マネジャー自身の「無意識な当たり前」に気づく、越境と対話の場〜2025年 異業種同士のミドルマネジャー対話会 インサイトレポート〜

昨今のミドルマネジメントは、短期的な業績向上と中長期的なメンバー育成といった二項対立の要請を抱えながら、自身もプレイングマネジャーとして業務に追われる中、疲弊感が高まっていることが少なくないのではないでしょうか。
こうした状況に対して、例えばマネジメント研修等を通じて外側から「正解」や「新しいスキル・ノウハウ」を導入するだけでは、このジレンマを解消することは難しいでしょう。今求められているのは、マネジャー自身が多様な要請に対する「視座」を転換し、自ら気づきを得てマネジメントを進化させていくことです。
本レポートは、ミドルマネジャーが自らのマネジメントを見つめ直す機会として、「越境と対話」の小さな経験を重ねていくことの価値を紐解くインサイトレポートです。
明確な「正解」が見出しにくいこれからの時代だからこそ、対話の場が、今後のマネジメントのあり方を考えるきっかけとなり、あなたの組織のマネジャー支援と変革に向けた手がかりとなれば幸いです。
第1章:ミドルマネジャー対話会の設計思想:企業の枠組みを越えて探求する場のデザイン
第2章:マネジャーの越境と対話がもたらす「3つの価値(インサイト)」
第3章:共に未来を拓く、これからのマネジメントのあり方
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第1章:ミドルマネジャー対話会の設計思想:企業の枠組みを越えて探求する場のデザイン
なぜ今、マネジャー同士の「越境した対話」が必要なのか
現代の多くの組織では、ミドル層の負担過重が企業の大きな課題となっているにもかかわらず、有効な打ち手は見出しづらい状況です。
なぜなら、マネジャーが直面する『正解のない悩み』は、既存の知識やマネジメントスキルを当てはめれば解決するものではないからです。それは、それぞれのマネジャーが置かれている固有の環境や複雑な関係性の中で、自らの視点やあり方をアップデートしながら「適応」していく性質の問題だと言えます。
そうした中で必要になるのは、マネジメントのあり方を探求する機会を作り出したり、他者との相互作用を取り入れることです。しかし、社内には「評価」や「利害関係」が存在するため、普段の「モード」では本音で悩みを話したり、落ち着いて探求する機会を作り出すことは難しいのではないでしょうか。
こうした手詰まりの状況下で、自社のリソースだけで孤独と高負荷を取り除くのは簡単ではありません。マネジャーをジレンマから解放し、活力を取り戻すためには、自社の枠組みを越え、社外の仲間と共に学び合う場、互いの経験から内省を深め合う『Co-Reflective』な対話の場が重要になります。そうした意識から、複数の企業が集まり、「ミドルマネジャーたちの対話会」を開催することになりました。
具体的には、ヒューマンバリューが主催する研究会の中で問題意識をもった参加企業の事務局が集まり、検討を重ねたり試験的な対話を重ねていきながら対話会の準備を進めていきました。その中から、生まれてきたのが以下にある3つの設計思想です。
- 心理的安全性のある場づくり
- ライトで継続的なプロセス
- 同一企業内から複数人が参加することによる深化
ここからは、これらの設計思想に基づいた対話会の場をご紹介します。
1. 評価されず利害関係を気にしない「心理的安全性」の担保
マネジャー同士が共に内省し、お互いの経験から学びを深め合う対話を実現するためには、対話会の中で、恐れや不安がなく、存在が脅かされない状態が必要です。また、早い段階で「同じ悩みや課題を抱える仲間である」と認識するような体験が大切だと考えました。
具体的には、現場のマネジャー同士がさらに一歩を踏み出せるよう、いくつかの仕掛けを用意しました。事前ワークの中で参加するマネジャーが抱える「困りごと」や「悩みごと」、「他のマネジャーと話してみたいこと」を記入していただき、当日の会の中で全体に共有していきました。そうすることで、業種や会社が違ってもマネジメントに関する悩みは近しいと感じられる意識を醸成していきました。また、ある人が感じている課題が、他の人の視点で課題と捉えられていないケースも散見され、状況に対する捉え方の多様性に触れるきっかけにもなったのです。
こうした体験をすることで、こうした体験をすることで、自ら悩みや困りごとをダウンロードして共有することの価値を実感するとともに、初対面のマネジャー同士でも安心して、本当に話したいことを話し、聞きたいことが聞ける場づくりを意図していました。結果的に、異なる企業のマネジャー同士でも同じテーマについて探求しあったり、率直に質問するような場が生まれていました。
また、この後にある「ライトで継続的なプロセス」で詳細を述べますが、同じマネジャーが継続的に参加することで、会を重ねるごとに「心理的安全性」がますます高まっていき、一つのコミュニティのような場を育むことができています。
2. 忙しいマネジャーのための「ライトで継続的なプロセス」の設計
冒頭でお伝えした通り、ミドルマネジメントは日々を忙しく過ごしています。そうした中で、自己を探求する時間を設けるのは難しさがあります。そこで、ミドルマネジャー対話会は、8ヶ月という期間の中で、オンライン形式を中心にして、1回3時間で全4回にわたり開催しました。
これは、忙しいマネジャーが負荷をできるだけ感じずに、継続的な参加ができるように1回あたりの参加時間や回数に対して、無理がないように考慮して設計しています。
他社のマネジャーと対話することができる貴重な機会であるからこそ、時間が短すぎて気づきが得られなかったり、次に活かすことができないという事態を防ぐため、事務局と相談を重ねながら今回は、3時間という時間を設定しました。
対話するテーマは、参加者の状況や関係性の深まりに合わせて柔軟に設定しています。
第1回:マネジメントスタイルの探求
第2回:メンバーの成長、キャリア開発の支援
第3回:目標設定・評価
第4回:マネジメントコアの探求
具体的には上記のようなテーマとなりましたが、結果として、マネジャーの深い内省を促すステップになったと考えています。
各テーマで得られた気づきと探求のプロセス
第1回では、自身のマネジメントスタイルという自己開示しやすいテーマから入ることで、気軽に交流できる「心理的安全性」の土台を築きました。現場の多くのマネジャーは、自分自身の考える理想的なマネジメントスタイルをとっているというよりも、置かれている環境の中で自分なりのマネジメントを実践している方が少なくないことが見えてきました。
そうした中で自身のスタイルを振り返ることは、理想と現実の間にある自分自身を捉え直し、客観的に振り返る機会となりました。正解のマネジメントスタイルを追求するのではなく、他者との相互探求の中で「自分なりのあり方」を見つめ直したことが、その後の継続的で深い対話へとつながるきっかけとなったのです。
続く第2回では、「メンバーの成長、キャリア支援」という共通の悩みを扱うことで、マネジャー同士の強い共感と連帯感、気づきや学びが生まれる期待感や貢献感を生み出しました。
こうして「何を言っても受け止めてもらえる」「共にマネジメントを探求する仲間である」という信頼関係が育まれていたからこそ、第3回では、組織と個人の板挟みになりやすく葛藤を抱える「目標設定・評価」という生々しいテーマに踏み込むことができました。そして最終回では、そうした日々の葛藤を乗り越えた先にある「自分は本来どうありたいのか」という核心となる『マネジメントコアの探求』へと、対話が深まっていくプロセスを描くことができました。
対話会とその後の振り返り
また、自分が気になっている問題や課題を深く考えられるように、探求・実践・振り返りのサイクルを構築できるような「ライトな継続性」を意図しています。具体的には、事前ワーク、当日の対話、日々の実践、オンラインホワイトボードツールのmiroを活用したリフレクションといった具体的な枠組みやワークを用意しました。
対話会の最後には、3時間の対話を終えて自分自身がつかんだ「自分なりのキーワード」を、背景と共に言語化しています。さらに、次回の対話会までの期間の中で、実践を振り返る構造にしています。
こうしたプロセスの中で、自分自身で言語化して振り返ることも大切ですが、「他者の振り返りに触れる」ことによって、改めて自分自身の振り返りを深めることにつながります。また、自分自身の実践に対して、短くてもお互いに共感や支援のコメントをフィードバックし合うことが、対話会の価値を高めることにつながりました。
このように、対話会における『対話』は当日の3時間にとどまりません。キーワードの言語化や振り返り、参加者同士の相互コメントといった小さな実践の積み重ねそのものが、継続的で豊かな対話的プロセスを形成している点も、重要なポイントです。

図1:miroによる振り返りワークシート
加えて、参加者同士はお互いにこれらの情報が共有されていて、いつでも好きな時にみられるようになっているため、忙しさに配慮すると共に、他のマネジャーが書いた振り返りからも気づきが得られるような体験を設計しました。このように、マネジャーが忙しくても無理なく参加でき、対話会や日常の中で気づきを得やすいプロセスを設計しています。
さらに、個人の気づきや学びを組織の集合的マネジメントの進化につなげるための重要な仕掛けについて次にご紹介します。
3. 一人の気づきを組織の変化につなげる「同一企業からの複数人参加」
ミドルマネジャー対話会では、他社のマネジャーから得た気づきを風化させないことや、マネジャー個人の変化や成長に寄与するだけではなく、組織としてのマネジメントの進化へつながるように、1企業から複数人の参加を推奨しました。実際に、各企業からは数名から十数名のマネジャーが参加しました。
1名で参加しただけでは、他社のマネジャーからどれほど良い刺激を受けても、自社に戻った瞬間に日常の業務モードにかき消されてしまったり、自社のマネジメントを客観的に捉え直すことまでは難しいのが現実です。しかし、同じ組織から複数人で参加することで、他社のあり方を「共通の物差し」にしながら、自社のマネジメントの当たり前を共に問い直し、客観的に捉え直すことができるようになります。個人の中での気づきに留めず、組織の共通言語にしていくために、この「複数人の越境」が必要だと考えました。
そのため、対話会の中では、他社のマネジャーと対話する時間だけではなく、ある程度の交流が進んだ段階で、同じ企業のマネジャー同士での対話の場も設けました。そうすることで、他社の考え方や実践を鏡にしながら自社のマネジメントを振り返り、今後に進化していけると良さそうなポイントを探求する場を意図的に組み入れました。
また、対話会の場以外でも、企業によっては参加者同士で振り返りを行い、社内で改めてマネジメントの気づきや学びを共有した参加企業もあります。加えて、社内でのマネジャー同士の対話の活性化にもつながったという声も出ていました。
ここまで、ミドルマネジメント同士が越境した対話を必要とする背景や、3つの設計思想に基づいて対話の場とプロセスをつくってきたことをレポートしてきました。第2章では、そうした対話の場とプロセスが、どのような変化と価値を生んだのかを紹介していきます。
第2章:マネジャーの越境と対話がもたらす「3つの価値(インサイト)」
第2章では、心理的に安全な対話会の中で、マネジャーたちが何を語り合い、どのような気づきを得たのか、どのような価値があったのかをお伝えします。まずは参加したマネジャーたちがどのようなことを考え、どのような状況に置かれているのかを共有します。
対話会のプレワークの回答から、参加したマネジャーたちは組織のリーダーとして目指す方向を示しながら、組織づくりやメンバーを支援している様子が伺えました。その一方で、メンバーの多様化によるマネジメントの難易度の高さも浮き彫りになってきました。
例えば、「モチベーションの高いメンバーとそうでないメンバーで関わり方を変えるべきか」「どのように動機づけしていくか」「目標の難易度をどう設定するか」など、マネジャーは日々、正解のない多様な意思決定に迫られています。
そこでは、置かれている状況の中での最適解を見つけるのではなく、他社のマネジャーとの対話を通じて、自らの視点を見つめ直すことが大切になります。対話会では、同じテーマや課題に向き合う仲間として、約8ヶ月の対話のプロセスを共にすることで見えてきた、マネジャーたちのマネジメント観の変容は、大きく以下の「3つの価値」と捉えています。
価値1:自社の「当たり前」を問い直し、マネジメントを再考する
価値2:他者との対話を通じて、「マネジメントの軸(コア)」を再発見する
価値3:評価・判断から切り離された場が、変革のエネルギーを生む
ここからは、実際の対話会で交わされた参加者の「生の声」を交えながら、これら3つの価値がどのように生み出されていったのかを紐解きます。
価値1:自社の「当たり前」を問い直し、マネジメントを再考する
他社のマネジメントの考え方やアプローチに触れることで、無意識だった自分自身や自社の「あるべきマネジメント」を手放すだけではなく、同時に自社のマネジメントが持つ固有の良さや価値を再発見していきました。
異業種間でのダイアログを通して、「こんな考え方、やり方があるのか」と視界が広がり、参加者はまず自社の「こうするのが当たり前、こう考えるのが当たり前」という無意識の思い込みに気づくことができました。
具体的には、例えば第3回の「目標設定・評価」においては、
『どうやって売り上げを上げるの?みたいに上司がいうと、関係の質が下がる』
『個人で見るというより、チームや部で見て得意なところを伸ばしたい』
といった生々しい声が交わされました。
他社のマネジャーがどのような考えで目標設定を支援し、評価を運用しているかを知ることは、自社のやり方を客観視するきっかけになります。評価を単なる報酬決定や昇格の材料としてだけでなく、「人の成長のためのツール」へと転換していくために、自社の既存のマネジメントを一旦脇に置き、新たな一歩を踏み出す機会となったのです。
こうした自社の「当たり前」を相対化するプロセスは、これまでのやり方をアンラーニングするだけではありません。
他社との違いを知ることで、
『社内では見過ごされていた自社のこの制度は、実はとても恵まれていた』
『自分が無意識に実践していたメンバーへの関わり方は、他社から見ると素晴らしい価値がある』
といった、自社のマネジメントの良さや強みの『再発見』にもつながりました。
他社のマネジャーという鏡に映ることで得られたこの「客観的な捉え直し」もまた、マネジャーたちが新たな選択肢を獲得し、現場で前向きな実践に向かうための大きな力となっていったのです。
価値2:他者との対話を通じて、「マネジメントの軸(コア)」を再発見する
実践と振り返りの継続的なサイクルの中で、参加するマネジャーたちは、世間一般の「正解」を探すのではなく、自分自身が本当に大切にしたい「マネジメントの核(コア)」を研ぎ澄ませていきました。
ヒューマンバリューが発信している「パフォーマンス・マネジメント」の考え方においても、目に見える『仕組み(制度やツール)』を現場で機能させるには、その下層にある目に見えない『根底のフィロソフィー(哲学・理念や価値観)』の探求が不可欠であると述べています。

図2:仕組み(制度やツール)と根底のフィロソフィー(哲学・理念や価値観)
第4回の対話では、このフィロソフィーの深度に触れる、とても本質的な気づきが共有されました。
ある参加者は、
「効率化して目的達成するのがマネジャーの役割だけど、人とのコミュニケーションの効率化が目的達成にならない。」
と語りました。
また、別の参加者からは
「工数、時間、答えを求めるようなことをマネジメントにおいてするのは、やることがなくなってからでもいいかなと」
という声もあがりました。
自社の中で業務的なプロセスに留まっていると、どうしても業務の仕組みや運用に終始しがちです。しかし、社外のマネジャーという利害関係のない場で、
「主体性という言葉も、捉え方がメンバーにより異なる。対話の中で言葉の意味の目線を合わせる話し合いの場をつくっていきたい」
と語られたように、他者との対話を通じて自身のマネジメントスタイルやコアを言語化し、「なぜ自分はそうするのか」という根底のフィロソフィーの理解を深めていきました。このプロセスこそが、現場で迷いなく意思決定するための強い軸(コア)を再発見することにつながりました。
価値3:評価・判断から切り離された場が、「生成的プロセス」を通じた変革のエネルギーを生む
そして3つ目の価値は、この心理的に安全な場での対話が、マネジャー自身の活力を回復させ、現場を変える実践的なエネルギーを生み出したことです。
評価や判断から切り離された場で、「評価に対して『なんで?』と思うこともある」といった生々しい悩みを共有し、互いに共感し合うことは、「自分だけじゃないんだ」という深い安心と勇気を生み出しました。
最終回の振り返りの中で、あるマネジャーが語った言葉が印象的でした。
「『明るい』というのが書いてあって、私も書いて、結局それだよねと。最終的に腹落ちしていて、いろんなマネジメントのポイントはあるけど、マネジャー自身が明るくて生き生きしていて、その状態が実現できていればチーム全体が高まっていくかなと。」
マネジャーが活力を取り戻し、行動を変えていくこのプロセスは、あらかじめ決められた目標やゴールに向かう「計画的プロセス」によるものではありません。
異なる背景を持つマネジャー同士が率直に話し合い、共に探求する中で、新たな意味や活力が自然発生的に生み出される「生成的プロセス」が機能した結果だと考えています。
企業がこうした対話のモデルを組織の仕組みとして継続的に組み込むことは、単なるガス抜きではなく、マネジャーの心に火を灯し、現場の実践に命を吹き込む強力なレバレッジとなるのではないでしょうか。
第3章:共に未来を拓く、これからのマネジメントのあり方
第1章と第2章では、ミドルマネジャーが企業の枠組みを越えて対話することで、自らのマネジメントのコアやスタイルを再考し、活力を取り戻していくプロセスを見てきました。最終章となる本章では、対話会から見えてきた、「これからのマネジメントと組織のあり方」について考察します。
1. AI時代におけるマネジャーの真の価値
情報処理や業務の効率化、あるいはデータに基づいた「正解」を導き出す役割は、今後ますますAIが担う領域となっていくのではないでしょうか。そのような環境下において、社員がより自律的に働いて成果を生み出すことが求められるようになり、人間のマネジャーに求められる役割は、従来の「指示命令型(管理・統制)」のマネジメントから大きく変化します。
第2章で参加者の声にあった「人とのコミュニケーションの効率化が目的達成にならない」という気づきは、まさにこの本質を突いています。これからのマネジャーの真の価値は、正解に導くアドバイスを与えることではなく、メンバーと共に「仕事への意味づけ」を行い、共に価値を共創し、メンバーの「感情のケア」に寄り添いながら、主体性や自律性を解放する「支援的な関わり」を持つことにあります。
そして、こうした血の通ったマネジメントは、マニュアルやスキルとして教え込まれるものではなく、異なる背景を持つマネジャー同士が対話し、葛藤を共有しながら探求し合うプロセスの中からしか生まれないのではないでしょうか。
2. 「個の奮闘(1対N)」から「エコシステム(N対N)」への進化
これまで多くの組織では、一人のマネジャーが組織やチームの責任や悩みを抱え込む「1対N」のモデルが主流でした。しかし、ビジネスの不確実性が高まる中、一人のマネジャーに依存する「個の奮闘」モデルはすでに限界を迎えています。
これからの時代に必要なのは、つながりの中で課題を解決していく「N対Nのエコシステム(生態系)」への進化です 。社内でマネジャー同士が支え合うことはもちろん、今回の対話会のような「社外のネットワーク」ともつながり、知見や活力を循環させることが不可欠になります。
さらに、雇用形態や働く場所や時間が多様化する現代とこれからのチームにおいては、マネジャーがすべてをリードするのではなく、メンバー同士が自律的に支援し合える協働環境を構築することこそが、次世代のマネジメントの重要な役割となるでしょう。
3. 組織のインフラとしての「対話の場」の継続
では、このような新しいマネジメントのあり方を実現するために、経営や人事はどのような育成や支援を行うべきでしょうか。それは、単に新しい研修を導入したり、「スキルの付与」を行ったりすることにとどまりません。
最も本質的な支援とは、マネジャー自身が常に人間としての活力を保ち、自分自身のマネジメントコアやスタイルを磨き続けるための「対話の場」を、組織のインフラ(基盤)として実装し、継続していくことです。社内でのマネジャー同士の対話はもちろんですが、利害関係のない安全な場で、自社の「当たり前」を問い直し、他者から刺激を受け、新たなエネルギーを得て現場に戻る。この生成的プロセスを仕組みとして持ち続けること自体が、組織の持続的な成長力に直結するのです。
4. 枠組みを越え、自律的な「ネットワークの拡大」を促す
マネジャー個人や自社の中だけで考えていると、無意識のうちに「自社の限界」を前提とした答えしか出てこなくなってしまいます。しかし、異業種間で他社のリアルな目標設定やメンバー育成の悩みなどに触れ、自社の枠組みを超えたダイアログを重ねることで、初めて自身の「当たり前」がゆらぎ、異なる視点が得られます。これによって、1社や1人のマネジャーだけでは解決できない壁を越えるための「集合知」が立ち上がるのです。
これからは、対話会という期間限定のプログラムの枠組みにとどまらず、今後はマネジャーの方々が自発的・自律的につながり合い、継続して知見や活力を循環させられるような「ネットワークの拡大」の支援に取り組んでいきたいと考えています。企業の壁を越えた自律的なネットワークこそが、これからの不確実な時代をマネジャーが共に探求し、未来を拓くための強力な基盤となるはずです。
おわりに:孤軍奮闘を越えて、未来のマネジメントを共に創る
あなたの組織のマネジャーも、一人で正解のない問いを抱え、プレイングマネジャーとして疲弊してはいないでしょうか。
マネジャーを取り巻く環境や課題によって必要な支援は多岐にわたりますが、組織の枠組みを越え、「共に悩み、共に学び合う場」に身を置くこともまた、マネジャー自身が活力を取り戻し、自分らしいマネジメントを育んでいくためのきっかけとなります。
本レポートが、あなたの組織のマネジャー支援と組織変革に向けた確かな手がかりとなれば幸いです。ヒューマンバリューでは、今後もミドルマネジャーの皆様が共に探求する「越境と対話の場」を継続し、各企業におけるマネジメント変革と場づくりに伴走していきます。
ご興味・ご関心のある企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひページ下部の「CONTACT」よりお問い合わせください。