エンプロイー・エクスペリエンスを高める
近年、企業の人事をHRから「エンプロイー・エクスペリエンス」と呼ぶ傾向が高まっています。ヒューマンバリューは、社員一人ひとりを中心に置いた「エンプロイー・センタード」に基づいた人事の革新を多面的にサポートしています。
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HRからエンプロイー・エクスペリエンスへ
近年、HRが注目するキーワードに「エンプロイー・エクスペリエンス」があります。企業によっては、人事部やHRという部署の名称を「エンプロイー・エクスペリエンス」に変えるところも現れ始めています。
その背景には、HRのあり方を根本的に見直していきたいという企業の想いがあります。これまでのHRは、企業を中心に置いた「カンパニー・センタード」の色彩が強くなっており、会社の視点や都合で施策を展開していたところが多かったのではないでしょうか。働く人々の多様性が増し、一人ひとりの主体性・創造性を高めていくことがより重要視される今、従来的なHR目線のアプローチを脱却し、従業員一人ひとりを中心に置いた「エンプロイー・センタード」の視点をもつことが大切になってきています。
エンプロイー・エクスペリエンスとは、そうした従業員の視点から、物理的な働く環境、生産性を高めるためのツールやテクノロジー、そして最高の仕事を成し遂げるための学習が組み込まれた従業員の仕事のあり方を再構築し、そこから得られる経験価値を最大限に高めていくものといえます。
これまでの人事のあり方、マインドセットを大きく転換するという意味で、エンプロイー・エクスペリエンスに取り組むということは、人事部自身の自己変革の旅路を意味するともいえます。
エンプロイー・エクスペリエンス
エンプロイー・エクスペリエンス(Employee Experience)とは、働く一人ひとりが、企業や組織の中で体験する経験価値の総称です。 この言葉を広く解釈して、企業内で行われる様々な施策、職場環境、日々のビジネスプロセス等において、働く一人ひとりが得られる経験価値をいかに高めていくかということを軸に施策を検討・実践していく企業が増えてきています。さらに、従来の人事部(Human Resource Department)の名称をエンプロイー・エクスペリエンスに変更する企業も出てくるなど、近年大きな注目を集めています。
エンプロイー・エクスペリエンスの向上に取り組む
従業員は採用から退職するまでのプロセスを通じて、様々な経験をしていきます。職場へのオンボーディング、プロジェクトへのアサインメント、日々の仕事の実践や価値創造、日常のコミュニケーションやネットワーキング、学習と成長、人事評価、異動、昇進・昇格など多岐に渡ります。
エンプロイー・エクスペリエンスに取り組むとは、こうした一つひとつの機会が、企業の視点ではなく、従業員の視点で見たとき、本質的な経験価値につながるような場として築かれているのか、そのためのサポートを行えているのかを見直していくことに他なりません。
たとえば、
「新しく入社したメンバーが入社初日から会社をホームのように感じ、自らネットワークを広げていけるようなオンボーディングをどのようにして築いていけばよいのだろうか?」
「会社が知識を押し付けるのではなく、従業員の学習性が高まり、相互に学び合っていくような学習機会はどのように生み出されるのだろうか?」
「人事評価のタイミングが憂鬱な時間ではなく、ワクワクするような場になるためには何が必要なのだろうか?」
「従業員が目の前の仕事だけではなく、将来のキャリアについて、皆でオープンに語れるような場をどう生み出せるだろうか?」…etc
といった問いを自らに投げかけながら、エンプロイー・エクスペリエンス・ジャーニーをデザインしていくことが必要です。
しかし、それは決して単に素晴らしい環境を用意して従業員の満足度を高めたり、今までにない良い経験を積ませればよいというものではありません。正解が見えないビジネス環境の中で、世界観が広がったり、より高次な視野の獲得につながるといった経験が大切になります。そして、そうした経験を自らの実現したい未来に向けて意味づける、自らの成長につなげていく、そうしたプロセスを促進するようなエクスペリエンスが重要になるのです。
たとえば、現在企業で行われている取り組みを見ても、表面的にはエンプロイー・エクスペリエンス的な施策やプログラムを展開しているようであっても、実情はHRがすべてラーニング・プロセスをデザインし、決められたレールを歩かせるような形で参加者を学ばせ、会社側が連れていきたい目的地に連れていくような、カンパニー・センタードになってしまっている場面を見ることも少なくありません。
すべてが型にはめられ、計算可能で予定調和な経験をもたらすのではなく、想定していなかった出来事や驚き、人との出遭い、世界観の広がり、内省や成長、進歩、感情の動きが伴うような、豊かな旅路としてのエクスペリエンスが重要です。ヒューマンバリューでは、そうしたエクスペリエンスを働く一人ひとりが自ら生み出せるような環境づくりについてクライアントの皆さまと協働で実践しています。
<主な取り組みやプロジェクトの例>
・オンボーディング・プログラムの開発
・キャリア観の転換
・エンプロイー・エクスペリエンスに基づいた人材開発体系の再構築
・ピープル・センタードに基づく人事評価制度の構築
・エンゲージメント・サーベイ(及びパルス・サーベイ)の実施
・社員のグロース・マインドセットの醸成
・…etc