インクルージョン&ダイバーシティ

近年、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」に取り組み、多様な人々が働きやすくなるような制度や仕組みの整備を進める企業が増えています。ヒューマンバリューでは、制度や仕組みの整備や活用だけにとどまらず、一人ひとりがさらに自分らしく、最大限に力を発揮し合えるような組織風土を育んでいくことを支援しています。

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高まる「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の重要性

「ダイバーシティ」の重要性がかつてないほど高まっています。同質な組織から新たな価値を生み出すことは難しく、イノベーションには、多様な視点が生み出す創造的な摩擦が不可欠です。性別、人種、年齢といった属性的な違いのみならず、経験や価値観、指向性や強み・弱みといった一人ひとりの素晴らしさを、多様な価値として生かす組織づくりが大切になってきています。

しかし、そうした多様な個性もばらばらに存在していたり、異なる価値観を暗黙的に排斥してしまうような風土があると、結果として多様な人材をうまく生かすことはできません。そうした背景から、近年はダイバーシティと併せて「インクルージョン」の重要性が叫ばれています。

「インクルージョン」は、含有、包含、(社会的)一体性といった意味があり、異なる社会文化的背景、個人的特質などを互いにありのまま受け入れ、誰もが対等な関係で関わり合い、能力を発揮できる組織や社会、文化づくりを目指すものです。

ヒューマンバリューでは、ダイバーシティ&インクルージョンが実現できている姿を、「すべての人々が多様な個性をもって、自分らしく社会と組織に参加し、最大限に力を活かすことができていると感じられる組織の状態」と定義し、研究と企業における実践を行っています。

多様な働き方の実現に向けたポイント

ダイバーシティ&インクルージョンを実現するアプローチには様々なものがあります。

たとえば、その1つとして、現在は、結婚、育児、介護など、キャリアや人生の大きな変化(トランジション)に直面し、従来とは異なる働き方を実践しようとする人が増えていますが、そうした中で、企業が多様な働き方の実現にどう向き合うかが大きな課題となっています。

こうした課題に対して、単に新しい制度を仕組みや機能として導入するだけではうまくいきません。大切なのは、個人と組織が多様な働き方を育み、進化させていくことにあります。ヒューマンバリューでは、先進的な取り組みを行う企業や、育児休暇後に職場復帰した人を対象にしたヒアリング、またクライアント企業における実践から、多様な働き方を育んでいくために、個人と組織が取り組んでいきたいこととして、下記の5つのようなポイントがレバレッジになることを明らかにしてきました。

自らを見つめ、周囲と支え合う場としての「サードプレイス」をもつ

トランジションに直面した当事者は、職場でも家庭でもない空間(=サードプレイス)を確保し、自分の価値や強みを探求する時間をもつことが大切です。ワークやライフの大きな変化の中で見失いがちな、自身の目的意識や働く原動力をあらためて見つめ直し、探求します。

小さな一歩を踏み出してみる。そして好循環を生み出す

トランジションに直面した当事者は、気がつかないうちに、思考停止して動けなくなることも多いようです。実現したい状態を描き、そこに向けた小さな⼀歩を描いて踏み出してみることで、環境の大きな変化に流されそうになる感覚を抜け、自分や周囲にポジティブな変化を及ぼせることを実感します。それをきっかけに、生活全体を整える好循環が回り始めます。

「ワーク」と「ライフ」を融合して捉える

自身の働き方を考える際には、その対象を「ワーク」だけ、「ライフ」だけに限定せず、生活全般を統合して捉えて探求します。すると、まずは「ライフ」に関する小さな一歩が生み出される傾向があるようですが、新たなアクションと共にライフ面の充足感が高まるにつれ、「ワーク」にもポジティブな影響や変化が生じてきます。

企業の戦略やニーズ等に合わせた制度を施行する

他社がやっていることをそのまま取り入れるのではなく、自社の戦略やニーズに合った制度・取り組みを実現していくことが重要です。その際、取り組みを効果的にするポイントとして、「制度の対象者を、たとえば女性や育児中の社員だけに限定するような、特別感が出てしまうことは避ける」ことや、「当事者個々人の事情に合わせた柔軟な対応を行えるようにする」といったことがあるようです。

職場の「お互い様文化」を醸成する

多様な働き方が進む中では、職場の関係性が良好であることは非常に大切なポイントです。当事者は、周囲に対する率直な態度や信頼関係を大切にしながら過ごし、組織も、お互いにサポートし合えるような関係性を皆で育んでいくことが、一人ひとりが力を発揮し合える多様な働き方の実現につながります。

ダイバーシティ&インクルージョンの実践をサポート

ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みには正解があるわけではありません。また、テーマも、女性活躍推進、多様な働き方の実現、働き方変革の実現、社員意識調査の実施、インクルージョンの風土形成など多岐に渡ります。

ヒューマンバリューでは、各企業がダイバーシティ&インクルージョンを実践するにあたって、何がレバレッジや阻害点になるのかを、組織的・文化的な観点から明らかにし、一時的なイベントや掛け声で終わらない、持続的な取り組みを支援しています。

<主な取り組みやプロジェクトの例>

・『オープンアップ・ザ・ドア~多様な働き方を実現する~』の展開
・ダイバーシティ&インクルージョンに関する講演
・Ocapiを使ったダイバーシティ&インクルージョン支援
・Women’s Leadership Initiativeの支援
・働きがい創造ミーティングの実施
・会社員1000人の働く意味調査
・組織の関係性向上に向けた対話の場づくりやワークショップ
・…etc

関連する取り組み

エンゲージメント向上支援

多様な働き方の実現

少子高齢化に伴う労働力の減少、雇用形態の多様化等を背景に、さまざまな価値観をもっていたり、多様な状況にある人々が、お互いの価値観を受け入れ、活かし合いながら、互いに力を発揮できる組織づくりが必要とされています。そうした組織を実現するために、近年、さまざまな制度やインフラの整備なども進んできています。

しかし、制度やインフラの整備だけでは、人々は有効にそれらを活用することができず、互いの力を活かしきることができないという現状に直面することもあるのではないでしょうか。

ヒューマンバリューでは、「多様な働き方の実現:多様な人々が自分らしさを発揮し合うことで、持続的に成長できる組織」を実現するために、状況が変化する中で、働く一人ひとりが意識を柔軟に変化させる力や、新しい関係性を構築する力を育むことが大切だと考えています。

エンゲージメント向上支援

チームの状態を可視化しアクションを生み出すWEBアプリ:Ocapi

ヒューマンバリューでは、組織変革プロセス指標「Ocapi」を用いてチームの状態を可視化し、対話によって、チームの活性化や、自律的な組織変革のサポートを行っています。

エンゲージメント向上支援

エンゲージメント・サーベイの活用

ヒューマンバリューでは、1990年代後半から徐々に企業の中で取り上げられ始めた「エンゲージメント」という概念について、研究と実践を積み重ね、2003年にエンゲージメント・サーベイを活用した組織変革の取り組みを始めました。

そして、2020年には、個人と組織がより対等な関係を築くようになった時代の潮流を踏まえ、「個人と組織がありたい関係性を共に育むこと」を目的とした対話ツールとして、エンゲージメント・サーベイをアップデートしました。

具体的には、「個人が主体となって多様な働き方や生き方を実現すること」「変化の激しい時代の中で、組織が変化し続ける力を育むこと」に重きを置いて、指標、レポート、活用プロセスをデザインしています。

サーベイの改訂にあたっては、これまで蓄積してきたエンゲージメントに関わる過去のデータやリサーチから見えてきた仮説をもとに、ビジネスパーソン1万人を対象としたアンケート調査を新たに行い、モデルを検証しました。

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