う、マネジメント革新を行うといったことの支援を行っています。

人事評価制度の見直し・設計のポイント

どのような企業でも、人事評価制度を再構築するに当たって下記の3つのポイントを押さえることが重要になります。

1. 人事評価制度の目的を明確にし、全体のシステムとの整合性を図る

実現したいビジョンや、目指しているカルチャー、生み出したい価値や期待するパフォーマンス、望ましいリーダーシップやマネジメントのあり方等と、人事評価制度及びその運用の整合性が取れており、それらが1つのシステムとして機能していることが重要です。

その中でも人事評価制度は、組織のビジョンやカルチャーを実現するプロセスとビジネスとして価値を生み出すプロセスを、現場の実際のマネジメントの中で結びつけるものと位置付けることができます。

2. 3層の整合性を図る

人事制度の見直しや改革を進める際に、90年代以降に多くの企業が導入した成果主義やMBOについて考えてみると良いでしょう。ベスト・プラクティスとして制度や手続き、ツールだけに目を向けてしまうと、本来の目的を見失うことになってしまいます。

ヒューマンバリューでは、そうした過去の経験を踏まえ、人事制度の見直しの全体像を3層で捉えることを勧めています。

どのように人事評価制度を設計するのか、どういった仕組みを導入し、ツールを活用するのか、これが1層になります。 しかし、多くの人事制度改革の目的は、1層を変えることではなく、どういった状態を実現するのかであり、大切なことは2層(戦略やカルチャー、マインドセット)の実現したい状態を明らかにすることにあります。ビジネスの変化が激しく、仕事の仕方や組織のあり方にはイノベーションが求められているのに、人事評価制度は従来の形のままだったり、延長線上の仕組みを導入したのでは、1層・2層の整合性が取れずに、期待した効果を得ることは難しくなるでしょう。そこで、仕組みやツール設計し、導入する前提として、自社で実現したい戦略、ビジネスのあり方、そのためにどういったカルチャーを醸成し、現場でどういったマネジメントを実現するのか、どういった仕事の仕方を実現するのかを明確にする必要があります。

そうした2層の実現したい状態を実現するためには、企業の人・組織のフィロフィー(3層)についてを確認するプロセスが必要になります。
具体的には、たとえば20世紀のマネジメントの中心には、「ビジョンを浸透させる」「やる気を引き出す」「リーダーを育成する」といったような企業中心のフィロソフィー(カンパニーセンタード)がありました。しかし、21世紀の現代の人と組織に求められているのは、「主体性を解放する」「共有ビジョンを生み出す」「成長を支援する」というようなメンバーや働く人に焦点を当てたフィロソフィー(ピープルセンタード)であるように思います。
いずれにせよ、自社の人材マネジメントや組織のフィロソフィーとしてどうありたいのか(3層)や、そのフィロソフィーを具現化するためにどういった戦略やカルチャーを実現したいのか(2層)、そのために、どういった仕組みがよいのだろうか(1層)、こういった問を元に、この3層の整合性を取ることが人事制度の変革をするためには重要になります。

3. 生成的プロセスで変革を進化させる

実現したい姿が明らかになっても、現在の状態を一度にすべて変えることはできません。また、人事評価制度を刷新しても、すべてが急に変化してうまくいくわけでもありません。どのようなプロセスで定着を図るのか、運用の向上を図るのかを具体的にイメージすることが重要です。そして、実現したい状態を明らかにし、変化に対応しながら取り組んでいくことが大切になります。

具体的には、たとえば、一度制度を変更しても、最初のやり方に固執するのではなく、運用を通じてその質を高めていくことが大切になります。人事制度を静的に捉えるのではなく、生成的に捉えていくということです。仕組みの設計、運用のスタートがゴールではなく、現場での実践を通じてその質を高める取り組みを継続的に行っていくことが重要になります。正しい制度を設計し、計画通りに運用することをゴールとして進めるアプローチは、変化が激しく、多様で複雑なビジネス環境のなかでは困難であると言えます。導入後も実現したい状態に向けて、起きた変化を捉えながら、改良をし続ける生成的アプローチが大切になります。

これは、人事の役割が、現場をコントロールする、現場を正しく導くという役割から、現場の主体的な取り組みや、現場の一人ひとりの成長を支援するという役割へ転換してきているとも考えられます。こうした変化は、人事という組織や制度が「正しくあらねばならない」というフィックスト・マインドセットから、「実現したい状態に向けて、実践をしながらその機能性を高めていく、より良くしていく」というグロース・マインドセットへとシフトしていると捉えることもできます。

人事制度の生成的な変革プロセス

ヒューマンバリューでは、こうしたポイントを重視しながら、4つのフェーズで人事評価制度の再構築を支援しています

具体的な人事評価制度の変革のアプローチ

具体的に人事評価制度の変革を行う際に、どういった状態を実現したいのか、現状がどうなっているのかによって、取り組むアプローチも異なるでしょう。ここでは、代表的な取り組みのプロセス例を紹介します。

パターン1:組織カルチャーの変革からスタートしパフォーマンス・マネジメントを革新

変革のスタートを人事制度の変更から始めるのではなく、大切にしたいフィロソフィーの明確化やカルチャーの変革から始めるパターンです。
最初に実現したい状態の検討をからスタートして、そのための共有ビジョンを創り上げるプロセスやカルチャー変革の取り組みを始めていきます。そしてこうした変革を本当の意味で現場のビジネスプロセス、マネジメントに落とし込む際には、パフォーマンス・マネジメントの仕組みとのリンクが不可欠です。そこで、パフォーマンス・マネジメント(PM)の実態調査を行い、ボトルネック(課題)とレバレッジ(有効な打ち手)を明らかにして、制度変革を行い、現場のマネジメントの変革につなげていく取り組みです。

パターン2:新しい評価制度をきっかけにして、カルチャーを変革する

比較的大規模な会社では、現場のカルチャーやマネジメントスタイルの変革に取り組もうとすると、かなりの時間が費やされると考えられます。一方で、その変革の必要に迫られている組織のカルチャーが、その会社の人事評価制度によって形作られたものだとしたら、原因と考えられる評価制度から変革を始め、その運用をテコとして現場のマネジメントのあり方や組織カルチャーの変容に取り組むことも考えられます。

パターン3:短期的な施策を実行しながら長期的な変革に取り組む

いきなりすべてを変えようとするのではなく、徐々に変革を広げていこうとするパターンです。
例えばパフォーマンス・マネジメントの実態調査を行うと、短期的に直ぐに改善する必要性がある課題が明らかになってきます。一方で、本来実現したい状態に向けた取り組みは、実行し効果が現れるまでにはある程度の時間を要するといった場合もあるでしょう。そういった場合に、短期的解決を講じながら、長期的には実現したい状態に向けた解決策にも取り掛かっていく取り組みといえます。

必ずしもこの3つのパターンに分類されるわけではなく、実際には組み合わせを含めて、起きてくる変化を捉え、それを促進する生成的な取り組みが必要になります。