一部の人だけではなく、ステークホルダー全員が参加して変革を推進する「ホールシステム・アプローチ」は、組織変革の主流のアプローチとなっています。 ヒューマンバリューでは、多様な方法論を活用しながら、全員参加の変革を支援しています。
人と組織のエージェンシーを醸成し、組織にアジャイル(俊敏)を獲得する
ヒューマンバリューでは、人や組織の「エージェンシー」を醸成し、組織にアジャイル(俊敏)を獲得するプロセスを支援しています。
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組織がアジャイル(俊敏)を獲得するために必要な能力:エージェンシー
外部環境の複雑性や不確実性が増す中では、アジャイルに変化に対応し、進化し続けることができる組織になることが求められます。組織がアジャイルを獲得していくプロセスにおいては、働く一人ひとりが、上位層の指示を待つのではなく、周囲の変化を捉えて自ら課題を見出し、周囲と協働し合いながら、価値を生み出していくことが大切です。また、こうした営みが、一人ひとりの内発的な動機や、価値観に基づく目的意識を通して行われることで、組織のサステナビリティや、働く人々のウェルビーイングの向上にもつながります。
こうした能力のことを、ヒューマンバリューでは「エージェンシー」と呼ぶことにし、下記のように定義しました。
エージェンシーとは、周囲の変化を捉え、より良くなるように、自らの価値観や考えに基づいた目的意識をもって、責任ある行動をし、周囲との相互作用を通して価値を生み出していくこと(ヒューマンバリュー)
【参考:エージェンシーに関するレポート】組織にアジャイルを獲得する〜今、求められるエージェンシー〜
昨今、メンバーの主体性を高めるにはどうしたら良いのかといった声がよく聞かれます。この課題に対し、最近、社会学や哲学、教育の分野で取り上げられている「エージェンシー」という概念が、取り組みを検討する上での参考になるのではないかと思います。
本レポートでは、「エージェンシー」の概念と、それを醸成する観点を紹介しています。
組織にアジャイルを獲得する「エージェンシー醸成コース」
本コースは、アジャイルな組織づくりを指向する組織やチームの中に、エージェンシーを醸成する一連のプロセスです。
エージェンシー醸成コースの目的
エージェンシー醸成コースでは、下記3つの目的を通して、人と組織のエージェンシーを醸成します。
1. アジャイルな組織の理念と特徴、それに向けた活動のポイントを理解する
2. アジャイルなプロジェクトの進め方について、模擬体験を通して学ぶ
3. アジャイルな理念に対する心理的な妨げを理解する
アジャイルとは「俊敏さ」を表す言葉ですが、単に、人々が俊敏に動ける仕組みやルールを取り入れるだけでは、組織の価値創出や人々の働きがい、ウェルビーイングにはつながりづらいでしょう。
本コースでは、アジャイルな組織の理念や特徴、また、アジャイルを獲得するために育みたい、人や組織の「エージェンシー」についての理解を深めます。それらを通じ、自組織のありたい状態の実現に向けて、エージェンシーを醸成することの重要性を自分事として捉えます。
2. アジャイルなプロジェクトの進め方について、模擬体験を通して学ぶ
アジャイルな組織づくりに向けた変化は、それまでの組織文化や習慣に対する揺らぎをもたらします。それは、今までに体験したことのない解放感や可能性の実感といった比較的受け止めやすいものだけでなく、大きな違和感や恐れ、痛みなど、変化への反発や障害になり得るものもあります。
本コースでは、アジャイルなプロジェクトの進め方を、ヒューマンバリューが開発した「チームステアリング」というチーム運営手法を通じて模擬体験します。模擬体験を通じ、自分やチームに起こる変化を体感することで、エージェンシーが醸成されることの意味や価値を探求し、学ぶことができます。
アジャイルなチーム運営手法『チームステアリング』
<チームステアリングとは>
『チームステアリング』は、チームメンバー一人ひとりの力(強みや価値)を解放し、コラボレーションしながら、柔軟に素早く成果を生み出し続けるためのチーム運営手法です。
ヒューマンバリューでは、さまざまな文化や異なる状況の中にある企業の組織に、アジャイルな振る舞いを取り入れることができないかを、2018年から研究してきました。自律分散型組織を実現するためのあり方や方法を探求し、仮説検証を繰り返す中で、いくつかの原則を明らかにしました。その原則をもとに、従来のミーティングやコミュニケーションのあり方を進化させて、チームを運営するマネジメントの手法、『チームステアリング』を開発しました。
アジャイルな組織づくりの実現に向け、大きな障害となることに、一人ひとりの中にある心理的な妨げが挙げられます。それぞれの人生経験の中で培ってきた不安や欲望等が、組織のアジャイルな振る舞いの獲得を妨げます。
本コースでは、アジャイルな組織づくりに向けた、自身の心理的な妨げが何かを理解し、それが妨げとして作用しないようなスキルや考え方を学び、実践します。このプロセスを踏むことで、人や組織のエージェンシーが醸成され、アジャイルな組織が実現されます。
エージェンシー醸成コースの基本プロセス
エージェンシー醸成コースは7つのテーマで構成され、テーマごとに3時間から3時間半ほどのプログラムが設定されています。
組織の状況や規模に合わせ、当日だけでなく、事前のレディネス醸成や事後のフォロープロセスをデザインしながら、価値を生み出します。
エージェンシーの醸成にご関心をお持ちの方へ
エージェンシー醸成コースは、参加される方や組織の状況に合わせ、実際の進め方やプログラムをカスタマイズします。説明会も行っておりますので、関心をお持ちの方は、ご連絡をいただければ幸いです。
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ステークホルダー全員で生み出す変革支援
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アジャイルなチーム運営手法『チームステアリング』
組織はいま、急激な変化に耐えて、新しい価値を生み出させる文化とシステムを獲得することが迫られています。それを実現するには、その基盤として、今までの習慣を打破した、これまでとは異なるマネジメントやコミュニケーションの技法を修練する必要があります。
『チームステアリング』は、チームメンバー一人ひとりの力(強みや価値)を解放し、コラボレーションしながら、柔軟に素早く成果を生み出し続けるためのチーム運営手法です。従来型のミーティングやコミュニケーション方法を進化させることで、組織の文化をより創造的で働きがいのあるものに変え、外的な環境変化を敏感に察知し、スピードの早い柔軟な対応を可能にする「アジャイル(俊敏な)」な組織文化を生み出します。
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組織文化(カルチャー)の変革
変化が常態化した現在において、企業のカルチャーこそが、未来への価値創造の源泉となるという認識が広がってきています。ヒューマンバリューでは、長年に渡ってカルチャーの変革の原理とアプローチを探求し、企業での実践をサポートし続けています。
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地域活性・市民参加
本当の意味での「地方創成」は、その地域に生き、関わる一人ひとりの市民参加を通してこそ実現が可能となります。ヒューマンバリューでは、多くの市民・ステークホルダー(影響関係者)が共創的に価値を生み出す場とプロセスの構築を支援し、適切な市民参加による民主主義が社会に根づくところに貢献しています。
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場づくりで組織を変革する(プロセス・ガーデニング)
近年、人材開発や組織変革の取り組みにおいて、人々の相互作用の中から主体的な変化を生み出し継続するための「場づくり」の重要性が高まっています。ヒューマンバリューでは、多様な人々がオープンに話し合う中で関係性を高めながら、知識やアイデア、新たなアクションが生み出されるような「場」と、取り組み全体を通して変化を育む「プロセス」に働きかける「場づくり」を「プロセス・ガーデニング」と位置づけ、人や組織の変化と成長を支援しています。
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学習する組織の構築支援
ピーター・センゲらが提唱した「ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)」の考え方は、今では変化の時代に価値やイノベーションを生み出す企業経営のOS(オペレーティング・システム)であるといえます。ヒューマンバリューは、20年以上の研究・実践に基づいて、「学習する組織」に基づいた組織変革をサポートしています。
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経営チームの変革
企業経営を取り巻く状況の複雑性が高まり、予測不能な激しい変化の波を受ける中で、経営層が1つのチームとしてコミュニケーションが取れていない、動いていない状態では、企業の価値創造を行うことは難しいでしょう。 経営層は今を守るだけでなく、目指すべき方向を定めつつ、新しい事業を生み出し続ける必要があります。ヒューマンバリューでは、役員や経営陣が個々の総和を越えた力を生み出し、1つのチームとしての新たな関係性や役割と行動力を獲得するためのオフサイト・ダイアログ合宿をサポートします。
組織変革
社員が推進する自律的変革の支援 ~「未来共創ミーティング」
近年は、個人に働きかける「人材開発」を超えて、組織的・集合的に成果を生み出す「組織開発」への注目が高まっています。今日の組織開発において、どのようなアプローチが求められるでしょうか。ヒューマンバリューでは、第三者による「診断・介入」的なアプローチではなく、社員が進める「自律型」のアプローチで推進することをレバレッジと捉え、組織開発を支援しています。
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