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インサイトレポート

そのときどきのトピックについて、ヒューマンバリューのメンバーがまとめた雑誌掲載記事などの考察をご覧いただけます。

2023.11.17 インサイトレポート

DEIB&Aの定義から見た、ダイバーシティ&インクルージョンの現在地

日本における組織の多様性に関する議論は、2000年代に入ってより活発になってきたといわれていますが、その背景には、海外での社会的な動きも踏まえ、このテーマに関する議論が高まってきたことも多分に影響していることは既知の通りかと思われます。しかし、私自身が思い返してみても、当初は「ダイバーシティ」とだけ呼ばれていた領域が、いつの間にか「ダイバーシティ&インクルージョン」となり、「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」に変化し、さらには「DEI&B」としてビロンギングが加わり、最近ではA(アクセシビリティ)まで続く記事や文献も見られるようになりました。これは、社会の変化とともに多様性に関する文脈が進化していることがうかがえる現象であるともいえます。

一方で、HR領域におけるオピニオンリーダーであるJosh Bersin氏が「ノイズに溢れている」と表現している通り、現在、多様性に関する非常にたくさんの書籍や研究、調査や提言、研修などが乱立している状態であることも否めません。

私たちは果たして、多様性に関するDEIB&A一つひとつの意味を理解した上で、議論や取り組みを進められているのでしょうか。ここで一度立ち止まり、それぞれの言葉が表している意味や違い、相互のつながりなどを改めて整理し、全体感を掴むことには、一定の価値があるのではないかと考え、本記事を執筆することにしました。

※本記事の便宜上、DEIB&AのDにあたるものを「ダイバーシティ」、DEIB&A全てを含むテーマや取り組みのことを「多様性」と呼ぶことにしています

2023.10.16 組織開発

組織開発を再考する<第3回>〜人間性を回復し、ソーシャル・キャピタルを育むワールド・カフェの可能性〜

株式会社ヒューマンバリュー
取締役主任研究員 川口 大輔

本連載では、組織開発のこれまでの価値を振り返りながら、現在私たちが直面している大きな変化の中で、あらためて組織開発のあり方を再考し、今後の進化の可能性を模索しています。

連載第3回では、「ワールド・カフェ」をテーマに取り上げます。対話型組織開発の手法の中で、ワールド・カフェほど広く一般的に使われているものは他にないと言えるでしょう。そこまで広がった手法をあえてこの時代に価値を再考することにどのような意味があるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。

しかし、著者自身、企業、社会、学校教育など様々な領域でワールド・カフェと向き合う中で、実は私たちはワールド・カフェの会話の原則に内在されている創発の可能性をまだ十分に生かしきれていないのではないかと感じることも多くあります。

本レポートでは、ワールド・カフェを通じた創発の物語を、一緒に取り組んだプラクティショナーと共に振り返りながら、その真髄がどこにあるのかを捉え直し、多くの分断が存在するこの時代において、ワールド・カフェがもたらす価値や実践の核となるものを探求してみたいと思います。

2023.07.14 GROW THE PIEの探究

『GROW THE PIE』著者アレックス・エドマンズ氏から日本の読者へビデオメッセージ

『GROW THE PIE』の著者アレックス・エドマンズ氏より、本書が書かれた背景とともに、本書で提唱されているパイコノミクスの価値や、日本での可能性について、日本読者に向けてメッセージをいただきました。

2023.07.11 GROW THE PIEの探究

GROW THE PIE <序章>

ヒューマンバリューでは、ロンドン大学ビジネススクールのアレックス・エドマンズ氏の著書『GROW THE PIE』の翻訳本を2023年7月に発刊します。本ページでは、同書の要点と書かれた背景が紹介されている、著者による序章を先行公開します。本書に関心をもっていただくきっかけとなれば幸いです。

2023.06.15 GROW THE PIEの探究

GROW THE PIEの探究

ヒューマンバリューでは、ロンドン大学ビジネススクールのアレックス・エドマンズ氏の著書『GROW THE PIE』の翻訳本を2023年7月に発刊します。本ページでは、同書が提唱する「パイコノミクス」の思想に基づき、パーパスと利益の二項対立を超えて、持続可能な経済や経営を実現するための変革の理論や実践のあり方を多面的に発信していきます。

2023.06.15 GROW THE PIEの探究

GROW THE PIE <訳者あとがき>

ヒューマンバリューでは、ロンドン大学ビジネススクールのアレックス・エドマンズ氏の著書『GROW THE PIE』の翻訳本を2023年7月に発刊します。本ページでは、訳者あとがきを先行公開し、同書の要点を訳者の視点から紹介するとともに、発刊への想いを共有しています。本書に関心をもっていただくきっかけとなれば幸いです。

2023.06.14 インサイトレポート

【Rethink -組織開発を再考する対話会 実施レポート】第2回:不確実性の時代にアプリシエイティブ・インクワイアリーが拓く可能性

【Rethink:組織開発を再考する対話会】の第2回目を、2023年6月6日(火)にオンラインで実施いたしました。第2回目のテーマは、「不確実性の時代にアプリシエイティブ・インクワイアリーが拓く可能性」でした。こちらでは、対話会当日の様子や参加者の皆さま同士の対話から生まれた気づきを実施レポートとしてご紹介できればと思います。

2023.04.26 組織開発

組織開発を再考する<第2回>〜不確実性の時代にアプリシエイティブ・インクワイアリーが拓く可能性〜

株式会社ヒューマンバリュー
取締役主任研究員 川口 大輔

本連載では、組織開発のこれまでの価値を振り返りながら、現在私たちが直面している大きな変化の中で、あらためて組織開発のあり方を再考し、今後の進化の可能性を模索しています。

第1回のレポートでは、「エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発」と題して、組織開発を特別なイベントではなく、「日常の経験」としてデザインしていく方向性について探求しました。

そして連載第2回となる本レポートでは、対話型の組織開発の代表的な手法である「アプリシエイティブ・インクワイアリー(Appreciative Inquiry)」に着目します。

人と組織の強みや価値を最大限に解放する同手法の「本質的な価値」がどこにあるのかを、過去の取り組みを振り返りながら見出すとともに、不確実性がますます高まる現在において、同手法が組織開発の未来の可能性をどのように広げていくのかを探求していきます。

特に第1回の論考も交えながら、アプリシエイティブ・インクワイアリーの原則である「4Dサイクル」が、日常の経験の中に埋め込まれることの意義について考えてみたいと思います。

2023.04.08 インサイトレポート

【Rethink -組織開発を再考する対話会 実施レポート】第1回:エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発

【Rethink 組織開発を再考する対話会】の第1回目を、2023年3月22日(水)にオンラインにて実施いたしました。第1回目のテーマは「エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発」でした。こちらでは、対話会当日の様子や参加者の皆さま同士の対話から生まれた気づきを実施レポートとして紹介できればと思います。

2023.02.06 組織開発

組織開発を再考する<第1回>〜エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発〜

株式会社ヒューマンバリュー
取締役主任研究員 川口 大輔

組織開発(Organization Development)の歴史は古く、1950年代後半くらいから発展してきたといわれていますが、日本において、しばらく影を潜めていた「組織開発」という言葉が再び企業内で認知されるようになったのは、2008年くらいと考えられます。それまで重視されてきた人材開発という個人の能力やスキル、リーダーシップを高めるアプローチに加えて、人と人との間の関係性にフォーカスを当て、チームや組織の力を高めることで、より良い価値を生み出していくことへの意識が大きく高まった時期でした。成果主義の導入やリーマンショックの影響によって、組織が疲弊していたことも背景にあったかもしれません。

2008年には、ATD(Association for Talent Development)の日本チャプターにおいて「組織開発委員会」が立ち上がり、2010年にはOD Networkの日本支部も発足しました。企業の中に「Organization Development」や「Organization Effectiveness」といった機能を持つ部署が生まれ始めたのもこの頃かと思います。私自身も、2011年にATDグローバルベーシックシリーズの書籍『組織開発の基本』(原題: Organization Development Basics)を翻訳する機会に恵まれました。

ヒューマンバリューにおいても、日本にそれまで入ってこなかった組織開発の方法論を数多く紹介させていただきました。AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)、OST(オープン・スペース・テクノロジー)、ワールド・カフェ、フューチャー・サーチなどの様々な手法を用いて、大規模なセッションや対話会を実施し、組織全体に影響を及ぼしていくラージスケール・チェンジや共創の場づくりが変革の1つのトレンドとなりました。

それから15年ほどが経過した近年、組織開発の意義はますます高まっているといえます。特に昨今は「人的資本経営」というキーワードをもとに、個人のリスキルやアップスキルが重視されていますが、その個人をパーパスやビジョンのもとに結びつけ、価値創造につなげていくのはチームや組織の力に他ならないからです。

ただし、私自身プラクティショナー(実践家)として、現場の最前線で組織変革の支援を行う中で、組織開発のあり方が十数年前と比べると、大きく変化してきていることを実感します。当たり前ですが、ビジネスの環境が変わり、働く人々の多様性も高まり、テクノロジーも進化し、組織の境界も曖昧になってきている中で、組織の価値を高めていくためのアプローチも変わっていく必要があります。

そこで本連載では、組織開発のこれまでの変遷を簡単に振り返りつつ、現在、企業内で起きている変化に目を向けながら、そのあり方を再考し、これから組織開発がどう進化していくのかの可能性を模索していきます。

第1回となる本稿では、「エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発」と題し、組織開発の原理・原則を働く人々の経験としてデザインし、組織開発を特別なイベントではなく、日常の習慣として実践できるようにしていくこと、そして特別なスキルや能力がなくても、誰もが自然と組織開発に取り組めるような環境をつくっていくアプローチを今後の方向性の1つとして考えていきたいと思います。

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