Performance-Based Instructional Systems Designカンファレンス

Performance-Based Instructional Systems Designについて

関連するキーワード

Performance-Based Instructional Systems Designとは、2002年9月26日~28日の期間、米国イリノイ州シカゴのPalmer House Hiltonにて、ISPI(International Society for Performance Improvement)の主催により開催された国際カンファレンスである。同カンファレンスには、全米各地から160名余りのインストラクショナル・デザイナーやパフォーマンス・コンサルタントたちが終結し、インストラクショナル・システム・デザイン(以下ISDとする)の現状や今後の方向性について、20余りのセッションの中で、深い議論や意見交換が行われた。

ISPIとは、職場における人材の生産性をPerformance Improvementと呼ばれる手法を用いて向上させることを目的とした国際的な非営利団体であり、10,000を超える会員を世界40カ国以上の国々に有している。ISPIは、毎年開催される大規模なカンファレンスのほかに、Performance ImprovementやHPT (Human Performance Technology)に関連したサブテーマで小規模なカンファレンスを開いている。今年は特にPerformance Improvementの中でも、「パフォーマンスを向上させるためのインストラクションのデザイン」にフォーカスが当てられ、Performance-Based ISDというタイトルのもとで、カンファレンスが開催されることとなった。

同テーマが取り上げられた背景としては、最近米国では、ISDが環境の変化に適応できておらず、役に立たないという批判が噴出していることが挙げられる。
ISPIにおいてHuman Performance Technologyのディレクターを務めるRoger Addisonは、開催の経緯について以下のように語った。

「ISDが批判を受ける中、現在インストラクショナル・デザイナーたちはそれぞれの企業において苦境、混乱に立たされている。そこで、他の企業のインストラクショナル・デザイナーたちが、そのような困難に立ち向かうにあたってどういった取り組みをしているのかをシェアするために、同テーマのカンファレンスを設けた。」

このコメントからも伺えるように、本カンファレンスにおいては、苦境に立たされたインストラクショナル・デザイナーたちが、もう1度ISDの意義を見直した上で、他者とベスト・プラクティスを共有することによって、インストラクショナル・デザイナーとしてのアイデンティティを取り戻すことを目的にしているようにも見受けられた。

このような背景のもとで開催された今回のカンファレンスに、弊社からも2名が参加し、現場で活躍しているインストラクショナル・デザイナーたちとの議論を通して、彼らが現在抱えている課題や、それに対してどのようなアクションを取っているのかを把握することができた。
最近では日本においてもISDが大きな注目を浴び始めているが、米国のカンファレンスで得られた情報を本レポートにてシェアすることによって、日本において、ISD導入を検討する際に押さえるべき指針を提示したいと思う。

私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。

関連するレポート

人材開発の潮流を踏まえ、人材開発部門の役割を革新する〜未来に価値を生み出すラーニング・カルチャーの醸成に向けて〜

2022.03.17インサイトレポート

「企業と人材」(産労総合研究所)2021年12月号(No. 1106)掲載 株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 川口 大輔

<HCIバーチャル・カンファレンス2021:Create a Culture of Feedback and Performance参加報告> 〜「フィードバック」を軸としたパフォーマンス向上の取り組み〜

2021.10.01インサイトレポート

2021年 6月 30日に、HCIバーチャル・カンファレンス「Create a Culture of Feedback and Performance(フィードバックとパフォーマンスのカルチャーを築く)」が開催されました。

コラム:『会話からはじまるキャリア開発』あとがき

2021.08.27インサイトレポート

ヒューマンバリューでは、2020年8月に『会話からはじまるキャリア開発』を発刊しました。本コラムは、訳者として制作に関わった私(佐野)が、発刊後の様々な方との対話や探求、そして読書会の実施を通して気づいたこと、感じたことなどを言語化し、本書の「あとがき」として、共有してみたいと思います。

「今私たちが実現したい成長やキャリアのあり方とは?」 −未来共創オープンラボから見えてきたもの−

2021.02.06インサイトレポート

2020年12月に開催した、企業の垣根を超えて人と組織の未来について探求する「未来共創オープンラボ・ウィーク2020」で行ったセッションのひとつ、「今私たちが実現したい成長やキャリアのあり方とは?」で探求してきた内容を、より多くの方と共有し、今後さらに探求を深めるきっかけとしていきたいという思いから、インサイト・レポートを作成しました。

コラム:万華鏡としてのキャリア観 〜ビバリー・ケイ氏著書日本語版発刊に寄せて〜

2020.09.04インサイトレポート

2020/08/29にヒューマンバリュー出版部より、ビバリー・ケイ(Beverly Kaye)氏らによる著書の日本語版として、『会話からはじまるキャリア開発 ― 成長を支援するか、辞めていくのを傍観するか』(原題:Help them grow, or watch them go、訳:佐野シヴァリエ有香)が発刊されました。 私自身にとっても思い入れのある本であり、多くの人にお読みいただくことで、キ

パフォーマンス・マネジメント革新における5つの”Rethink(再考)”  〜ニューロリーダーシップ・サミットにおける脳科学×マネジメントの議論から考える〜

2019.06.12インサイトレポート

脳科学者、グローバル企業のHR、コンサルタントが集い、脳科学の知見からマネジメントのあり方を探求する「ニューロリーダーシップ・サミット」の中で行われている議論をもとに、今、パフォーマンス・マネジメントの領域でどんな変革が起きようとしているのかの潮流を俯瞰してみたいと思います。

Web労政時報 第2回:すべての従業員のタレントを大切にし、持続的に成長できる組織を創る~スウェド銀行から学ぶこと~(全12回)

2015.07.24インサイトレポート

研修効果測定手法の進化と実施の課題

2012.10.16インサイトレポート

私がお手伝いしている組織においても、短期的な研修に限らず、長期的なリーダーシップ育成や組織開発のプロセスなどで、効果測定はごく当然のように行われている。しかし、効果測定を効果的に行うには、まだまだ工夫の余地が残されており、これからさらに進化していくものと思われる。

「ASTD2010」で見受けられたラーニングのパラダイム・シフト

2010.03.10インサイトレポート

ASTD2010 International Conference & EXPOが、2010年5月16日~19日に米国イリノイ州シカゴにて開催された。今年も8500名の参加者がシカゴに集い、4日間合計262本のセッションを通して多くの探求が行われた。

ASTD2009 国際会議に参加して

2009.09.15インサイトレポート

本年も5月31日~6月3日に米国のワシントンD.C.で、 ASTD2009 International Conference & EXPO が開催された。

もっと見る