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OSTプラクティショナー養成コース

本コースでは、人々のコミットメントを解き放ち、主体的な話し合いで問題解決を促すOSTの背景にある哲学や理論、テクニックを体験しながら、ファシリテーションやプロセスデザインのコツを探求します。

OSTプラクティショナー養成コース概要

オープン・スペース・テクノロジー(Open Space Technology:以下、OST)は、ハリソン・オーエン氏があるオフサイトセッションを終えた時、「休憩時間や夜にいろいろ話せたのが良かった」という参加者の声を耳にした時のインスピレーションがきっかけとなり誕生しました。
彼は、半年もの時間をかけてセッションの準備をしたにもかかわらず、実はそのセッションの場よりも、自由で解放された場での会話や話し合いのほうが参加者にとって発見や価値があったということに気づき、これをすべての場に持ち込めないかという想いからOSTが開発されました。

OSTを「テーマ出しを自分たちでやる話し合い」と捉えている方がいますが、本当のOSTはそれだけの理解では十分ではありません。OSTのパワフルさが発揮され、組織や人々に変革が生まれるには、意味や認知のトランジションが必要です。
OSTの本質は、 "本来、自分は主体的な存在なのだ"ということを一人ひとりが自覚し、その自覚から"自分が選択して生きるのだ"という力を呼び覚ますことができることです。
OSTの中では、すべてが一人ひとりの個人の主体的な選択によって行われますので、自然に、今の状況に対してどう選択して生きるかの責任と情熱について自己に問いかけるようになるのです。

またOSTは、「時間とスペースの創造」と言い換えることができます。創造される時間とスペースは、まったくの個人に委ねられるため、そこにはトピックや時間の流れ、深さなど複数の異なる性質による時間やスペースが生成されます。それらは、個人のユニークなアイデンティティーを生み出し、同時にアイデンティティーを覚醒する空間となるのです。
そして、衝突が起き、混乱があり、カオスの状態であったとしても、それを許す「オープン」な場であるオープン・スペースは、自己組織化が起こる最低条件である「安全な場所」の提供でもあるのです。

OSTプラクティショナー養成コースは、OSTを試みたが、今ひとつ効果が出ないとお考えの方、OSTを今後展開していきたいと思う方を対象とした実践コースです。
本コースでは、OSTの本質を顕わすことのできるプロセスと場づくり、場のホールド、ファシリテーションの方法、ファシリテーターのあり方を体験的に理解し、自分らしいOSTをデザインし、応用できるようになります。また、現場で実践していただいた上で、リフレクションを行います。
また、サーティフィケイト(修了認定)された受講者に提供されるスライド等のデータをご自身で活用し、ファシリテーションできるようになります。
加えて、プラクティショナー同士のネットワークにご参加いただき、相互に継続的な交流を行っていくことができます。

プログラムイメージ

1日目

◆OSTの背景/理論の概要
 ・自己組織化
 ・OSTの構造
 ・OSTの適用と効果・事例

◆OSTの準備・プランニング
 ・デザインチームの活動
 ・デザインチームの共有ビジョン創出とシナリオプランニング
 ・関係者(参加者)のレディネスを高めるプロセスデザイン
 ・招待状&ポスターの作成
 ・オープニングセッションのデザイン
 ・テーマ別セッションのデザイン
 ・全体セッションのデザイン
 ・招待状&ポスターの作成

◆OSTの場づくり
 ・会場選定・レイアウト
 ・必要資材
 ・参加者のレディネスを高める当日のデザイン

2日目

◆OST当日の進め方
 ・オープニングセッションのあり方
 ・テーマ別セッションのあり方
 ・ファシリテーターのBe
 ・「場をオープンにする」ためのポイント
 ・オープニングセッションのインストラクション
 ・オープニングのリハーサル
 ・OSTの議事録の作成方法
 ・全体セッションのあり方
 ・OSTクロージングのポイント

◆OST後フォローのあり方
 ・コアチームのフォロー
 ・全体へのフォロー

◆OSTの応用事例の共有と探究
 ・OSTのフィロソフィーと原理を適応したさまざまな応用事例
 ・実践の場の検討と探究

◆クロージング

OSTプラクティショナー養成コース過去参加者の内訳

OSTプラクティショナー養成コースにこれまで参加くださった方たち(2008年〜2023年:84人)の内訳です。企業内プラクティショナーやコンサルタント、学校関係の方など、多様な方たちが学び合い、実践に向けた探究を行っています。

受講者の声

セッションの約1週間後に実施したフォローアンケートより一部引用(2023年)

1週間ほど経ったいま、共に取り組んだOSTプラクティショナー養成コースを思い返してみてください。一言で言うとしたら、それは自分自身にとってどんな体験だったと言えるでしょうか? そう感じたきっかけや要因には、どんなことがありましたでしょうか。

一言で言うと、OSTプラクティショナー養成コースは私にとって、「人や組織に対して大事にしていることは変わらないが、向き合い方を見直した時間」でした。
そう感じたきっかけや要因は、OSTが徹底して主体性を大事にしていること、主体性を開放するにはただツールや仕組みを提供するだけでなく、また実行も指示するのではなく、開放されるための仕掛けを随所に入れることで実現することを知ったためでした。

一言で言うと、OSTプラクティショナー養成コースは私にとって、「えっ、これでいいの?」と思うような体験でした。そう感じたきっかけや要因は、兼清さんが話し合いの終了時間でいらっしゃらなかったり、全体で話し合うとはいえサークルは別々であったりするなどから、「主体的とは?」「全体で決めるとは?」といった問いが自分の中で生まれてきたからです。

OSTプラクティショナー養成コースに参加する前と後では、何か変化はありましたでしょうか? それは自分自身の内側の変化かもしれません。また、誰かの言葉を聴いたときの自分の感じ方の違いかもしれません。もしかしたら、自分の想いや大事にしていることに違いが生まれたかもしれませんし、具体的な自分自身の言動や人々とのかかわり合いかもしれません。ささいな変化でも結構ですので、教えていただけますでしょうか。

「人はいつでも主体的である」の言葉が心に残っています。そのため、人をみるときにその言葉が意識にありながら観るようになってきています。また、具体的な行動として「子供にピアノの練習を促す」ようなことをしていたのですが、自分自身の中に子供をコントロールするような意識があることに気づきました。良い結果が生まれていないので、まずはそのような意識での言行はやめようと決めています。こうした変化があったように思います。

内側の変化が大きいのですが、組織やチームに関わるときに主体性を常に意識するようになりました。例えば普段提供しているコーチングのトレーニングで「結果的にこの部分は主体性を開放する入り口になっている」と分析し、より意識して活用することを考えたり、これまでは「〜してください」と指示の形で伝えていた内容を別の言い回しを試してみるなどの工夫をしてみました。「組織の中で人が主体性を持って働けるようにしたい」し、そのためにはコーチングを提供したり、クライアントに学習してもらうことが大事なのですが、間に丁寧に主体性を引き出すための関わりがあることを認識し、形だけではないあり方や工夫の余地を知り、人材開発・組織開発にまた幅ができたように思います

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