多様な働き方の実現

少子高齢化に伴う労働力の減少、雇用形態の多様化等を背景に、さまざまな価値観をもっていたり、多様な状況にある人々が、お互いの価値観を受け入れ、活かし合いながら、互いに力を発揮できる組織づくりが必要とされています。そうした組織を実現するために、近年、さまざまな制度やインフラの整備なども進んできています。

しかし、制度やインフラの整備だけでは、人々は有効にそれらを活用することができず、互いの力を活かしきることができないという現状に直面することもあるのではないでしょうか。

ヒューマンバリューでは、「多様な働き方の実現:多様な人々が自分らしさを発揮し合うことで、持続的に成長できる組織」を実現するために、状況が変化する中で、働く一人ひとりが意識を柔軟に変化させる力や、新しい関係性を構築する力を育むことが大切だと考えています。

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多様な働き方の実現に向けたポイント:メンタルモデルを柔軟に変化させる

現在では、結婚、育児などキャリアや人生の大きな変化に直面し、従来とは異なる働き方を実践しようとする人が増えています。そうした多様化する働き方に対応するために、法律を整備したり、組織の制度や仕組みを変えていこうとする取り組みがあります。ただし、法律や組織の制度、仕組みを整備するだけでは、多様な働き方を実現することは難しいといえます。

そこで大切になるのは、現場で関わる人たちが、制度や仕組みをどのように活用し、働き方に生かしていくのかについて、メンタルモデルを柔軟に変化させていくことです。

働き方の変化に直面した当事者は…
大きく変わった自身を取り巻く環境の中で、たとえば家庭でも職場でも追われるような感覚で日々を過ごすのではなく、新たな環境や状況を主体的に受け止めて、自分自身で納得できる働き方や暮らし方を生み出していくことが大切です。

上司も含めた一緒に働く仲間たちは…
お互いに対してステレオタイプな思い込みで接したり、お互いを理解できない存在と捉えたりするのではなく、職場での日々のコミュニケーションを大切にしたり、お互いの理解を深めることにより、「お互い様文化」などを醸成していくことも大切です。

こうした、「当事者が主体性を高めて状況に適応する力を養っていくこと」と、「それを受け入れていく組織の土壌を耕していくこと」に統合的に取り組むことが、1人ひとりがいきいきと働き、相互理解を図り、多様な働き方を実現できるチームや組織をつくり出すことにつながります。

ヒューマンバリューでは、「オープンアップ・ザ・ドア」のトライアルコース(※1)や企業ヒアリング(※2)を通じて、多様な働き方を実現するためのポイントを明らかにしてきました(※3)。こうしたポイントを元に、個人向けコース『オープンアップ・ザ・ドア〜新たなステージで自分らしく生きるために〜』や、企業内ワークショップ『職場の仲間で話し合うミニ・フォーラム〜多様な働き方の実現に向けて組織の文化を育む〜』を実施しています(※4)。

関連する取り組み

エンゲージメント向上支援

チームの状態を可視化しアクションを生み出すWEBアプリ:Ocapi

ヒューマンバリューでは、組織変革プロセス指標「Ocapi」を用いてチームの状態を可視化し、対話によって、チームの活性化や、自律的な組織変革のサポートを行っています。

エンゲージメント向上支援

インクルージョン&ダイバーシティ

近年、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」に取り組み、多様な人々が働きやすくなるような制度や仕組みの整備を進める企業が増えています。ヒューマンバリューでは、制度や仕組みの整備や活用だけにとどまらず、一人ひとりがさらに自分らしく、最大限に力を発揮し合えるような組織風土を育んでいくことを支援しています。

エンゲージメント向上支援

エンゲージメント・サーベイの活用

ヒューマンバリューでは、1990年代後半から徐々に企業の中で取り上げられ始めた「エンゲージメント」という概念について、研究と実践を積み重ね、2003年にエンゲージメント・サーベイを活用した組織変革の取り組みを始めました。

そして、2020年には、個人と組織がより対等な関係を築くようになった時代の潮流を踏まえ、「個人と組織がありたい関係性を共に育むこと」を目的とした対話ツールとして、エンゲージメント・サーベイをアップデートしました。

具体的には、「個人が主体となって多様な働き方や生き方を実現すること」「変化の激しい時代の中で、組織が変化し続ける力を育むこと」に重きを置いて、指標、レポート、活用プロセスをデザインしています。

サーベイの改訂にあたっては、これまで蓄積してきたエンゲージメントに関わる過去のデータやリサーチから見えてきた仮説をもとに、ビジネスパーソン1万人を対象としたアンケート調査を新たに行い、モデルを検証しました。

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