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OST(オープン・スペース・テクノロジー)

OSTは、組織の状況が複雑で、人々や考えが多様で、コンフリクト(葛藤)の可能性があるような状態のときに、短時間で問題の共有を行い、全員がコミットしたアクションプランを生み出すのに効果的です。人数の多寡を問わず、すべてのステークホルダーに参加してもらい、メンバーが提示したすべてのテーマについて話し合いが行われ、その議事録を全員が共有し、その中から取り組むべきテーマを選択し、アクションプランを創造します。

OST (オープン・スペース・テクノロジー)とは

OST (オープン・スペース・テクノロジー)は、参加者が情熱と責任をもって話し合いたいテーマがすべて取りあげられ、オープンな話し合いによってアクションプランが生み出されるという、ホールシステム・アプローチ(※)の代表的な技法です。1985年ハリソン・オーウェン(Harrison Owen)氏によって提唱されて以来、世界各国の企業、行政、教育、NPOなどで高い成果を上げています。

OSTは、こんな場面に効果的です

・みんなが主体性を失って、状況に流されている
・組織の中の信頼が薄らいでいる
・会社の目指す方向性や戦略が共有化されていない
・「自分たちらしさ」がわからなくなっていて、何を目指したらよいのかわからない
・経営層と社員の間に意識の乖離がある
・コミュニケーション不足で、聞きたいことがあっても聞きにくい雰囲気がある
・立場や部門の違いが、そのまま壁になっており、向こう側で起きたことが見えなくなっている
・自分から何かを提案したり、積極的に周りに働きかけることがしづらくなっている
・改善したいことはたくさんあるのに、関係者と協力し合うことができないでいる
・異なる背景や文化をもった人たちが、互いに理解し合えずにいる

OSTの起源

OSTは、1985年に行われたある会議の中で、皆が一番充実していたと感じた時間が、実はコーヒーブレイクだった、ということに始まりました。そこで、同氏はコーヒーブレークがもたらす協働性や興奮をシステムとしてワークショップに取り入れる手法を考えたのです。過去にアフリカのある部落から学んだ体験に照らし合わせながら、昔からコミュニティで行われていた会議などを参考にOSTの基本的概念が完成しました。

「オープン・スペース」とは何か

オープン・スペースは、「時間とスペースの創造」と言い換えることができます。創造される時間とスペースは、まったくの個人に委ねられるため、そこにはトピックや時間の流れ、深さなど複数の異なる性質による時間やスペースが生じます。それらは、個人のユニークなアイデンティティを生み出し、同時にアイデンティティを与える空間となるのです。衝突が起き、混乱があり、カオスの状態であったとしても、それを許す「オープン」な場であるオープン・スペースは、自己組織化が起こる最低条件である「安全な場所」を提供しているのです。

OSTのプロセス・原理

「オープン・スペース」の始まり~招待状から~

オープン・スペースは、5人から1000人まで参加者の幅をもつことができます。その際、参加を促すプロセスは、「招待状」という形式を用いることが多くあります。参加は、関心のある人は誰でも参加する権利があり、「自発的な自己選択」に委ねられています。そのため、招待状では必要最低限の文章で、的確に、ビジネスの課題を解決するために「達成したいと思っていること」を伝えることが必要になります。多くを語らないことが、出席する人々に課題に対して想像するスペースを与えるのです。

「オープン・スペース」の場の実施

オープン・スペースでは、一人ひとりが関心をもつすべての課題が取り上げられます。そのためには、「情熱」「責任」「ボランティアの精神」が必要になります。まず、「情熱」がなければ、誰も興味をもつことができません。また、興味がないことに誰も「責任」をもつことはありません。そして、それらの前提には、情熱と責任を最大限表現しようとする「ボランティアの精神」が必要となります。

では、オープン・スペースはどのように進んでいくのでしょうか。オープン・スペースの実施の中心には、その原動力となる「サークル」があります。サークルという形状には、古くから教育、民族性、経済形態、政治関係、文化、社会的地位など、多大な多様性をもつグループを1つにまとめる能力があります。それはサークルであるという状態が、中心を示し、お互いの顔を見合えることを可能にし、発言の順番を無くし、権威や力の関係を省くことができるからです。
サークルを作るという状態からわかるように、オープン・スペースの参加者たちは、誰も正解を持っていません。誰かが正解をもっているという瞬間に、「コントロール」の世界に入ってしまうからです。オープン・スペースではあらゆる「コントロール」を存在させません。すべてが自然発生的に、普遍的に「正しい」と思っている事実さえもが、ある人にとっての「正しさ」にすぎないということを体験として理解する場になるでしょう。

「オープン・スペース」の原理

オープン・スペースでは、コントロールがない空間を支える4つの原則が挙げられています。

1. ここにやってきた人は誰でも適任者である
2. 何が起ころうと、それしか起こることはない
3. それがいつ始まろうと、始まるときが適切なときである
4. それが終わったときは、本当に終わったのである

また参加者は、どの課題に参加することも自由であると同時に、自分が選択した課題に貢献できないと感じたときには、その課題が話し合われる場から自由に移動することができます。それは「チョウチョ」と「ハチ」で表され、「チョウチョ」のように休憩所に止まっていることで多くの人とコミュニケーションする機会をもち、関係性を円滑にしたり、「ハチ」のように次から次へと課題を飛び移ることで、より多くの情報を参加者に提供したりするなど、すべてはその人らしい貢献の仕方に委ねられています。
オープン・スペースは、真のコミュニティを作るパワーを持っています。それは、一人ひとりが自由な意思と責任をもち、異なる意見をもつ人々とそれぞれのもつストーリーを安全な場所で共有することでお互いを認め合い、許し合うことで、衝突や混乱、カオスから「平和」を生み出すことによって作り出されます。その「平和」とは一瞬のポーズではなく、継続的に続く「平和ではない状態」から新たなプラクティスによって達成され続けることによって、「平和」です。

OSTの展開プロセス

OSTの特徴まとめ

・大まかなテーマを提示するだけで、詳細なアジェンダは参加者が提示します
 (アジェンダの透明性が高い)
・参加人数や対象者を限定しません
・開催までの準備にあまり時間が掛かりません
・参加者を招待するために、強制感がありません
・1日で議事録とアクションプランを生み出すことができます
・AIやフューチャーサーチなど、他の組織変革手法と組み合わせて使用する
 ことができます
・参加人数が多くても、全員が輪になれるスペースさえあれば、ファシリテーター1人
 と数人のサポートで実施することができます
・参加メンバーの主体性を尊重する自己組織化のプロセスを取ります
 (「4つの原則」と「主体的移動の法則」)
・組織が安定している状態よりも、危機的な状態の際にOSTはより効果を発揮します

私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。